【石川県&香川県★連携Vol.3】金沢城と丸亀城 〜前編:名城の石垣をめぐる旅〜


349ビュー 2022.11.15投稿

ここがすごい!石川県の「金沢城」と香川県の「丸亀城」

今回のテーマ「城の石垣」で取り上げるのは、日本100名城に選ばれている石川県金沢市にある「金沢城」と、香川県丸亀市にある「丸亀城」です。
 
加賀百万石を象徴する金沢城は「石垣の博物館」と称され、全国に例がないほど多種多様な石垣が存在します。高さ日本一の石垣を有する香川県の丸亀城は「石垣の名城」として有名で、石垣の上に鎮座する天守は現存十二天守の一つです。特集の前編では公園として整備され、屈指の観光スポットでもある2つの城の石垣の見どころを、後編では現在開催中の秋の石垣ライトアップイベントについてご紹介します。
 
【石川県&香川県★連携】特集は、観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、さまざまな観光コンテンツをテーマに全10回にわたり両県の魅力を発信します。シリーズ第3弾のテーマは「城の石垣」です。

【石川・金沢城】さまざまな石垣が壮観!石垣の博物館と称される「金沢城」

金沢城は天正11年(1583年)に加賀藩の開祖・前田利家が入城し、その直後から本格的な城づくりが始められました。キリシタン大名として知られる高山右近が築城を指導したと伝えられています。
 
城の外まわりには野趣あふれる高石垣を配し、藩主の住む御殿や庭園まわりには芸術的なデザイン感覚にあふれる石垣群が築かれました。種類の多さや美しさに加え、石垣づくりの秘伝書や歴史資料、当時の石切り場、石引き道などの環境が今も残ることから、金沢城は「石垣の博物館」と呼ばれています。
金沢城の石垣の大半は、城の南東約8kmにある戸室山(とむろやま)周辺で産出する戸室石(安山岩)を使用。赤っぽい「赤戸室」、青っぽい「青戸室」があり、配色によって独特の雰囲気が醸し出されています。
金沢城公園では特色ある石垣をめぐる城内ルート、城外周ルートが整備され、ルートMAPや案内板を頼りに石垣めぐりを楽しめます。石垣は日本の城を楽しむ着目ポイントで、石の積み方・加工の仕方で、積まれた時代の技術や社会情勢、美意識などがうかがえます。観光ボランティアガイドさんに案内してもらうと、工法の違いなども詳しく解説してくれます。
 
<石の加工法>
自然石積み(野面積み):自然石や粗割りした石を組み合わせて積んだ石垣。古い技法で、大きさや形の違う石で乱れた積み方になる。
切石積み(切り込みハギ):整形した石材を隙間なく密着させて積み上げる技法。
粗加工石積み(打ち込みハギ):石の角や面をたたいて加工し、石同士の接合面の隙間を減らして積み上げる技法。
 
<石の積み方>
布積(ぬのづみ):ある程度高さがそろった石材を用い、横の目地(継ぎ目)を通す。石を同じ形に加工する手間はかかるが、高い技術がなくても積める。
乱積(らんづみ):不揃いの石材を使用するため横目地が通らない。バランスがとりにくいため積み上げに高い技術が要求される。
算木積(さんぎづみ):崩れない石垣を造るために一番重要な角(隅角部)に用いる、横長の石材を短辺と長辺を交互に組み上げる技法。

【石川・金沢城1】左右で積み方が違う「石川門」の石垣

金沢城跡の東に位置する搦手(からめて・裏口)の石川門は、兼六園に隣接することから、もっとも人の往来が多く、金沢城を象徴するスポットです。
宝暦9年(1759年)の大火で全焼しましたが、11代藩主・前田治脩の代に再建され、その後も修理を重ねて現在の姿になり、国の重要文化財に指定されています。一の門をくぐった先の枡形(ますがた・方形の広場)には左右で積み方が違う石垣があり、右は「切石積み」、左は「粗加工石積みの技法で積まれています。

【石川・金沢城2】「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」の優美な石垣

菱櫓(ひしやぐら)・五十間長屋(ごじっけんながや)・橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)は、平成13年(2001年)に完成した復元建物です。明治時代の焼失前の姿が忠実に再現され、石垣も解体・積み直しが行われました。
 
三の丸広場に面した石垣は「粗加工石積み」で、裏手の二の丸側は「切石積」の技法で積まれています。石垣の角の部分に施された、ゆるやかに弧を描く算木積み(さんぎづみ)の稜線も優美です。
藩主の居所である二の丸御殿を守るための砦・武器庫の役割をした建物で、五十間長屋はが五十間=約90mもあります。石落しや鉄砲狭間となる格子窓、白塗漆喰壁や海鼠壁で防火構造になっていて、窓の配置が三の丸側は上下の階層で交互になっているのも、外敵への備えなのだそう。
復元された建物は内部の見学もでき、鉛瓦や漆喰壁など、再現に用いられた伝統技法などの展示も行われています。金沢城公園は入無料ですが、この建物の内部見学は入料が必要です。

菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門

[開]9:00~16:30(最終入館16:00)
[休]年中無休 [料]大人320円、小人100円
※65歳以上は公的な証明書があれば無料。
※五十間長屋+兼六園セット利用券500円

【石川・金沢城3】「土橋門」の石垣にある亀甲石

切石積み」の技法で積まれた土橋門の石垣。パッチワークのような石垣の中に、六角形の石「亀甲石(きっこういし)」があります。これは、水に親しむ亀を表したもので、防火の願いが込められているそう。この石のおかげで文化年間の大火でも、土橋門は消失を免れたと伝わっています。

【石川・金沢城4】「数寄屋敷」の石垣で刻印を見つけよう

藩主の側室たちの住まいがあった数寄屋敷の付近の石垣は、石の表面に◯に十文字など、さまざまな形の刻印が刻まれています。他のエリアの石垣でも刻印がみられますが、ここは数多くの刻印を間近で見ることができるベストスポットです。

【石川・金沢城5】お殿様のプライベートガーデン「玉泉院丸庭園」の石垣

「玉泉院丸庭園(ぎょくせんいんまるていえん)」は、3代・前田利常が作庭してから廃藩まで、歴代の加賀藩主が愛でた池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の大名庭園です。明治期に廃絶しましたが、平成27年(2015年)に発掘調査や絵図・文献などに基づいて整備・再現されました。庭園の全景を眺められる休憩所「玉泉庵」があり、茶室で抹茶と生菓子を味わうこともできます。
饗応の場として活用された「兼六園」に、「玉泉院丸庭園」は藩主のプライベートな庭園だったと考えられ、池底から周囲の石垣最上段までの高低差が22mもある立体的な造りになっています。
必見は「色紙短冊積石垣(しきしたんざくづみいしがき)」です。上部に滝を組み込んだ特別な石垣で、滝口には黒色の坪野石でV字形の石樋をしつらえ、落水の背後には色紙形(正方形)の石材と短冊形(長方形)の戸室石を段違いに配しています。城郭石垣の技術と庭園のデザインが見事に融合した、金沢城石垣の傑作といわれています。

【石川・金沢城6】城内でもっとも古い「自然石積み」を用いた石垣

東の丸北面石垣は、自然石や荒割りしただけの石を緩い勾配で積み上げた「自然石積み」になっています。城内でもっとも古い技法が用いられた石垣で、金沢城の初期の姿を伝える貴重な存在です。
隣接する鶴の丸広場の「鶴の丸休憩館」には、無料の休憩スペース、金沢城や加賀藩の歴史を紹介するデジタル展示、ボランティアガイドの受付などがあり、茶店で食事やティータイムも楽しめます。菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門を一望できる穴場的なビュースポットです。

金沢城公園

[所] 石川県金沢市丸の内1-1
TEL 076-234-3800(兼六園・金沢城公園管理事務所)
[開] 3月1日~10月15日 7:00~18:00、10月16日~2月末日 8:00~17:00
※21:00までのライトアップ(夜間開園)の入園:石川門口、鼠多門口、玉泉院丸口から
[休] 無休
[料] 入園無料
※菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓・橋爪門の入館は大人320円、小人100円

ここからは、石川県と観光連携している香川県の名城「丸亀城(まるがめじょう)」をご紹介します。

【香川・丸亀城】築城400年以上の歴史を持つ石垣の名城「丸亀城」

日本100名城にも選ばれている「丸亀城(史跡丸亀城跡)」は、慶長2年(1597年)、豊臣秀吉の家臣であった生駒親正(いこま・ちかまさ)、一正(かずまさ)によって築城が進められ、慶長7年(1602年)に完成したといわれています。
 
その後、一国一城令により生駒氏は高松城を残して丸亀城を廃城し、領主・藩主も変遷します。正保2年(1645年)に山崎氏が幕府の許可を得て丸亀城を再築しますが、その頃が最も築城技術が発達していた時期で、山崎氏の時に石垣の大半を、京極氏の時に天守や大手一の門などをつくり、現在にも残る姿が完成しました。
丸亀城は標高66mの亀山に築かれた平山城で、別名「亀山城」とも呼ばれています。天守に向かって登っていく道中、北側には美しい瀬戸内海の景色が広がり、視界の先に香川県と岡山県を結ぶ瀬戸大橋を眺めることもできます
かつて藩主が月見をしていたといわれる「月見櫓跡」からは、正面に「讃岐富士」と呼び親しまれる飯野山を望み、周囲には丸亀市街地が広がります。

【香川・丸亀城1】日本一高い石垣

丸亀城には3つの“日本一”があります。皆さん、それが何かわかりますすか? そう、1つ目は今回のテーマでもある「石垣」です。
 
丸亀城の石垣は築城技術が最も発達した頃につくられ、石垣の総高はおよそ60mもあり、日本一の高さを誇ります。城内には自然石積み(野面積み)、切石積み(切り込みハギ)、粗加工石積み(打ち込みハギ)など、さまざまな石積みでつくられた石垣があり、一度に複数の技法を見ることができます。また、緩やかな勾配から上にいくにつれて、反り返る石垣の優美な曲線は「扇の勾配」呼ばれ、高い防御性とともに美しさも兼ね備えています。石垣の中には「△」や「田」など刻印も見られます。
天守の真下、三の丸から見た石垣の様子(およそ20mの高さ)。丸亀城内で一層の単独石垣としては「三の丸坤(ひつじさる)櫓台」が31mと全国2位の高さを誇っている。
「扇の勾配」と呼ばれる隅角部の曲線美がよく分かる撮影スポット(北側の正門から見返り坂を登った先、右手側)。

【香川・丸亀城2】日本一小さな天守

丸亀城は現存する木造十二天守の1つとして国の重要文化財に指定されています。立派な石垣のため、下から見ると荘厳なお城のように見えますが、高さ約15mの3層3階の木造天守で「日本一小さな天守」といわれています。これが2つ目の日本一。
実際に中に入ってみるとコンパクトなつくりなのがよく分かります。山上の最高所にある丸亀城天守は、日本一小さな天守であるとともに、四国内の木造天守の中では最古と考えられています。天守内では城を防御するための石落としの仕掛けなどが見学でき、急勾配かつ幅の狭い階段の上り下りはスリリングです。

【香川・丸亀城3】日本一深い井戸

亀山(かめやま)で2番目に高い平場・二の丸にある「二の丸井戸」は日本一深い井戸といわれ、水深は約30m、絵図には深さ三十六間(約65m)とされています。井戸は城を守備する時や日常生活において欠かせない存在です。この井戸には、丸亀城の築城にまつわる怖い逸話も残っていますが、ここでは内緒にしておきますね…(笑)。

国指定重要文化財 丸亀城

[所] 丸亀市一番丁
TEL 0877-22-0331(丸亀市観光協会)
[開] 天守9:00~16:30(最終受付16:00)
[休] 無休
[料] 天守 大人200円、小・中学生 100円

金沢城と丸亀城 復元整備の様子が見られるのは今だけ

金沢城では、菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓をはじめ、鼠多門など多くの建物が復元され、現在は藩主の住まいがあった二の丸御殿の復元整備が進められています。今は埋蔵文化財の調査中で、その様子を垣間見ることができます。
香川県の丸亀城では、石垣の修復工事が行われています。2018年7月の西日本豪雨の影響で石垣の一部が崩れ、その後の台風に伴う大雨などでもさらに大規模な崩落が相次ぎました。崩落現場には大きなクレーンが立ち、周辺には出土した石材が並べられています。また、丸亀城の歴史や石垣崩落の経緯、工事の概要などのパネルなどを設置した「丸亀城石垣崩落復旧整備事業PR館」も見学できます。

石垣の本格的な修復工事は、全国各地からの募金・寄付金などの支援で現在も進められています。大切な歴史遺産として後世に残すために、復旧の援助・協力をよろしくお願いします!

「お城」特集の後編/【石川県&香川県★連携】特集シリーズを読む

この特集は観光パートナーシップ協定を締結している石川県と香川県が、両県の魅力を発信している全10回のシリーズ企画で、今回は後編で「金沢城と丸亀城 秋の石垣ライトアップイベント」も紹介しています。石川県の「ほっと石川 旅ねっと」と、香川県の「うどん県 旅ネット」で、共通テーマを相互に取材した特集を掲載しているので、ぜひ併せてご覧ください!​