石川県観光公式サイト

今回のコースは、往復約200km、所要時間約10時間のドライブ旅。能登の西海岸を北上しながら、10か所のスポットを巡ります。信号も少なく、渋滞の心配もほとんどありません。ただし、コンビニやガソリンスタンドは少なめのため、出発前に金沢市内で給油を済ませておくのがおすすめです。※所要時間はあくまで目安です。

金沢駅といえば、アメリカの旅行雑誌『トラベル・アンド・レジャー』Web版で、日本で唯一「世界で最も美しい駅」に選ばれた鼓門（つづみもん）が有名ですよね。今回はその鼓門側ではなく、能登へのドライブ旅ということで、スタートは反対側の金沢駅西口（金沢港口）が便利です。マイカーの場合は、駅西口の降車場前で集合するとスムーズ。レンタカーを利用する場合も、駅西口周辺に営業所が多いため、朝に借りてそのまま出発できますよ。

最初の目的地は、車で約40km（約45分）。のと里山海道を抜け、今浜ICで降りると、目の前に広がるのは「千里浜なぎさドライブウェイ」です。日本で唯一の“車で走れる砂浜”で、全長は約8km。世界でも珍しい、波打ち際を走れるスポットとして人気があり、きめ細かい砂が固く締まっているため、普通車はもちろん、バイクや自転車でも走行可能です。海と空に向かって突き抜けるようなドライブは、まさに爽快そのもの！

さっそく波打ち際に愛車を停めて、海と砂浜を背景に、エモーショナルな1枚や絶景ショットに挑戦してみましょう。水たまりの反射を活かしたリフレクション撮影では、シンメトリーな世界を演出できます。海側から車を狙えば、ひと味違った写真に仕上がるかもしれません。また、トランクに腰掛けて海を眺めるだけでも、気分は上々。ビーチサンダルを持参すれば、楽しさも倍増です。

人気の観光スポットですが、早朝なら比較的空いています。近年は砂浜が少しずつ狭くなってきているため、「海の上を走る」という夢を叶える唯一無二の絶景ドライブコースを体験するなら、まさに今がチャンスです。

■ 千里浜なぎさドライブウェイ 通行情報のご案内

波が高い日など、安全に走行できないと判断された場合には、管理者である石川県が通行規制を行い、車での走行ができなくなります。
お出かけ前には、最新の通行状況を必ずご確認ください。

■ 確認方法

石川県の公式サイト「石川みち情報ネット」にアクセスをご覧ください。

• 「千里浜なぎさドライブウェイ　規制なし」 → ◎ 車で通行可能

• 「千里浜なぎさドライブウェイ　規制あり」 → × 車で通行できません

千里浜の絶景ドライブを安全に楽しむために、事前のチェックをお忘れなく。

千里浜なぎさドライブウェイを満喫したあとは、そのすぐ先にある「道の駅のと千里浜」へ立ち寄りましょう。砂浜ドライブ後のケアにぴったりな「タイヤ専用シャワー」では、車体下部に付いた砂や海水をしっかりと洗い流すことができます。使い方は簡単で、車を停めてボタンを押すだけ。
24時間無料で利用できるのもうれしいポイントです。  

屋外にある「なぎさカフェ」は朝8時オープン。地元産の食材を使ったメニューがずらりと並びます。中でも、羽咋産のはと麦を使ったオリジナルソフトクリームは、ひと口食べれば麦の香ばしさが口いっぱいに広がる、新鮮な味わいです。期間限定のブルーベリースムージーは、まるごとブルーベリーを食べているかのような、贅沢な美味しさが楽しめます。

直売所「かわんちまーと」には、能登ならではの“いいもの”が勢ぞろい。道の駅オリジナル商品をはじめ、魅力的なお土産がたくさん並び、つい目移りしてしまいます。迷ったときは、オリジナル商品の人気ベスト3をチェックしてみてください。お土産選びの参考になりますよ。

＼人気商品ランキング／
1位：紅はるかチップス
2位：抹茶おだまき
3位：紅はるかフィナンシェ

さらに、自然栽培で育った新鮮な農産物や羽咋米、能登で捕獲されたイノシシ肉「のとしし」の加工品も並んでいます。隣接する「ファーマーズベーカリー」では、羽咋市産の玄米粉を使ったパンが人気。中でも、道の駅オリジナルの「のとししカレーパン」は、もちもちの食感とスパイシーなカレーの組み合わせが絶妙で、ドライブのお供にぴったりです。

次に訪れるのは、車で約12分の場所にある「能登國一宮・氣多大社」です。縁結びの神々が集まるお社として多くの逸話が残り、恋愛成就や人との良縁を願う参拝者で賑わいます。創建は約2,100年前と歴史も古く、本殿をはじめとする国指定重要文化財が並ぶ、貴重な神社です。

カップルや女子旅はもちろん、学問の神様との“縁結び”を願う人にもおすすめ。境内にある菅原道真公を祀る「菅原神社」では、「合格橋」を渡ることで合格祈願のご利益が期待できるかもしれません。

境内には、神聖な立ち入り禁止区域「入らずの森」があり、神秘的な雰囲気を感じられます。参拝の際は、水に浸すと文字が浮かび上がる「水みくじ」にも、ぜひ挑戦してみてください。さらに奥へ進むと、石を積むと願いが叶うといわれる「むすび神苑」があります。

歴史と神秘が息づく能登屈指のパワースポットで“氣”をチャージしたら、次の目的地へ向かいましょう。

氣多大社を後にして、車で約12分。五重塔と杉並木の美しいコントラストが印象的な、前田家ゆかりの「妙成寺」へ向かいます。日蓮宗の本山として知られる、由緒あるお寺です。

開山は、なんと鎌倉時代の永仁2年（1294年）。江戸時代には加賀藩前田家の加護を受けて栄え、今も当時の面影を色濃く残しています。境内には、国指定の重要文化財が10棟も現存。中でも北陸随一といわれる五重塔は圧巻の存在感で、全国的にも珍しい三つのお堂が横一線に並ぶ独特の配置も見どころのひとつです。

さらに、「丈六堂」に奉安されている高さ約5メートルの霊験あらたかなお釈迦様や、君が代にも詠まれた「さざれ石」は、パワースポットとしても人気です。歴史と文化の息づかいを感じられる、心落ち着く場所です。

参拝後は、参道沿いにある茶屋でひと休みしてみてはいかがでしょうか。米や麦から手作りされた飴を、ジンジャーやレモンで割った妙成寺名物「冷やしあめ」（夏季限定）の飲み比べもおすすめです。

妙成寺から車で約30分。まずは「巌門 CRUISE＆SHOP」内にある遊覧船案内所でチケットを購入します。出航まであと10分との案内を受け、急な石段を下って船着場へ。

遊覧船が最初に向かうのは、幅6メートル・高さ15メートル・奥行き60メートルの天然洞窟「巌門」。日本海の荒波による浸食によって形成され、海上からその入口を間近で見ることができます。

鷹の巣岩や機具岩（はたごいわ）などを巡る、約20分のクルーズ。自然の迫力と歴史を間近に感じられる、奇岩好きにはたまらない体験です。

遊覧船を満喫したあとは、今度は陸側から巌門を見に行きましょう。階段を降りて、ひんやりとした洞窟をくぐり抜けると、目の前には海とは反対側から眺める迫力の巌門が現れます。思わず息をのむような絶景が広がりますよ。

なお、令和6年能登半島地震の影響により、「幸せのがんもん橋」は現在通行不可となっており、松本清張氏の歌碑も倒壊しています。

それでも、小説『ゼロの焦点』の舞台として知られるこの地を、物語の世界を感じながら歩いてみるのもおすすめです。

巌門での階段の上り下りで少し体力を使ったあと、車で約12分走ると「道の駅とぎ海街道」に到着。ちょうどお昼どきを過ぎて、お腹もぺこぺこです。

敷地内には生け簀があり、季節ごとに新鮮な活魚を楽しめる名物ランチが人気。今回は、名物と聞いていた「さざえの壺焼き」（6〜9月限定）を楽しみにしていましたが、現在は通常提供を行っていないとのことでした。

ただし、どうしても食べたい場合はスタッフに相談を。タイミングが合えば、用意してもらえる可能性もあるそうです。

壺焼きは断念しましたが、夏季限定の「さざえご飯」は、貝の旨みがしっかり染み込み、食欲をそそる一品です。さらに、スタッフおすすめの「甘エビかきあげバーガー」は、香ばしい海老の風味が口いっぱいに広がります。また、「能登豚のスタミナ丼」は、肉厚な能登豚を甘辛だれとマヨネーズで仕上げた、満足感たっぷりのメニュー。どちらも期待以上のおいしさでした。

食後のデザートには、道の駅名物「男爵ソフトクリーム」がおすすめ。塩をひとふりするとじゃがいもの風味が際立ち、ここでしか味わえない、素朴でやさしい甘さにほっこりと癒やされます。

敷地内には、雄大な海をひとり占めできる全長460.9メートルの「世界一長いベンチ」があり、絶景を眺めながらゆったりとくつろぐことができます。売店では、幸せを呼ぶといわれるさくら貝をモチーフにした可愛らしいお土産や、地元の特産品が数多く並んでいます。

また現在、能登半島地震で被災した店舗が入居する仮設商店街も、駐車場内で営業中です。買い物を通して復興を応援できる、心温まるスポットとなっています。

お腹がいっぱいになったあとは、少し腹ごなし。車で約5分のアクティビティスポット「リゾートエリア増穂浦（ますほがうら）」へ向かいましょう。ここには、キャンプや海遊びが楽しめるアウトドア派にぴったりの宿泊施設が併設されています。

目の前に広がるのは、まるでプライベートビーチのような絶景の海岸線。日本の水浴場55選にも選ばれた、透明度の高い海が魅力です。

週末や祝日限定で、砂浜を駆け抜ける迫力満点の8輪サンドバギーや、海を眺めながら楽しむオフロードセグウェイの体験ができます。さらに、季節限定で人気のSUP（サップ）体験も。ここでしか味わえない特別なアクティビティは、事前の電話予約が必須です。

サンドバギーで思い切り遊んだあとは、絶景スポットでひと休み。信号のほとんどない小さな集落を抜けると、左手に「義経の舟隠し」の案内看板が見えてきます。そこからさらに1分ほど進むと、「ヤセの断崖」駐車場に到着します。

高さ約35メートルから日本海を一望できるこの断崖は、土地が“ヤセて”いることや、断崖から眼下を見下ろすと「ヤセる思い」がすることに由来して、その名が付けられたといわれています。思わず足がすくむようなスリルを感じながらも、ヤセる思いで絶景ショットを撮影してみてはいかがでしょうか。

「ヤセの断崖」から歩いて約300メートル、細い一本道を進むと「義経の舟隠し」に到着します。道中では、およそ840年前の出来事に思いを馳せながら進みましょう。鎌倉時代・文治2年（1186年）、源義経は兄・源頼朝に追われ、この入江に48隻もの船を隠したと伝えられています。

また、小説『ゼロの焦点』の舞台としても知られるこの地。断崖絶壁から望む景色は迫力があり、絶好の撮影スポットとして人気です。

絶景ポイントを後に、海沿いの道を快走しながら輪島市へ。「ライダーを笑顔で歓迎する都市」として知られるこの町には、ツーリングにぴったりのスポットが点在しています。道中では、まるで“トトロ”のような形に見える「トトロ岩」も楽しめます。

今回の目的地は、ライダー交流の拠点として知られる「道の駅 赤神」。二輪車専用駐車場や、寄せ書きが並ぶメッセージボードが設置されており、ツーリング途中に立ち寄りたくなるスポットです。

なお、現在は時短営業となっており、営業時間は14時まで（※要確認）。訪問の際はご注意ください。

いよいよ最後のスポット、「總持寺（そうじじ）祖院」へ。専用駐車場はないため、門前総合支所前や堀端復興広場の駐車場を利用するのがおすすめです。

境内へと続く「三松関土塀（さんしょうかんどべい）」は、現在も復興の途中にあります。また、總持寺のシンボルでもある朱塗りが鮮やかな「白字橋」は、令和6年能登半島地震の影響で通行不可となっています。

それでも、昭和7年に完成した総欅造り・高さ17.4メートルの「山門」は、今もなお堂々とそびえ立ち、その重厚な佇まいから歴史の重みと威厳が感じられます。

「總持寺祖院」は、1321年に創建された禅の聖地です。江戸時代には幕府から曹洞宗の大本山として認められ、加賀藩や地域の人々から厚く信仰されてきました。明治時代の大火により本山は神奈川県横浜市鶴見区へ移転しましたが、輪島の祖院は再興され、現在もその歴史を受け継いでいます。

そして令和6年元日に発生した能登半島地震から約11か月後、境内の建造物16棟が国の重要文化財に指定されました。現在も境内を一周する回廊には立ち入ることができず、復旧には総額約38億円、期間は約9年2か月を要する見込みで、完了は2034年春を予定しています。

歴史と文化が息づくこの場所を訪れること自体が、復興を応援することにもつながります。旅の締めくくりにふさわしい、心に残るスポットです。

ドライブ好きにおすすめの能登西海岸ドライブ旅、いかがでしたか？ 信号や渋滞が少なく、快適に走れるのがこのルートの魅力です。

能登の人気観光スポットはもちろん、美しい自然や歴史文化、地元グルメもたっぷり楽しめました。さらに、意外と多くパワースポットが点在しており、1日でしっかりとエネルギーをチャージできます。

季節ごとに表情を変える能登の旅。次回は、ぜひ宿泊してじっくり巡ってみてはいかがでしょうか。

また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設やイベント情報を随時更新中です。

皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。