【会いにいく、能登。~能登で歩む人々をインタビュー(11)~】ケロンの小さな村 古矢 拓夢さん(能登町)
鳳珠郡能登町にある「ケロンの小さな村」。豊かな森に囲まれたこの場所は、今年で開村20年目を迎える体験型施設です。
自然の中で思いきり遊んだり、美味しい食を自分たちの手で作ったりと、子どもから大人まで笑顔になれる体験ができます。
今回は、2代目村長を務める古矢拓夢(ふるや たくむ)さんにお話を伺いました。震災を経てなお前を向き、能登の豊かな自然とともに生きる古矢さん。その熱い想いと、知られざる能登の魅力をお届けします!
制限のない「森の遊園地」!食と遊びから学ぶ最高の体験
「ケロンの小さな村は、一言で言えば森の遊園地なんです」と笑顔で語る古矢さん。
村内には、ツリーハウスや、大きな木から吊るされたブランコなど、手作りの遊具がたくさんあります。ブランコに乗って大きく漕ぎ出すと、すぐ下を流れる川の上を飛んでいるような爽快感を味わえますよ。
街中では「大きな声を出してはダメ」「走ったら危ない」と制限されることが多い現代。ですが、ここでは人目や声の大きさを気にする必要はありません。制限のない自由な空間で、子どもたちは五感をフルに使って全身で遊ぶことができます。
さらに、ケロンの小さな村の大きな特徴の一つが、食の体験です。大人気の石窯ピザ作り体験では、子どもたちが自分の手で生地を広げ、手作りのソースを塗り、村で育ったフレッシュな野菜をトッピングしていきます。
「自分たちが普段食べているものが、どうやって作られているのか」。そのプロセスを楽しみながら学べるのが魅力です。
実は古矢さんは、ケロンの小さな村の創設者である前村長・上乗秀雄(じょうのり ひでお)さんのお孫さんです。古矢さんは金沢市で生まれ育ちましたが、幼少期からお休みの日はこの村で過ごし、自然の中で遊ぶ楽しさを誰よりも知っています。だからこそ、誰もがのびのびと過ごせる温かな空間づくりを大切にしています。
人と自然が共生する「本物の里山」を取り戻したい
ケロンの小さな村が今、最も力を入れているテーマは、『能登の里山里海』との共生です。
「里山里海という言葉は有名になりましたが、地元の大人たちでさえ、暮らしの実感として捉えきれていないのでは」と古矢さんは危機感を募らせます。ただ木が生えているだけの山は里山ではありません。人が森に入り、手を入れることで初めて人と自然が共に生きる里山になるのです。
そこでこの村では、老若男女が自然に関われる様々な体験プログラムを提供しています。
子ども向けの取り組み
• 植樹イベントや落ち葉拾い、どんぐり拾い
• 森の音楽祭の開催
• 近隣小学校と提携したフィールドワークの受け入れ
大人・企業向けの取り組み
• 新人研修や役員研修などの企業研修の受け入れ
• 自然の中でのチームビルディングと人間関係づくり
大人向けの企業研修は、古矢さんが村長に就任してから新しく始めた取り組みです。
社会のルールや枠組みに縛られ、自分で判断することが難しくなりがちな現代人。しかし、自然界には絶対のルールなどなく、常に変化し循環しながら億年単位の時を生き抜いてきました。
古矢さんは会社員時代に岩手県釜石市の被災地を訪問し、さらに今回の能登半島地震も経験しました。人間の生きる力が試される場面を目の当たりにしてきたからこそ、自然から生きる知恵やたくましさを学ぶ重要性を強く感じているのです。
なお、能登半島地震によるこの村の遊び場への被害はほとんどありませんでした。一部の土砂崩れ箇所の修復を進めつつ、安全に遊べる環境が整っていますので、安心して訪れてみてくださいね。
心がじんわり温まる。ケロンの小さな村名物の「米粉パン&クッキー」
取材中、とっても嬉しいご褒美をいただきました。古矢さんの奥様・由妃乃(ゆきの)さんが開発された米粉100%のチャンククッキーです。
愛媛県出身の由妃乃さんは、東京で古矢さんと出会い、2026年6月にご結婚されたばかりの新婚さん!能登の塩の美味しさに深く感動し、このクッキーを作り上げたのだとか。
生地に使われている米粉は、この村の田んぼで大切に育てられたお米から作られています。一口かじると、米粉ならではの素朴で優しい甘みと、能登の塩の旨味が絶妙なアクセントに!古くから米に慣れ親しんできた日本人にもなじみ深い、どこかほっとする味わいで、とっても美味しい一品です。
また、村で販売されている香ばしい米粉パンは、おじい様である前村長の上乗さんが丁寧に焼き上げています。家族の愛情と、能登の恵みがぎゅっと詰まった焼き菓子&パン。訪れた際は絶対に味わってほしいおすすめ品です!
いつでも訪れることができる「ケロンの小さな村」
ケロンの小さな村は、いつでも入村可能で、季節ごとにホタルやカブトムシなどの生き物に出会える豊かな里山環境が広がっています。
米粉パンの販売や、大人気の手作りピザ体験は土日祝日のみとなっております。また、夏休み中などは臨時でパンを販売していることもあります。
ケロンの小さな村は国道沿いにあり、のぼりが立っていたら販売中の目印。見つけた方はラッキーです!ぜひお立ち寄りくださいね。豊かな自然のなかで親子でゆったりとした時間を過ごすのに最適な場所です。
基本情報
ケロンの小さな村
住所:〒928-0326 石川県鳳珠郡能登町斉和た部26
電話:0768-62-1471(事務所)
Mobile: 090-4322-1380(代表直通/ジョウノリ)
Fax: 0768-84-5012
E-mail: keron.mura@gmail.com
金沢・東京を経たからこそわかる「能登の人々の温かさ」
金沢で生まれ育ち、東京での社会人生活を経て能登へ移住した古矢さん。様々な場所で暮らしてきたからこそ実感する能登の一番の魅力を尋ねてみました。
緑豊かな森や綺麗な海、美味しい野菜や魚介類、お米といった食の魅力はもちろんのこと、古矢さんが何より惹かれているのは能登の人々なのだそうです。「都会では隣に誰が住んでいるかも知らないことが当たり前でした。でも能登では、世代を超えてみんなが家族のように温かく接してくれるんです」と古矢さん。困ったときには互いに助け合い、温かい声をかけ合う。そんな人の温もりこそが、能登の何よりの宝物なのだと語ってくださいました。
村長がこっそり教える!能登の極上ナイトスポット&絶景
地元を知り尽くした古矢さんに、とっておきのおすすめスポットを教えていただきました!
① 赤崎海岸(赤崎灯台)
日本海を一望できる絶景スポットです。古矢さんは夜に訪れることが多いそうで、静かな海に浮かぶ月や、夜空いっぱいに広がる星空が言葉を失うほどの美しさなのだとか。
② 真脇遺跡(まわきいせき)
こちらも古矢さんイチオシのナイトスポット!特に空気が澄み渡る冬場や、月明かりのない新月の夜に訪れるのがおすすめ。
「写真で見る星空も素敵ですが、肉眼で見る本物の星空は圧巻ですよ」と古矢さん。人の営む音が一切なく、波の音や風の音といった「自然の音だけ」に包まれる時間は、日常の慌ただしさを忘れさせてくれます。
写真はいずれも古矢さん撮影です。これだけでも思わず見とれてしまう美しさですが、現地で見る景色はさらに感動的です。ぜひ実際に訪れてみてくださいね!
観光で訪れるみなさまへメッセージ
最後に、この記事を読んでくださっているみなさまへ、古矢さんからメッセージをいただきました!
「能登に来るときは、ぜひ五感を研ぎ澄ませてみてください。ネットの情報や口コミを見るだけでなく、自分の鼻で感じた匂い、舌で味わった味、耳に届く音、そして目に入る景色を全身で受け止めてほしいです。能登の自然と人が、みなさんを温かく迎えてくれますよ!」