【石川県&香川県★連携 Vol.1】2つの国際芸術祭をめぐる旅 〜後編:奥能登国際芸術祭(ART Oku-Noto 2022)〜


924ビュー 2022.10.07投稿
香川県から訪れた今瀧さんを、珠洲市在住・サポートスズの小菅さんが「奥能登国際芸術祭」の常設作品を特別公開する「ART Oku-Noto 2022秋」(終了:9月17日〜19日開催)へとご案内! 芸術祭・特別公開の期間以外も、常設の全18作品は10名以上の予約で屋内作品も鑑賞でき、予約なしでも楽しめる屋外作品もあるので、ぜひ奥能登の旅の参考にしてください。

※石川県と香川県は観光パートナーシップ協定を締結しています。【石川県&香川県★連携】特集ではさまざまな観光コンテンツをテーマに、全10回にわたり両県の魅力を発信していきます。第1回目は「芸術祭」をテーマに<前編>で香川県の「瀬戸内国際芸術祭」、<後編>で石川県の「奥能登国際芸術祭」をご紹介!

待ち合わせは「さいはてのキャバレー」で

小菅さんは8月末に「瀬戸内国際芸術祭2022」「こえび隊」のサポートスタッフとして参加し、その際に出会った今瀧さんとは約1ヶ月ぶりの再会。待ち合わせの「さいはてのキャバレー」は、珠洲市と佐渡市を結ぶ定期船の待合室があった場所です。

アート満喫の珠洲旅をしてくださった2人をご紹介!

【今瀧哲之(いまたき・てつゆき)さん】
香川県庁職員、「瀬戸内国際芸術祭」を立ち上げから担当。もともとはアートに興味がなかったが、今では大のアート好き。珠洲市へは「奥能登国際芸術祭2017」の訪問以来で5年ぶり。2021年開催の「奥能登国際芸術祭2020+」は来訪できなかったので、今回の旅では2020+の新作鑑賞と、2017年の作品との再会が楽しみ。

【小菅杏樹(こすが・あんじゅ)さん】
奈良県出身、2021年開催の「奥能登国際芸術祭2020+」に感銘をうけて2022年5月に珠洲市へ移住。「サポートスズ」のスタッフとして、作品メンテナンス、作品案内、パンフレット等のデザインの仕事に携わる。「瀬戸内国際芸術祭2022」夏会期に「こえび隊」のサポートスタッフとして参加。その様子は【石川&香川連携】2つの国際芸術祭をめぐる旅 〜前編:瀬戸内国際芸術祭2022〜 でご紹介しています。

定期船は1978年に廃止されましたが、「奥能登国際芸術祭2017」を機に19世紀末にパリで産声をあげたキャバレーのように、住民・旅行者・芸術家が集い、最先端の文化芸術を楽しみ交流する場所を目指して生まれ変わりました。2017年の芸術祭後も貸館として利用され、2020+ではインフォメーションセンター、公式グッズの販売や憩いのスペースに。
「このイルカの壁画は芸術祭の前からのものかな、まるで奥能登のラッセンみたいだね」と今瀧さん。
「さいはてのキャバレー」の屋外のテラスには、2020+の新作「石の卓球台第3号」が常設展示されています。卓球の名手としても名高い浅葉克己の作品で、普段も卓球台は見ることができますが、今回のような特別公開のときは、ネットやラケット、ボールも用意されているので卓球体験もできます。
 

さいはてのキャバレー / 石の卓球台第3号

石川県珠洲市飯田町1-1-13

海原を見下ろすレストランで海の幸と絶景を味わう

少し早いけれど、混んでくる前にランチのお店へ。海沿いの峠を上りきった場所にある「つばき茶屋」は、広い海原を見下ろせる絶景スポットにあり、お料理の美味しさ、ユニークなサービスでも人気のお店です。ランチは11:30〜15:00、奥能登のよさが詰まったお魚中心のメニューが味わえます。天気の良い日はテラス席で景色を見ながらの食事、カフェタイムは最高に幸せな気持ちになります。
「つばき茶屋」名物の一つが、ザルに入った石のメニュー。
かわいくて面白い石のメニューは、裏面に価格が書かれています。
料理が運ばれてくるまで絶景を味わいましょう。「奥能登の海はいいね、瀬戸内海は水平線がないから、この開放感はたまらないね」と今瀧さん。
今瀧さんチョイスの「お刺身定食」(1,500円)。この日は新鮮なガンド(ブリの一歩手前サイズ)とサザエのお刺身がメインで、能登の新鮮な野菜や海の幸を使った惣菜もたっぷり。
小菅さんチョイスの「大浜のだいちゃん定食」(1,200円)は、能登半島先端の狼煙(のろし)地区で昔から栽培される地豆「大浜大豆」を使った厚揚げとおぼろ豆腐がメイン。
この料理、この景色。思わず幸せな笑顔がこぼれます。
(左)一番人気の「イカさま定食」(1,200円)。(右)ガンド(ブリの一歩手前)に甘辛いタレがからんだ「ぶりっ子丼定食」(1,000円)。
 

つばき茶屋

石川県珠洲市折戸町1-3-1
TEL 0768-86-2059
[営]10:00~16:00 [休]不定休、冬季休業(12月~3月中旬頃)

民具とアートが融合した「スズ・シアター・ミュージアム 光の方舟」へ

「スズ・シアター・ミュージアム」は、「奥能登国際芸術祭2020+」で誕生した日本海を見下ろす場所にある目玉作品。2016年に閉校した小学校の体育館を改修し、市民総参加型プロジェクト「珠洲の大蔵ざらえ」で珠洲市内の家々に眠っていた生活用具の数々が一堂に集められました。それらが民俗・人類学的視点から展示紹介されるとともに、気鋭の8組のアーティストたちの手で珠洲の歴史や風景、風土などをテーマとした作品として新たな命が吹き込まれました。
入口には2020+のポスターや公式ガイドブックの表紙を飾った「珠洲の大蔵ざらえ」で寄贈された大八車が。
世界土協会の「Soilstory -つちがたり-」は、能登の風習「あえのこと」のリサーチや土の記憶にまつわる地元の人たちとの対話をもとに、「大蔵ざらえ」で得た「もの・証拠」を素材に民具の声をテーマとしたインスタレーション。
(左)祭りとは会いたい人に会える約束の場所ととらえ、古着を裂いて結び直した「記憶の紐」と、祭りで実際に使われていたキリコを組み合わせて約束の場所を表現した大川友希の「待ち合わせの森」。(右)能登の風習「ヨバレ」で使われてきた赤御膳を積み重ねた漆器の塔。「ここを覗いてみて」と言う地元のサポーターさんに促されて足元を覗き込むと、灯でゆっくりと浮かび上がる奥まで続く御膳の列が。
まさに「モノが自ら語り出す」これまでにない劇場型民俗博物館。サポートスタッフとして参加している地元の年配の方から、民具や風習について聞くこともできます。
会場中央には珠洲の古代の地層から掘り出した砂を敷き詰め、木造船、古いピアノなどが据えられています。まるで目の前に海があるように見えるときもあります。
南条嘉毅「余光の海」の作品は、光、音楽、スモークなどの演出で、記憶の残照のような世界に引き込まれます。
客席の下にはOBIによる「ドリフターズ」の展示。
(左)竹中美幸「覗いて、眺めて、」は、半透明なガラス小屋の中に「大蔵ざらえ」で見つかった日記をもとにした珠洲の現在と過去を表現。(右)舟小屋に眠っていた木造船の古材を配し、珠洲の海と船のイメージをめぐる三宅砂織の作品
(左)久野彩子「静かに佇む」は、朽ちた農機具に金属の造形物を添え、北前船の寄港地として栄えた街の風景や、過去とまだ見ぬ風景を映し出しています。(右)鹿の角・骨を素材とした作品で注目を集める橋本雅也が、クジラの骨で制作した作品。
スズ・シアター・ミュージアムは期待以上!! 多くの作家が参加しているのに、このまとまりや世界観は素晴らしい」と今瀧さんも絶賛。会場を去る前に2020+のメインビジュアルにもなった、海風で斜めに育った松の木と一緒にポーズ!

スズ・シアター・ミュージアム

石川県珠洲市大谷町2-47(旧珠洲市立西部小学校)
一般800円/大学生600円/小中校生400円
※会期外は10名以上の事前申込で鑑賞可

塩田の歴史と記憶を作品にした「時を運ぶ船」

塩田(しおた)千春さんの塩田(えんでん)をモチーフにした作品です。ここ、大谷エリアに広がる塩田に自らのルーツとの関わりを感じ、外浦沿岸を望む旧保育所を作品の場所に選んだそうです」と小菅さん。「奥能登国際芸術祭2017」からの人気作品で、塩田に敷きつめる砂を運ぶために使った砂取舟から、空間いっぱいに赤い糸を張り巡らせ、塩づくりの技術を今に守り伝えてきた人びとの歴史と記憶を紡いでいます。
船の展示室の隣の部屋には、制作の様子を映像で見ることができる覗き窓があります。
珠洲の揚浜式塩田は何度か消滅の危機に瀕しながらも、日本で唯一、古代から連綿と続く伝統的な製塩法。会場の近くにある「道の駅 すず塩田村」では見学・体験もできます。

時を運ぶ船

石川県珠洲市清水町4-41(旧清水保育所)
※会期外は10名以上の事前申込で鑑賞可

さいはてのカフェで出会う最高の時間

美しい海が眼前に広がる「Cafe Cove」で、ちょっとひと休み。奥能登の絶景スポットの一つ、木ノ浦海岸のCove=入江を眺めながら、美味しいランチやスイーツ、コーヒーなどが楽しめます。海の家として使われていた建物で、愛媛県出身、京都でイタリアンのシェフをしていた谷口佐知さんが営むカフェです。珠洲を旅していたときに二三味珈琲(にざみこーひー)の二三味葉子さんと出会い、焙煎所(舟小屋)に隣接するこの建物や奥能登の魅力に惹かれて移住を決めたそう。メニューはもちろん、店内の心地よさに魅了されます。
「スイーツも美味しいくて、大好きなお店です」と小菅さん。「このカフェを目的に訪れたくなるね。今回は奥能登の食の豊かさに驚いています」と今瀧さん。木ノ浦海岸は過去2回の芸術祭で作品の展示会場になり、「二三味珈琲」をモデルにした2015年公開の映画「さいはてにて」のロケ地にもなったスポット。
二三味ブレンドの「アイスコーヒー」(550円)、自家製シロップを使った「ブラッドオレンジソーダ」(715円)と、「コーヒーあんみつ」(770円)、「ブラッドオレンジのタルト」(495円)。
オーナーの谷口佐知さんは愛媛県出身。能登の野菜を中心に、故郷の瀬戸内の柑橘など、旬の食材を使ったメニューを提供しています。
珠洲在住の家具職人・辻口洋史さん作の棚やベンチなども素敵です。
「今日のお昼ごはん定食」(1,100円)。この日は夏野菜のスパイスキーマカレーを中心にした野菜たっぷりのワンプレート。

Cafe Cove(カフェ コーブ)

石川県珠洲市折戸町ハ101
TEL 0768-86-2663
[営]10:00~16:00 [休]火・水・木曜、冬季休業(11月末~3月)

廃線跡のメッセージ「Something Else is Possible/なにか他にできる」

奥能登国際芸術祭2017の後は常設作品となり、今や珠洲の風景の一部になったトビアス・レーベルガーのカラフルな作品。虹色のグラデーションを描き、うねるような四角形のフレームの中を鑑賞者が進むと、双眼鏡が設置されています。レンズを覗くと「のと鉄道」の終点だった旧蛸島駅の先に作家からのメッセージ「Something Else is Possible(なにか他にできる)」の看板が見え、道路を挟んだ先の線路跡を歩いて近くまで行くこともできます。
廃線跡に開通した虹色のトンネル。71本の角パイプが寒色から暖色へ虹色のグラデーションを描き過去・現在・未来を表現しています。
双眼鏡の先に見えるのは・・・。
双眼鏡の先に見えた看板と、旧蛸島駅の方へ線路を歩いて行くこともできます。
 

Something Else is Possible/なにか他にできる

石川県珠洲市正院町(旧蛸島駅周辺)

お知らせ:瀬戸内国際芸術祭2022 秋会期、奥能登国際芸術祭2023

「奥能登国際芸術祭」の常設展示を巡るアート満喫の旅はこれにて終了! みなさんの奥能登の旅の参考になると幸いです。あわせて開催中の「瀬戸内国際芸術祭2022」、来年開催の奥能登国際芸術祭2023も、ぜひお楽しみください!

◆瀬戸内国際芸術祭2022 秋会期
2022年9月29日(木)〜11月6日(日)
会場エリア:香川県・岡山県にまたがる瀬戸内海の12の島と2つの港
直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港、宇野港、本島、高見島、粟島、伊吹島
問合せ:瀬戸内国際芸術祭総合案内所 TEL 087-813-2244  >>公式サイト

◆奥能登国際芸術祭2023
2023年9月2日(土)〜10月22日(日)
会場エリア:石川県珠洲市全域
問合せ:奥能登国際芸術祭実行委員会 TEL 0768-82-7720  >> 公式サイト
サポート・スズ TEL 080-9992-9620  >> 公式サイト