【会いにいく、能登~能登で歩む人々をインタビュー(6)~】能登の未来を祈りで紡ぐ!能登國二ノ宮 天日陰比咩神社禰宜・船木清崇さんに会いに行こう
令和6年能登半島地震からの復興へ向け、前を向く能登の人々。今回は「会いにいく、能登~能登で歩む人々をインタビュー~」の特集として、中能登町にある能登國二ノ宮 天日陰比咩(あめひかげひめ)神社の禰宜、船木清崇(ふなききよたか)さんにお話を伺いました。
船木さんによる神社のガイドは、格別の味わいがあると評判です。中能登町観光協会の会長、中能登スローツーリズム協議会の代表理事なども務め、地域の魅力を表現豊かに発信しています。今回は震災を乗り越える現在の活動や、熱い想いを語っていただきました。
能登國二ノ宮 天日陰比咩(あめひかげひめ)神社
船木清崇さんが禰宜を務める、能登國二ノ宮・天日陰比咩神社についてご紹介します。
石川県中能登町に鎮座する能登國二ノ宮 天日陰比咩神社は、約2000年前の崇神天皇の時代に創始されたと伝わり、平安時代の文献にも記録が残る歴史ある「能登國二ノ宮」です。
境内には酒造りの神様と云われる大三輪神が祀られ、古くからどぶろく造りが伝承されています。全国に約8万社ある神社のうち醸造許可を持つのは30社ほどで、境内には醸造を行う御厨(みくりや)を備える稀有な神社です。毎年12月5日の新嘗祭では、境内の湧き水と地元の米で造られた伝統のどぶろくが神前に捧げられ、参拝客にも振る舞われます。
世界へ響いた能登の祈り!船木禰宜の大舞台
能登國二ノ宮 天日陰比咩神社は、地域の人々に古くから親しまれてきた歴史ある神社です。そんな神社の禰宜である船木さんは、2026年6月に衆議院議員会館国際会議室で開催された第6回世界環境サミットのオープニングに登場しました。各国の大使や著名人、国会議員が大勢集まる大舞台で、なんと祓い清めの儀を執り行いました。
前回のサミットでは、人間国宝が務めた大役でした。今回、船木さんが選ばれた背景には、能登の地への応援と地震からの復興への願いがあったといいます。世界的な大舞台で能登の存在に触れてもらえたことは、本当に嬉しかったと満面の笑みで語ってくださいました。
能登半島地震後、船木さんのもとには、全国の団体から能登復興祈願の依頼が数多く寄せられています。日本中、世界中からの温かい想いを受け止めながら、日々、能登の復興を心から祈り続けているのです。真摯に神事に向き合うお姿には、深く胸を打たれます。
被災地に寄り添う日々!珠洲での地鎮祭ラッシュを支えて
実は船木さんは、ご自身が守る11社の神社だけではなく、被災した親戚の神社もお手伝いしています。取材に伺ったこの日も、甚大な被害を受けた珠洲市正院町で地鎮祭の神事を終えて戻られたばかりでした。現在の珠洲市は、復興に向けた住宅再建などの地鎮祭ラッシュを迎えているそうです。
「親戚の神社が珠洲にあり、助っ人として神事に向かっています」と語る船木さん。なんと、兼務する社を含めて合計で30から40社もの神社を手伝う多忙な日々を送っています。移動だけでも大変な道のりですが、地域の再建を神様の前で祝い、励ますために全力で能登を駆け巡る毎日です。
つらい震災を経験しても、能登に根差し、前を向いて進む人々の姿がそこにはあります。船木さんがもたらす笑顔と祈りは、きっと多くの被災された方々の心の支えになっているに違いありません。
現状を見て、未来の感動へ!船木さんが提案する「復興ツアー」
船木さんは、神社で祈願した後、能登各地を巡る「復興ツアー」の企画を温めています。以前にも実施して好評だった試みで、今後はさらに力を入れて取り組んでいきたいとのこと。その背景には、能登半島地震の記憶を風化させたくないという思いがあります。
「今の能登のありのままの現状を、まずはその目で見ておいてほしいのです」と船木さんは言います。
この言葉を聞き、今の能登を実際に訪れることには、現在の姿を知るだけでなく、その後の変化を見届けていく意味もあるのだと感じました。今回の訪問をきっかけに、これからも能登を訪れ、応援してくれる人が増えていけば素敵ですね。
観光地を巡るだけでなく、地域の歩みや文化に触れ、能登の今を知る旅。船木さんの解説を聞きながら巡ることで、能登についてより深く知るきっかけになりそうです。
本物を体感してほしい!能登は「特殊神事の宝庫」
「能登は、日本でも類を見ないほど特殊神事の宝庫なんですよ」と、船木さんの言葉に一段と熱がこもります。外からの文化が入りにくく、独自の伝統が色濃く残る能登には、ほかでは見られない魅力的な祭りが今も息づいているのをご存じでしょうか。
船木さんが教えてくれた、能登を代表する主な祭りは以下の通りです。
• 青柏祭(せいはくさい)(七尾市・毎年5月3~5日):巨大な曳山が街を巡る、活気あふれるユネスコ無形文化遺産。
• 各地区で行われるキリコ祭り(能登全域・7~9月):能登の夏の夜空で巨大な奉燈(キリコ)が乱舞する、幻想的で熱いお祭り。
• 気多の鵜祭の習俗(七尾市・中能登町・羽咋市・12月16日):野生の鵜の動きで吉兆を占う、気多大社の珍しい神事。
このほか、能登では4月や9月にも多くの祭りが開催されます。祭りでは、獅子舞や神輿渡御(みこしとぎょ)が行われることもあります。船木さんは、この祭りの時期に合わせた観光ツアーにぜひ参加してほしいと提案します。ステージ上で披露される演出としての芸能ではなく、地域の狭い路地で実際に行われている「本物の熱気」を体感することが何よりの醍醐味なのだとか。
また、能登のお祭りに欠かせないのがヨバレやふるまいといった温かいおもてなしの文化。家にゲストを招いてごちそうを振る舞い、絆を深め合う優しさが、今もこの土地にはしっかりと残っています。
船木禰宜がおすすめする、能登の社寺巡りスポット
中能登スローツーリズム協議会の代表理事でもある船木さんに、お気に入りの神社やお寺を教えていただきました。能登の深い歴史と精神性を感じられる、プロ厳選のスポットばかりですので必見ですよ!
まずは、歴史的な大寺院や格式高い有名な社寺の数々です。
• 總持寺祖院(輪島市門前町):曹洞宗の大本山として知られる、威厳に満ちた美しい禅寺。
• 永光寺(羽咋市):静寂な森に包まれ、心が洗われるような穏やかな空気が漂う名刹。
• 妙成寺(羽咋市):見事な五重塔がそびえ立ち、前田家ゆかりの建築美に圧倒されるお寺。
• 須須神社(珠洲市):能登半島の最北端に位置し、日本海の守護神として尊ばれる古社。
• 氣多大社(羽咋市):縁結びのパワースポットとして、全国から参拝者が訪れる大社。
• 重蔵神社(輪島市):街の暮らしを見守り、市民の心の拠り所として愛され続ける神社。
- 大本山總持寺祖院【通常拝観再開】
- 永光寺(県指定史跡)
- 本山妙成寺
- 須須神社
- 能登國一宮 氣多大社
- 重蔵神社
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さらに船木さんは、知る人ぞ知る小さな地域の神社についても、楽しそうに教えてくださいました。
「門前町にある櫛比(くしひ)神社が特にお気に入りなんです」と船木さん。ここでは毎年2月12日に秋の実りを願う万歳楽土(まんざいらくど)というユニークなお祭りが行われます。石川県の無形民俗文化財にも指定されているお祭りで、その独特で面白い雰囲気がたまらなく好きなのだそう。
こうした小さな神社にこそ、昔ながらの純粋な文化やコミュニティが、そのままの形で奇跡的に残っているのですね。
地域の人とつながる旅へ!観光客の皆様へのメッセージ
最後に、これから能登を訪れる観光客の皆様へ、船木さんから心温まるメッセージをいただきました。
「能登の本当の文化や魅力は、立派な観光施設を見て回るだけでは、なかなか見えてきません。地域に暮らす人々と出会い、言葉を交わし、つながることによって初めて、能登の深い良さを知ることができるのです」
復興に向けて歩む能登の人々は、皆様が訪れてくれることを心から待っています。ただ景色を眺めるだけでなく、一歩踏み込んで地元の人々の想いに触れる旅をしてみませんか?
能登への愛が溢れる船木清崇さん。ぜひ中能登町の能登國二ノ宮 天日陰比咩神社を訪れて、船木さんのお話を直接聴いてみてください。きっと、能登のことがもっともっと大好きになるはずですよ!
基本情報
能登國二ノ宮 天日陰比咩神社(あめひかげひめじんじゃ)
住所:石川県鹿島郡中能登町二宮子8
電話:0767-76-0221
交通アクセス(車)
●JR七尾線良川駅から約4km(車で約7分)
●JR七尾線能登二宮駅から約2km(車で約4分)
●北鉄バス二宮バス停から700m(車で約1分、徒歩1分)
駐車場:あり (約70台)
(神社駐車場住所:石川県鹿島郡中能登町二宮ナ14)
恒例祭:
●新年祭 / 1月1日・2日・3日
●祈年祭 / 3月20日
●春季祭 / 4月18日頃
●例大祭・麦祭 / 6月15日
●夏越大祓 / 6月30日
●夏祭 / 7月 第2日曜日頃
●秋季祭 / 9月 第2日曜日頃
●新嘗祭(どぶろく祭り) /12月5日