【会いにいく、能登。~能登で歩む人々をインタビュー(8)~】世界農業遺産里山里海の恵みを生かす!「義祥丸水産」と「Coast table」を営む 齋藤 義己さん、祥江さんご夫婦(穴水町)
令和6年能登半島地震からの復興へ向け、前を向く能登の人々。今回は「会いにいく、能登~能登で歩む人々をインタビュー~」の特集として、義祥丸水産とCoast tableを営む齋藤 義己さん、祥江さんご夫婦にお話を伺いました。
里山里海に魅せられて能登への移住!齋藤ご夫婦の魅力に迫る
帽子メーカー勤務のご主人・義己さんと、アパレル業界にいた奥様・祥江さん。かつて東京で暮らしていた齋藤さんご夫婦が穴水町に移住したのは、2014年のことでした。
「能登で漁師になりたい」という夢を抱いて移住したお二人は、ゼロから牡蠣養殖や刺し網漁を学び、漁業屋号「義祥丸水産(ぎじょうまるすいさん)」を設立しました。義祥丸水産が育てる真牡蠣や岩牡蠣は、豊かな穴水湾の恵みをたっぷりと含んでいます。
そうして手塩にかけて牡蠣を育てるうちに、お二人の中で「獲れたてのおいしさを、そのままお客様に味わってもらいたい」という新たな目標が芽生えていきました。
そして生まれた新しい場所「Coast table(コーストテーブル)」
丹精込めて牡蠣を育てる中で、齋藤さんご夫婦の心に芽生えた新たな目標。それは「手塩にかけて育てた最高の牡蠣を、獲れたての鮮度のまま味わってほしい」という情熱でした。その想いを形にし、2016年1月、美しい穴水湾を一望する海岸沿いに誕生したのが「Coast table」です。
店舗の目の前に広がるのは、まさに自分たちが日々牡蠣養殖を行っている穴水湾。お客様がダイレクトに里海の恵みを感じられる最高のロケーションにこだわり、この店を仕立てたのです。
カフェのガラス越しには牡蠣の養殖場が見渡せ、時には水揚げや作業風景を間近に眺めることもできます。その光景を目にしたお客様から自然と牡蠣についての質問が生まれ、会話を弾ませながら牡蠣を味わっていただけます。「お客様と海が繋がるこのひとときが、本当に愛おしい時間なんです」とご夫婦は笑顔で語ります。
店名である「Coast table」とは、英語で“海岸の食卓”という意味。その名の通り、目の前に広がる穏やかな穴水湾を眺めながら味わう至高の牡蠣フルコースこそ、この店の最大の魅力です。
12月から5月頃までは旨味が凝縮した「真牡蠣」、夏場には濃厚でミルキーな「岩牡蠣」と、季節に応じて一番美味しい状態の牡蠣がテーブルを彩ります。「人間の都合に合わせるのではなく、自然の成長に合わせて最高のタイミングで提供する」それこそが、齋藤さんご夫婦の変わらぬこだわりです。
基本情報
Coast table
【住所】
石川県鳳珠郡穴水町中居南2字107
【電話番号】
080-1966-1761
【営業時間】
11:00~14:00ラストイン
※14:00 LO 15:00 CLOSE
ご来店の際は事前にお電話でのご予約をお願いいたします。
【定休日】
(12月~5月)水曜日(祝日の場合は木曜日)
(6月~11月)火曜日、水曜日 不定休あり
※詳細はInstagram営業カレンダーをご確認ください
【席数】
12席
【駐車場】
普通車7台
齋藤さんご夫婦を襲った令和6年能登半島地震
2014年の移住以来、この地での暮らしを心から楽しんできた齋藤さんご夫婦に、大きな試練が訪れます。
それが、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」でした。
齋藤さんご夫婦が営む「義祥丸水産」と「Coast table」も、その激しい揺れに見舞われます。幸いにも店舗は「そのまま営業可能」との判断を受けたそうです。義祥丸水産で使う機材にも大きな破損はなく、何より養殖で大切に育てていた牡蠣が無事だったことは本当に救いでした。
しかし、能登全域を襲った深刻な断水の影響は避けられず、ここ穴水町でも水が通ったのは2月下旬のこと。すぐには営業を再開できないもどかしい日々を乗り越え、断水解消後は急ピッチで片付けを進め、震災から約3か月後の2024年3月下旬、ついに店舗の営業再開を果たしました。
一方で、大きな試練となったのが、開業を控えていた宿でした。
実はご夫婦は、2024年1月に新しい事業として簡易宿泊施設「コーストテーブル ハナレ」をオープンする予定でした。しかし、開業目前で被災し建物が被害を受けたことで、オープンは絶望的な状況に追い込まれてしまったのです。
当時は真牡蠣の出荷最盛期。牡蠣の水揚げと飲食店「Coast table」の再開準備に追われる過酷な日々の中、「まずは立ち止まらず、前に進む!」と自分たちを奮い立たせました。
そんな折、復旧作業のため全国から能登へ入るボランティアや工事関係者から「宿泊先がなくて困っている」という切実な声がご夫婦の元に届きます。現地では宿が圧倒的に不足しており、「どんな状態でもいいから泊まりたい」という切望に応えるため、修繕を進めながら復旧支援者たちの受け皿として「ハナレ」を開放し始めたのです。
その後、無事に仮の修繕が完了し、現在は一般のお客様にも利用いただけるようになり、ゆったりと安らげる温かな宿として営業しています。
基本情報
コーストテーブル ハナレ
【住所】
石川県鳳珠郡穴水町中居南1-10
※Coast tableより徒歩5分
【予約方法】
現在ご予約はお電話のみとさせていただいております。
お問い合わせやご予約のお電話は、平日の9時半~16時半の時間帯にお願いします。
【電話番号】
080-1966-1761
【宿泊可能人数】
3名~8名様
【宿泊スタイル】
素泊まり、1泊朝食付き、夕朝2食付き
※お食事については、ご予約時に提供が可能かお問い合わせくださいませ。
【チェックイン・チェックアウト】
チェックイン:16:00~18:00
チェックアウト:10:00
【キャンセルポリシー】
14日~8日前:20%
7日~2日前:50%
前日、当日または連絡なし:100%
齋藤さんご夫婦がおすすめする能登の魅力
能登の風土に惹かれて移住された齋藤さんご夫婦に「能登の一番の魅力」を伺ったところ、お二人揃って「1年を通して海と寄り添える、この内海の存在です」と答えてくれました。
冬になると荒波が打ち寄せる力強い日本海の“外海”に対し、ここ穴水湾には1年を通じて波が穏やかな“内海”が広がっています。季節を問わずいつでも海と触れ合い、豊かな自然とともに暮らせることこそが、この場所ならではの最大の魅力なのだそうです。
齋藤さんご夫婦の推しの店をご紹介
齋藤さんご夫婦に「能登のおすすめスポット」を伺いました。
ご主人の義己さんがおすすめしてくれたのは、能登町の「イカの駅つくモール」。「美しい九十九湾の景色を一望できますし、特産品などのお土産も充実しているので、ぜひ立ち寄ってみてほしいですね」と教えてくれました。
基本情報
イカの駅 つくモール
【住所】
石川県鳳珠郡能登町字越坂18字18番1
【電話番号】
0768-74-1399
【営業時間】
9:30~17:00
※12月~3月のみ冬季営業時間 10:00~17:00
【定休日】
水曜日
【駐車場】
あり(大型車2台、小型車65台、福祉車3台)
一方、奥様の祥江さんのおすすめは「マルガージェラート」。「Coast tableで美味しい牡蠣を堪能したあとのデザートに、ぜひ極上のジェラートを味わっていただきたいです」とのこと。
穴水の海と美味しい食、そして能登の魅力を知り尽くしたお二人のおすすめスポット。能登を訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
基本情報
マルガージェラート 能登本店
【住所】
石川県鳳珠郡能登町字瑞穂163-1
【電話番号】
0768-67-1003
【営業時間】
11:00~17:00
【定休日】
水曜日、年末年始
【駐車場】
20台
観光に来てくださる皆様へ~齋藤さんご夫婦からのメッセージ~
地震から2年以上が過ぎた2026年の春頃から、少しずつではありますが、県外から能登を訪れてくださる方々も増えてきました。
私たちはここ穴水湾の牡蠣を、より多くの皆様においしく届けるための新たな一歩を踏み出しました。遠方の方にも安心して『生食用の牡蠣』を楽しんでいただけるよう、新しい養殖方法の導入と新工場の建設に向けた挑戦をスタートさせています。生食用牡蠣の販売が可能になれば、オンラインショッピングでも販売を開始していきたいと考えています。
飲食店「Coast table」では、これまでと変わらず、目の前に広がる美しい景色とともに極上の牡蠣を味わっていただけるよう努力を続けてまいります。
そして宿泊施設「コーストテーブル ハナレ」は、海岸沿いの護岸工事がまだ終わっていないのですが、2年後くらいにはその工事も終わるのではないかと聞いています。護岸工事も含め、完全な修繕を終えた暁には、単に泊まるだけでなく「体験型の宿」へとバージョンアップさせる計画です。釣りや刺し網漁といった漁師体験を楽しんでいただき、自分たちで獲った新鮮な魚でBBQを満喫してもらう、そんな穴水ならではの忘れられない思い出を持ち帰っていただける宿を目指しています。
この豊かな穴水の自然の魅力を生かしながら、私たちはこれからも能登の食文化と笑顔を発信し続けていきます!
ぜひ、能登の自然を味わいに来てください。