旅して食べて応援。能登で出会う「能登新鮮組」と旬の食材
海と山に囲まれた能登では、今日も生産者のみなさんがやさしい手仕事で旬の味を育てています。
地震で傷ついた畑や暮らしの中にも、少しずつ新しい芽が伸び始め、季節の実りが戻ってきました。そこには、土地の力と人の想いが重なった、今の能登ならではのおいしさがあります。この記事では、若手農家グループ「能登新鮮組」の取り組みをはじめ、能登のおいしい食材や実際に味わえる飲食店をご紹介。旅先で「食べて応援」できる、あたたかな能登の魅力をお届けします。
はじめに|復興へと歩みを進める能登の“今”
能登半島地震から2年が経ちました。
地面のゆがみで外れたままの排水溝のふたや、歩道に山積みになったタイル。七尾市・和倉温泉のまちなかには、地震の爪痕が今も残っています。
一方で、海辺では護岸工事を進める重機の音が響き、プレハブが連なる仮設商店街では飲食を楽しむ人の姿が見られるなど、確かな歩みも。
景観はまだ道半ばですが、能登の暮らしは前を向き、訪れる人たちを受け入れる体制が少しずつ整ってきています。
能登の食材が支える“豊かな食の里”
復興の歩みを進める能登で、変わらず旅人を魅了してくれるのが、この土地ならではの豊かな「食」です。
海と山に囲まれる能登は、野菜・魚介・米など多彩な食材がそろう、いわば“食の宝庫”です。
能登の風土を活かして生産された野菜は、優れた特長・品質を有するとされ、「能登野菜」としてブランド化されています。能登金時・能登だいこん・中島菜・
能登金時
宝達志水町から志賀町にかけて広がる日本海沿岸の砂丘畑などで生産されています。
甘くてほくほくとした食感で、ビタミンCや食物繊維などを多く含みます。
【収穫時期】8月~10月
能登だいこん
白くすらりとした美しい見た目と、サクサクとしたみずみずしい味わいが特徴で、羽咋市や志賀町で栽培されています。
【収穫時期】10月中旬~11月下旬
中島菜
ピリッとした独特のほろ苦さと辛みが特徴です。
ビタミン豊富で、血圧上昇を抑制する機能性成分も多く含まれています。
【収穫時期】11月~4月
能登かぼちゃ
色鮮やかな果肉と、ホクホクと甘みが強いのが特長。収穫前には必ず試し切りして完熟を見極め、収穫後は追熟を行います。
【収穫時期】7月~8月、10月~12月
若手農家グループ「能登新鮮組」とは
豊かな自然に囲まれた能登では、おいしい野菜づくりが長く受け継がれてきました。
近年は農家の高齢化など課題もありますが、そこに明るい風を吹き込んでいるのが、若手農家グループ「能登新鮮組」です。
2016年に結成され、七尾市や中能登町で農業を営む30〜40代の11名が参加。一年を通して新鮮で質のよい野菜を届けようと、力を合わせて畑に向き合っています。
今回は、代表の大森さんの畑を訪れ、能登の野菜の魅力についてお話を伺いました。
大森さんは、七尾湾に浮かぶ能登島や七尾市中島町にある畑でキャベツや中島菜などを育てています。
しかし、歩みを止めなかった大森さん。
今年3月以降、特定技能実習生がスタッフに加わり、さらに6月には能登島へと向かう最寄りの橋も通れるようになりました。
新たな仲間とともに荒れていた畑を少しずつ整え、震災から1年7か月が経ったこの夏。ようやく能登島の畑も再開することができたといいます。
- 新保
- 能登島の畑を再開できたのは、つい最近なんですね。

- 大森さん
- そうなんです。再開できたとはいえ、しばらく作付ができなかった影響で供給量はまだ6割程度にとどまっています

- 新保
- 最後に、復興に向けての想いをお聞かせください。

- 大森さん
- 地震の前から農業の担い手は不足していましたが、それが地震によってさらに進行し、耕作放棄地が増えてしまうのではないかと危惧しています。そうならないよう、傷んだ畑や田んぼを若手の僕たちが復活させていきたいです。被災した人たちを少しでも勇気づけられればと思います。

能登新鮮組の野菜を味わう!直売所「フレッシュパニエのと」
「能登新鮮組がつくった野菜を実際に食べてみたい!」
そんな方におすすめしたいのが、能登新鮮組のメンバーの石坂さんが営むお店「フレッシュパニエのと」。
能登新鮮組の野菜やお米はもちろん、名産品「能登かき」を炭火焼きでいただけます!能登かきはシンプルに焼くも良し、カキフライやカキごはんでいただくも良し…。
店内には野菜の直売ブースも!能登新鮮組メンバーがつくった野菜を中心に、地元で採れた新鮮な野菜が並びます。
※収穫状況によっては、野菜の販売が行われていない場合もあります。
お店は、のと鉄道 能登中島駅から徒歩2分。金沢駅から約2時間の電車での旅を楽しんで、能登の恵みを堪能してみてはいかがでしょうか。
- 新保
- お店では、石坂さんがつくったお米を食べられるんですよね♪
お米をつくる上で、どんなことにこだわっていますか? 
- 石坂さん
- こだわりはたくさんあります!一例をあげると、農薬は平均の半分ほどで、有機肥料を中心に作り上げています。
経費に縛られず、自分が「本当に食べてもらいたい」と思えるお米をつくることを大切にしています。 
- 新保
- お店をやっていて良かったことはありますか?

- 石坂さん
- 目の前で食べてもらって感想を聞けること。店を目的地として、長い道のりをかけて食べに来てくれること。すべてありがたいと感じています。

- 新保
- 最後に、能登復興への想いをお聞かせください。

- 石坂さん
- 復興へ向かうには、多くの方々を巻き込みながら、ひとつひとつ共に乗り越えていくしかない。とにかく「やるしかない!」と感じています。

基本情報
フレッシュパニエのと
【住所】〒929-2241 石川県七尾市中島町浜田83-1
【営業期間】12月頃~翌年4月頃
※今季の営業状況など、詳しくはInstagramやホームページをご確認ください。
【駐車場】あり
【お問い合わせ先】0767-66-1725
【Instagram】@fresh_panier_noto
食べて応援!能登の食材が楽しめるお店
能登新鮮組をはじめ、能登の農家が育てた野菜を味わえるカフェや飲食店を2店舗をご紹介します。
どちらも、震災後に若い世代が開いたお店です。
「復興に向けて、いま自分にできることを。」と前を向くオーナーたちに話を聞きました。
umitohonto|海と本と、
七尾市中島町と能登島を結ぶ「ツインブリッジのと」のすぐそばにあるのが、ブックギャラリー「umitohonto|海と本と、」。
能登新鮮組の野菜をはじめとする、能登や石川の食材を使った手作りのスイーツを提供しています。
素朴でやさしい味わいのスイーツに癒されてみてはいかがでしょうか。
※使用される食材は、時期によって異なります。
県外から能登に移住した夫婦が今年6月にオープンしたこちらのお店。
完全予約制の「ブックギャラリー」(ドリンク・お菓子付き)と、予約なしで利用できる「海辺の喫茶」の2つの利用方法があります。
棚に並ぶ本は選書家の幅允孝さんが選んだもので、その数は約300冊。
内浦の穏やかな海を眺めながら、本の世界に浸る―。そんな静かで贅沢なひとときを過ごせます。
- 新保
- 能登の野菜の魅力はどんなところでしょうか?

- 中村さん
- 能登の方はとにかく真面目。能登新鮮組のメンバーの奥様が友人なのでよく話を聞くんですが、手間暇かけてつくっている様子が伝わってきます。そんな丁寧な仕事ぶりは味にも表れていると思います。

- 新保
- 野菜以外の食材やドリンクも、能登の素材をたくさん使われていますね。

- 中村さん
- コーヒーは珠洲市の「二三味珈琲」、ほうじ茶は七尾市のお茶屋さん「田尻虎蔵商店」のものを使っています。牛乳や米飴、ハチミツなども能登産です。素材そのままの味を味わっていただけるよう、できるだけシンプルに仕上げています。

- 新保
- 最後に、能登復興への想いをお聞かせください。

- 中村さん
- 復興の応援のために県内外から足を運んでくださるお気持ち、能登で暮らす者として本当にありがたいです。
でも、欲を言えば、「能登が素敵だと聞いたから来ました」と言っていただけることの方が、きっと能登に暮らす人たちにとって、より嬉しいのではないかと思っています。
能登に興味を持ち、訪れるきっかけのひとつになれるように、この場所から能登の魅力を丁寧に伝えていきたいです。
そんな想いで、日々お店に立っています。 
基本情報
umitohonto 海と本と、
【住所】〒929-2216 石川県七尾市中島町長浦ソ部143
【通常営業】
・予約制(午前の部・午後の部)
・基本のプラン(90分or120分)、
【海辺の喫茶】
・火曜日のみ、予約不要
・10:30~16:00 ※最新の営業日時はInstagramにてご確認ください
【定休日】不定休
【駐車場】あり
【お問い合わせ先】hello@umitohonto.com またはInstagramDM
【Instagram】@umitohonto
白馬咖喱
今年4月、七尾市の一本杉通り商店街にオープンした白馬咖喱(しろうまカレー)。
実は、このお店を営む守崎さんは市内で野菜を育てている農家でもあります。
朝採れの野菜をふんだんに使ったカレーは、ふわっとやさしくスパイスが香る、甘めの味付けが特徴。
自分で育てているからこそわかる「野菜のおいしさ」がぎゅっと1皿に詰まっています。
台湾でのワーキングホリデーの経験を活かし、週末の夜には台湾料理屋としても営業しています。
農家、カレー屋、台湾料理屋。3つの顔を持つアクティブな店主との交流も楽しみながら、能登をおいしく味わってみてはいかがでしょうか。
- 新保
- どうしてカレー屋さんを始めたんでしょうか?

- 守崎さん
- もともとカレーが好きで、独学で勉強しているうちに…(笑)
また、野菜を育てていると、見た目や大きさの問題で市場には出せない「規格外」の野菜が出てしまうので、そうした野菜たちを救いたいという思いもありました。

- 新保
- カレーづくりでは、どんなところにこだわっていますか?

- 守崎さん
- 単純に水を加えるのではなく、「野菜だし」をとって使っています。
また、自分の畑でとれた野菜以外のものも、能登や石川県産を極力使うようにしています。例えば、調味料には地元の魚醤「いしる」を使っているので、野菜の風味に少し和の要素も感じるテイストに仕上がっていると思います。 
- 新保
- 最後に、能登の復興への想いをお聞かせください。

- 守崎さん
- 仕事を辞めた人、住めなくなった人。いろんな人が能登を離れる選択をする中で、やっぱり「若い世代が魅力あるものをつくって、次に繋げていかなければ」と強く感じています。
このお店もそのひとつで…。ここを目的地として、県内外の方がこの商店街に足を運んでいただくきっかけになればうれしいです。 
基本情報
白馬咖喱(しろうまカレー)
【住所】〒926-0864 石川県七尾市魚町5番地
【営業時間】
ランチ 11:00~14:00
ディナー17:30~21:00(台湾料理)
※ディナー営業は金・土・日のみ
【定休日】火・水
【駐車場】あり
【お問い合わせ先】0767-58-3550 または InstagramDM
七尾・和倉温泉の観光スポット情報はこちら
七尾市や和倉温泉エリアには、温泉街の風情をはじめ、海や里山の自然、歴史や文化に触れられる見どころが点在しています。
旅の合間に立ち寄りたい定番スポットから、散策が楽しいまちなかの名所まで、七尾・和倉温泉の魅力あふれる観光スポット情報をまとめてご紹介します。
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まとめ|食と風景から感じる能登の未来
能登の畑では、季節の実りが再び色づき、生産者の手で食卓へと届けられています。
ここで育つ野菜や料理を味わうことは、農家や地域をそっと支える応援にもつながります。
着実に歩みを進める能登のたくましさや人々のあたたかさを、ぜひ「食」を通して感じてみてはいかがでしょうか。
また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設やイベント情報を随時更新中です。
皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。
また、中島町にある畑はもともと水がたまりやすく、雨が降ったときはポンプでの排水が必須。でも、地震でそのポンプが壊れてしまい…。結果として、野菜が全滅する被害がありました。