小松マテーレを体感!ワークショップ&工場見学体験施設「fa-bo」と直営ショップ「mono-bo」で繊維の魅力にふれるアートなものづくり旅
アートと工芸が息づく石川県。
金沢21世紀美術館や国立工芸館といった定番観光スポットのほか、金沢から少し足を延ばした郊外にある体験型の工場見学・企業見学施設が、今注目を集めています。
そのひとつが、世界的な化学素材メーカー「小松マテーレ」の体験型施設「fa-bo」と、ショップ「mono-bo」です。子ども連れのファミリーはもちろん、カップルや団体旅行にもおすすめの観光スポットです。
小松マテーレとは?|海外ブランドも認める石川発の化学素材メーカー
金沢から車で約30分、石川県能美市に本社を構える小松マテーレ株式会社は、1943年創業の化学素材メーカーです。
ファッションから建材まで、繊維の可能性を広げる高い技術力は海外でも評価されており、世界的に有名なファッションブランドの製品にも使用されています。
また、SDGsの観点からの取り組みにも力を入れており、端材やエコ素材を活用した一般向けワークショップを定期的に開催。石川県のものづくり文化や地域経済、さらには環境意識を支える存在となっています。
小松マテーレには一般公開されている『fa-bo』『mono-bo』という2つの施設があります。
◾️fa-bo(ファーボ)
事業紹介や工場見学、アート展示のほか、小松マテーレの製品を使用したワークショップを体験できる、体験型の見学施設です。
◾️mono-bo(モノーボ)
「KONBU」という素材を使用して作られたバッグや、「ダントツ撥水」シリーズなど、小松マテーレならではのユニークな自社製品が並ぶ物販店舗です。
今回は、この2つの施設を巡りながら、繊維の歴史や最新技術を学び、ワークショップにも参加してきました。
通販でも人気の「KONBU」のバッグをはじめ、オリジナル商品が並ぶショップでの買い物も楽しめ、充実した時間を過ごすことができました。
体験・見学施設「fa-bo」|繊維の歴史と最先端を体感
fa-boは、3階建ての元本社建屋をリノベーションした体験・見学施設で、エコ素材を使用したワークショップや館内見学を楽しむことができます。
館内見学では、小松マテーレの歴史や繊維の歩みについて学べるほか、隈研吾氏によるアート作品も展示されています。学生団体や小さなお子さん連れのファミリーはもちろん、デートスポットとしても人気の施設です。
あの代表作・新国立競技場を設計した、日本を代表する建築家・隈研吾氏が手がけた、ユニークな外観を持つ施設が「fa-bo」です。
デザイン系大学に通う学生や建築デザイナーなど、隈研吾建築の見学を目的に訪れる方も多く見られます。
建屋をぐるりと囲う特徴的な白いラインには、小松マテーレの炭素繊維複合材「カボコーマ」を使用。耐震補強としての機能性と美しさを兼ね備えた建築デザインが、訪れる人の目を引きます。
屋上からもこのユニークな建築を間近に楽しむことができるので、訪れた際はぜひ立ち寄ってみてください。
SDGsワークショップを体験|エコ染色体験・端材クッションづくり
fa-boの1階にあるラボでは、事前予約制で繊維の魅力に触れるワークショップを体験することができます。
この日は、「fa-bo見学+ワークショップコース(120分)」を体験してきました。
ワークショップ① | たまねぎの力で染めるエコ絞り染め体験
今回体験したワークショップは、2つの創作体験がコース内に含まれています。
ひとつ目は「染色体験」。タマネギの皮という捨てられる天然原料を活用した、小松マテーレ開発の染料技術「Onibegie®(オニベジ)」を使用した絞り染め体験です。
ビー玉や木の棒などを布に巻き付け、自由な発想で進める作業は、完成品がどのような柄に仕上がるのか想像を膨らませながら行うため、とてもワクワクします。
実際の完成品は偶然性もある個性的な柄に仕上がり、絞り染めならではの魅力と、エコな染色技術の魅力が詰まったオリジナルアイテムが完成します。
< エコ絞り染めワークショップの流れ >
① エコバッグ、巾着など、用意されたアイテムの中から染めるものを選ぶ
② ビー玉や木の棒を使い、選んだアイテムの布を縛って模様の下地をつくる
③ 5つのエコ染料の中から好きな色を選んで配合し、染液に浸したあと染色機にかける
④ 約1時間後に完成!
ワークショップ②|端材でつくるエコ動物クッションづくり
ふたつ目のワークショップが「クッションづくり」です。同じ石川県内にある、『のとじま水族館』でも人気のジンベエザメを模ったクッションを製作します。
中綿の代わりに使用するのは、小松マテーレの製造過程で生まれる端材をリサイクルした、カラフルなミニボール。数十種類の色柄の中から好きなものを選んで詰めることで、世界にひとつだけのオリジナル作品が完成します。
仕上げには、小松マテーレの得意技術である冷感・防臭・抗菌などの機能加工も施され、同社らしさが光るアップサイクルなSDGs体験となっています。
のとじま水族館についてはこちらの記事をご覧ください!
< オリジナルクッションづくりワークショップの流れ >
① 好みの色の型を選ぶ
② 数十種類の色柄の中から、端材ボールを約10個選ぶ
③ 選んだ端材ボールを型に詰め込む
④ 6つの仕上げ加工の中から好みの加工を選び、完成!
まるで小学校の図工の時間のような感覚で、ワイワイと楽しみながら、約1時間で2つの作品が完成します。
ものづくりの楽しさや最新技術に触れながら、自分だけの作品が形になっていく喜びを感じられるワークショップ体験です。
童心に帰ったような気分で、あっという間の60分となりました。完成した絞り染め作品とエコクッションは、用意されている端布製の持ち帰り用バッグに入れて、お土産として持ち帰ることができます。
fa-bo館内展示内容
fa-boの2階・3階は、展示および工場見学スペースとなっており、施設見学を楽しむことができます。
2階はファッションセンター、3階は展示・アーカイブスペースで構成されており、約5万点におよぶ生地サンプルのほか、繊維の歴史や繊維加工の工程、製造工場の見学を通してものづくりの現場を学ぶことができます。
1階エントランス|ファブリックアート
正面玄関に足を踏み入れると、すでに繊維の魅力にあふれた空間が広がります。真っ白で柔らかく、軽やかなファイバー素材に包まれたエントランスは、まるでひとつのアート作品のよう。
fa-boの建築における最大のポイントである耐震補強素材「カボコーマ」は、階段部分などにも使用されており、布の曲線的な美しさと、糸を思わせる直線的な美しさが融合した空間を楽しむことができます。
2階ファッションセンター|圧倒のファッションのプロの現場
海外の有名ファッションブランドからも高い評価を受ける布を製造する小松マテーレ。
2階には、ブランド関係者やファッション業界の方々も実際に訪れる、ミーティングスペースを兼ねたファッションセンターがあります。
小松マテーレが創業時から現在に至るまでに手がけてきた、約5万点にもおよぶ生地サンプルがずらりと並ぶ光景は圧巻。進化し続けるファブリックの歴史を垣間見ることができる、非常に貴重なスペースです。
また、実際に製品化された世界的に有名な高級ブランドのダウンやコートなども展示されており、「世界の小松マテーレ」と呼ばれる所以を実感できます。
実際の製造現場を見学できる工場見学スペースも併設されています。
カフェのような雰囲気のギャラリーには、小松マテーレが手がけるファブリックを使用した木目の椅子や、廃棄素材を活用したエコなセラミックス素材「グリーンビズ・カリュー」を使用した緑の空間が広がっています。
3階展示・アーカイブスペース|隈研吾氏のアート作品と繊維史・軌跡を辿る
北陸・石川県が育んできた「絹」をはじめとする繊維文化の歴史とともに、小松マテーレが創業から現在まで歩んできた軌跡をたどる資料館では、繊維の製造・加工工程について詳しく学ぶことができます。
世界に誇る独自の加工技術や、建材分野へと活躍の場を広げてきたユニークな商品、さらにはSDGsへの取り組みまで幅広く展示されており、繊維業界の最先端を体感できる充実した内容です。
布の製造工程や歴史を学ぶスペースの先には、fa-boの建築を手がけた隈研吾氏によるアート作品も展示されています。
小松マテーレ製のファブリックを用いた独創的なアイデアのアート作品が並び、来館する人の目を惹きつけます。
こちらのアート展示スペースは写真撮影が可能です。
一面をぐるりと真っ白なファブリックで囲われた作品「Fabricの石庭」は、靴を脱いで作品の空間内に入ることができ、まるでアートと一体化したような没入感を味わえます。
美しい空間は、人気の“映え”フォトスポットとしても親しまれています。
体験型見学施設fa-boでは、ワークショップと施設見学を通して、「見て・感じて・自分の手で体験する」充実した時間を過ごすことができました。
「環境への気づき」「素材への理解」「技術への感動」がぎゅっと詰まった、企業ならではの体験型施設です。ご家族連れはもちろん、カップルや友達同士など、世代を問わず幅広い方におすすめできます。
基本情報
fa-bo
【住所】〒929-0124 石川県能美市浜町ヌ167番地 小松マテーレ株式会社 本社工場内
【電話番号】TEL 0761-58-0374(平日10:00–16:00)
【駐車場】あり(無料/mono-bo駐車場を利用)
【営業日】木曜日、金曜日、土曜日(GW・お盆・年末年始 は休館)
※10名以上の団体様の場合は月曜~水曜も要相談にて受付
※すべて事前予約制
【料金・時間】
<fa-bo見学+ワークショップコース(120分)>
一般 1,000円/小・中学生 500円/未就学児無料
午前の部 10:00~12:00
午後の部 14:00~16:00
<fa-bo見学コース(60分)>
一般 500円/小・中学生 500円/未就学児無料
午前の部 11:00~12:00
午後の部 15:00~16:00
【アクセス】
・お車 能美根上スマートI.Cより車で5分 小松I.Cより車で10分
・電車 IRいしかわ鉄道 能美根上駅 より徒歩20分
・タクシー 小松駅・小松空港よりタクシーで10分
ファクトリーショップ「mono-bo」|オリジナル商品とサステナブルなハギレ市
一般公開されているもうひとつの施設「mono-bo」は、fa-boから徒歩約3分の場所にあります。
mono-boは、小松マテーレのオリジナル商品が並ぶ一般向けのファクトリーショップで、どなたでも予約なしで来店することができます。
個性光るファッショナブルな服飾雑貨がずらり
オリジナルブランド「mate-mono」や「KONBU」シリーズのバッグを中心に、「ダントツ撥水」シリーズのサウナハットや雑貨などがずらりと並びます。
どのアイテムも素材の持つ力を生かしたデザインで、機能性とおしゃれさを兼ね備えているのが魅力。小松マテーレの染色・加工技術が随所に感じられる、素敵なアイテムばかりです。
通販でも人気のアイテムを、実際に手に取って確かめながら購入できるのはうれしいポイントです。
mono-boの館内には、ものづくり空間「mate-labo」があり、商品の開発・製造が行われるクリエイティブな現場を見学することができます。
ゼロからイチを生み出す、小松マテーレのモノづくりを間近で体感できるのも大きな魅力です。
小松マテーレの「素材を1cmでも大切にしたい」という信念のもと、本来は捨てられるはずだった素材や、製造過程でロスを生み出さない加工技術を活用しながら、オリジナル商品の数々がここで生み出されています。
なんとワンコイン!SDGsなハギレ市
mono-boの人気コーナーといえば、こちらの「ハギレ市」。なんとワンコイン(税込550円)という手に取りやすい価格で、高品質なはぎれ布を購入できることから、手芸や服作りを趣味とする方を中心に高い人気を集めています。
販売されているハギレ生地は、小松マテーレの製造工程で生まれた余り布。世界的に有名なファッションブランドで使用されている特殊素材のハギレが並ぶこともあり、高品質で個性豊かな風合いの布に出会えるのも魅力です。
また、量り売りコーナーも設けられており、クリエイティブな趣味を持つ方にとっては、思わず時間を忘れてしまうワクワク空間となっています。さらに、8のつく日には30%オフになるお得なキャンペーンも実施されています。
※2025年12月時点での内容です。
mono-boは、毎週木曜〜土曜の11:00〜18:00限定で営業しているショップですが、小松マテーレの染色技術が光るアイテムを求めて、全国から多くの方が訪れます。
金沢のひがし茶屋街や東京・青山にも姉妹店があるので、お近くのショップにもぜひ立ち寄ってみてください。
基本情報
mono-bo
【住所】〒929-0124 石川県能美市浜町ヌ168-8(小松マテーレ株式会社横)
【電話番号】0761-58-0364(営業日のみ受付)
【駐車場】あり(無料)
【営業日・営業時間】木・金・土 (11:00~18:00)
【定休日】日・月・火・水曜日(年末年始、GW、お盆期間)
【アクセス】
・お車 能美根上スマートI.Cより車で5分 小松I.Cより車で10分
・電車 IRいしかわ鉄道 能美根上駅 より徒歩20分
・タクシー 小松駅・小松空港よりタクシーで10分
小松マテーレ2つの施設の楽しみ方
今回は、「fa-bo」と「mono-bo」、2つの小松マテーレの施設を半日で楽しんできました。
fa-boでのワークショップ+施設見学、mono-boでのショッピングという流れで巡りましたが、fa-boで体験する内容によって所要時間は前後します。
実際に体験したタイムスケジュールを、ぜひ参考にしてみてください。
<fa-bo ワークショップ+施設見学&mono-bo タイムスケジュール>
【13:50】mono-bo 集合
【14:00】fa-boへ移動(係の方が案内してくれます)
【14:00~15:00】fa-bo ワークショップ
【15:00~16:00】fa-bo 施設見学(係の方が案内してくれます)
【16:00】mono-boへ移動・ショッピング
スタッフの方に伺ったところ、子ども連れのファミリーや、ご高齢の方を中心とした団体、小学生の課外活動などで、fa-boのワークショップが特に人気とのこと。
全天候型の体験施設のため、雨の日でも楽しめる点は、団体旅行の幹事さんにとっても安心材料です。
また、デザイン系の学生やファッションに興味のある方の中には、fa-boのワークショップと施設見学に加え、mono-boでのショッピングまで楽しむ方も多いそう。
この日は、女性おひとりでfa-boの施設見学のみに参加している方の姿も見られました。
小松マテーレとあわせて巡りたい周辺スポット情報
まとめ|石川観光で「ものづくりの現場」に触れてみよう
小松マテーレは、今回の体験を通して実感したように、世界に挑むワールドワイドな企業であり、日本の“ものづくり文化”を支える存在です。
工場見学やワークショップは、単なる産業施設の公開にとどまらず、地域と企業の魅力を体感できる新たな“観光資源”として注目を集めています。
「工場見学=観光」というスタイルは、従来の娯楽中心の旅行とはひと味違い、技術・アート・学びが融合した特別な体験を提供してくれます。
大人も子どもも夢中になれる、新しい旅の楽しみ方といえるでしょう。
石川県には、小松マテーレのfa-bo・mono-boのように、繊維や素材の最先端技術に触れられる施設のほか、金沢の繊維メーカー・カジグループが手がける「カジファクトリーパーク」など、ものづくりをより身近に楽しめるスポットもあります。
入館無料で工場見学ができ、手作り体験やカフェ、公園までそろうカジファクトリーパークは、ファミリーやシニア層にも人気の施設です。
カジファクトリーパークについては以下の記事をご覧ください!


