【会いにいく、能登。~能登で歩む人々をインタビュー(12)~】「僕らを目印に来てください」能登で新しい“しるし”をつくる細野さんの熱き想い(能登町)

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能登を旅する目的は、景色や食だけではありません。「この人に会ってみたい」「この店に行ってみたい」。そんなひとつのきっかけから旅先を決めるのもいいものです。今回訪ねたのは、2025年に東京から能登へ移住し、能登町を拠点に飲食店や民泊などを手がける細野さん。なぜ東京から能登へ移住し、この土地で新しいことを始めたのか。現在の取り組みから、若者たちに能登で暮らしてもらうワークステイ、そして細野さんが感じている能登の魅力まで、じっくりお話を伺いました。

【会いにいく、能登。~能登で歩む人々をインタビュー(12)~】「僕らを目印に来てください」能登で新しい“しるし”をつくる細野さんの熱き想い(能登町)

プロフィール


細野 涼介(ほその りょうすけ)

1989年生まれ

石川県金沢市出身

株式会社SHIRUSHI 代表取締役

飲食業を中心に、能登でまちづくりがしたかった

現在の取り組みについて教えてください。
細野さん
能登町で飲食店を2店舗と、民泊を2施設運営しています。飲食店は「能登shirushi(しるし)」とイカの駅つくモールのレストラン「ひりゅう」。今後は旅館業や農業にも力を入れていく予定です。2027年には一棟貸しの宿泊施設をオープンできるよう、準備を進めています。

そもそも僕が能登に来たのは、飲食業を中心にまちづくりがしたかったからなんです。飲食だけをやりたいというより、飲食を中心にしながら、能登だからこそできることにどんどん取り組んでいきたいなと。
細野さん
2025年に東京から能登へ移住されたんですよね。もともと能登とのつながりはあったのでしょうか?
細野さん
生まれも育ちも金沢ですが、父の実家が能登町の柳田にあったので能登とのつながりはありました。その家は拡張工事でなくなってしまったんですけどね。

「能登半島地震で被災しなかったからこそ能登に来た」という部分もあります。被災していない自分だからこそできることがあると思っていますし、自分にできることをやっていきたい。

ここに住んでいる若者たちにかっこよく映ればいいな、とか、地震後に能登を離れていってしまった人が「戻って自分も頑張ろう」と思ってくれたら嬉しいです。
細野さん
  • 仕込み作業をする細野さんご夫妻
  • shirushiの店内

誰かの目印であろう。店名に込めた思い

細野さんが大切にしていることを教えてください。
細野さん
僕たちが事業のミッションに掲げているのが、「誰かの目印であろう」です。

店の名前である「能登shirushi」も、目印という意味からつけています。僕たち自身や、僕たちがやっていることが、誰かにとっての目印になればいいなと思っています。
細野さん
そんな素敵な由来があったんですね!
「能登shirushi」では、どんなお料理やお酒を楽しめますか?
細野さん
季節の土鍋ごはんや、能登の食材を使った日替わり料理を提供しています。

お酒については、あえて地元のものだけにはこだわっていません。自分たちが飲みたいと思うお酒を置いて、それを地元の人にも知ってもらいたいと思っています。

能登の地酒を外から来た人に知ってもらうことももちろんですが、外のおもしろいものを地元の人に知ってもらう。そういう行き来があるのもいいなと思っています。
細野さん
能登に住んでいると、都会に比べてクラフトビールなんかを気軽に飲めるお店が少ないのが寂しいんですよね……。東京の神田でお店をやっていた細野さんだからこそ仕入れもスムーズでしょうし、個人的にも本当に本当にありがたいお店です!
  • カウンター越しに提供される絶品ごはん
  • 季節の土鍋ごはんは食べきれなければお持ち帰りのおにぎりに!
  • イカの駅つくモールの「ひりゅう」では魚醤を使ったカレーなどが楽しめる
  • イカの駅つくモール

産直はあえてしない。地域で“商い”をする人たちも大切に。

食材の仕入れについても、大切にしていることがあるのだとか。
細野さん
魚は「魚や ららら」さんなど、地元の鮮魚店から仕入れています。

僕はあまり「産直」を使いたくないんです。生産者から直接買うことだけではなくて、その間にいる「商い」をやっている人たちのことも、ちゃんと見ていたい。

僕たち自身が競りに行って仕入れることもできます。でも、地域には魚を仕入れて売っている人たちがいる。それなら僕らがわざわざ競りに行かなくても、そういうプロの人たちから買えばいいと思っているんです。
細野さん
これから飲食の分野でやってみたいことはありますか?
細野さん
クラフトサケもやってみたいと思っています。秋田県の男鹿半島にある「稲とアガベ」さんの取り組みにも興味があって。飲食店や宿だけに限らず、これから少しずつ新しいことにも挑戦していきたいですね。
細野さん
  • プロが選んだ食材をプロが提供する

誰かの人生の中に、能登で生活した3週間を。

2026年にスタートした学生限定の「能登ワークステイ」。リゾートバイトのような形で若者を受け入れる取り組みです。観光客として数日間訪れるのではなく、約3週間、実際に能登で生活してもらいます。

これ、私が大学生なら絶対に参加していました(笑)
ぜひ詳細をお聞かせください。
細野さん
「誰かの人生の中に、能登で生活した3週間を」というコンセプトで受け入れを始めました。本のしおりのような思い出を刻んでもらえたらいいなと。

別に、そのまま能登に移住してほしいわけではないんです。卒業して就職して、違う場所で生きて大人になる。でも何年か経ったときに「あのとき能登で暮らしたな」と思い出してもらって、いつか移住を考えるタイミングが来たときに、能登が選択肢のひとつになっていたらすごく嬉しい。
細野さん
長期計画!!でも、確かに自分が10年前に行った民宿や旅行先で出会った人のことって意外と覚えているんですよね。
滞在中は、どのように過ごしてもらうのでしょうか?
細野さん
仕事もありますが、せっかく能登に来てもらうので軽トラに乗ったり、原付や自転車で移動したり、観光に来るだけではなかなか経験しないような、能登での「生活」を楽しんでもらいます。

場合によっては、人手が足りていない地元の店舗のお手伝いに行ってもらうことも。

観光だけではなく、ここで生活して、仕事をして、祭りに参加して、地域の人と関わってもらう。そうやって過ごした3週間が、いつか能登を思い出すきっかけになればいいなと思っています。
細野さん
  • ワークステイ中の写真(細野さん提供)
  • ワークステイ中の写真(細野さん提供)
  • ワークステイ中の写真(細野さん提供)

何もない、何もない、何もないから全部ある。

能登のどんなところが好きですか?
細野さん
まず、人がめちゃくちゃやさしいです。おせっかいなくらい(笑)。町会の人たちにも本当によくしてもらっています。

あとは四季があるところですね。春、夏、秋、冬だけじゃなくて、春夏秋冬の間にも季節があるように感じるんです。

東京にいた頃に仕入れていた食材でも「実はこの季節の食べ物だったのか!」と気付かされることも多い。ここで暮らしていると昨日と今日で海の様子が違ったり、季節が少しずつ移っていくのを感じたり、そういう細かな変化に気づけるのが楽しいです。
細野さん
能登で暮らしているからこそ、感じることはありますか?
細野さん
能登って、よく「何もない」って言われるじゃないですか。でも僕は「何もないから全部ある」と思っています。

何でも用意されている場所ではないけれど、何もないからこそ、自分が掴もうと思えば何でもできる。そこが能登のおもしろさなんです。
細野さん
暮らし方や働き方にも変化はありましたか?
細野さん
6月に子どもが生まれたんですが、「1か月休みます」と告知だけして、実際に休むことができました。そういう選択ができたのも能登だからだと思っています。
細野さん
能登のお気に入りスポットを教えてください。
細野さん
五色ヶ浜ですね。常に何か考えてしまうので、たまに意識的にぼーっとしに行くんです。

海を眺めたり、気になる店に立ち寄ったり、何もせずにぼーっとしたり。特に都会で忙しい毎日を送っている人なら、あえて予定を詰め込まず、能登の時間に身を任せてみるのもいいかもしれません。
細野さん
  • 五色ヶ浜(細野さん提供)
  • 五色ヶ浜(細野さん提供)

基本情報

五色ヶ浜

住所:石川県鳳珠郡能登町新保

電話:0768-62-8526(能登町ふるさと振興課)

五色ヶ浜

僕らを目印に能登へ!

最後に、これから能登を訪れる方へメッセージをお願いします。
細野さん
能登は、皆さんが思っているよりも近いです。
どこに行ったらいいか分からないなら、僕らを目印に能登に来てください。
能登には好きになる要素しかないので、安心してください!
細野さん

店舗情報

能登shirushi

住所:石川県鳳珠郡能登町小木13-17-1

電話:070-3390-7979

営業日・定休日:Instagramにてご確認ください

能登shirushi

「能登へ行ってみたい」と思っていても、どこへ行けばいいのか、何をすればいいのか分からない人もいるかもしれません。そんなときは、会ってみたい人や行ってみたい店を、ひとつの「目印」にしてみるのはいかがでしょうか。

細野さんに会いに行く。能登でごはんを食べる。そこから地元の人や店を知り、おすすめの五色ヶ浜へ足を延ばしてみる。


観光スポットだけを目的地にするのではなく、そこで暮らし、働いている人に会いに行く。そうすると、これまでとは少し違った能登が見えてくるはずです。


「誰かの目印であろう」という事業ミッション、「能登shirushi」という店の名前、そして「誰かの人生の中に、能登で生活した3週間を」という若者たちへの思い。細野さんの取り組みには、一貫して「目印」という言葉がありました。


この目印をたよりに、能登への旅を始めてみませんか。

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