南加賀の文化を辿るドライブ

思いのほか奥が深い、大聖寺藩十万石の底力を知る

江戸時代には大聖寺十万石の城下町として栄えた大聖寺を中心に、北前船や九谷再興で経済、産業を育み、山中・山中・粟津・片山津の加賀温泉郷ではそれぞれ独自の文化を育んだ南加賀。今も地域に息づくその伝統を辿って、ちょっと歴史のお勉強もできるドライブに出かけましょう。

大聖寺 江沼神社長流亭

江沼神社は菅原道真と藩祖前田利治を祀る神社で、その庭園は兼六園にならって造られた池泉回遊式。敷地の一角に三代藩主利直の休息処として建造された長流亭があります。茶人大名で遠州流の開祖、小堀遠州の設計と伝えられています。旧大聖寺川の川辺にせり出して建ち、藩主はここの窓から釣り糸をたらして魚釣りを楽しんだのだそうです。神社と庭園は自由に入れますが、長流亭内部の見学には前日までの予約と入場400円が必要です。

重要伝統的建造物保存地区 加賀橋立と北前船の里資料館

半農半漁の集落だった橋立は、藩政期半ば頃から北前船の船主や船頭が住む船主集落に発展しました。このエリアには今も笏谷石張りの石垣や赤瓦、武家屋敷を思わせる風格ある屋敷構えが数多く残り、当時の繁栄を伝えます。明治期に立てられた旧北前船主、酒谷家の館をそのまま利用した「北前船の里資料館」では、貴重な北前船の歴史資料が展示され、海運業の歴史や巨万の富を築いた船主たちの暮らしぶりなどを伝えています。2017年4月、文化庁が認定する「地域の歴史魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリー」である『日本遺産』に、加賀市を含む11市町ゆかりの「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 北前船」が選ばれました。

中谷宇吉郞 雪の科学館

「雪は天から送られた手紙である」。何とも詩的な表現で、雪の魅力を語った、現在の加賀市片山津温泉出身の科学者中谷宇吉郞博士の業績を伝える博物館。世界で初めて雪の結晶を人工的に作ったことで知られる博士は、実は絵や随筆、科学映画の製作まで手がけるマルチな文化人でした。柴山潟を望む建物も美しく、科学館ながらロマンチックな想いに浸ることができる、デートにおすすめスポットでもあります。

那谷寺

泰澄大師によって717年に開山された真言宗別格本山那谷寺。古くから土地に根付く白山信仰も受け入れ「自然智」の教えを大切に守っています。それを象徴した奇岩遊仙境の壮大な景観や、胎内回帰と再生を疑似体感する「いわや胎内くぐり」をはじめ、自然との一体感を実感できる神秘的な時間を過ごすことができます。

苔の里

国歌にも歌われる苔は、桜や椿のような華やかさはないけど、古くから日本人の美意識を象徴する重要な植物でした。その柔らかく繊細な美しさに改めて気づかせてくれるのがここ。日用杉の美林にはぐくまれ、きめ細かく手入れされた多種多様な苔が養生されています。町内で確認された苔は48種類。国内外から多くの研究者や苔のファンが訪れます。苔むす庭園、神社、古民家と杉林の景観は「全国農林景観百選」にも選ばれました。※荒天時、および冬期(12月下旬頃から)は休園となります。神社エリア以外は地域住民の住宅の庭となっていますので、観賞はマナーを守るようにしてください。

南加賀ドライブルートマップ