産業振興の歴史を辿るプチトリップ

石川ブランドを育んだ、産業振興の歴史を見に行く

前田家は、藩の政策として代々にわたって工芸を保護してきました。藩営の工房「御細工所」では紙細工、針細工、象嵌細工など、24にもわたる職種の細工人を抱え、江戸や京の最新技術を取り入れて高水準の工芸品を生み出してきました。長い歴史の中で培ったものづくりの遺伝子は、石川県の底力となっています。今も現役で地域を支える地場産業。歴史とともに役割を終えた産業。古い町並みの中に、小さな展示館の中に、その産業が歩んできた歴史が語られています。

大野の醤油と味噌蔵

海沿いの町・大野地区は、藩政期から醤油造りが盛んで、全国にもその名が知られていました。北前船の寄港地でもあり、古い町並みの中にも往時の繁栄ぶりがうかがえます。現在も醤油・味噌蔵が点在し、町を歩くと香ばしい香りが漂ってきます。醤油メーカー直営のカフェやレストランもあって、散歩の合間に立ち寄る場所に迷います。金沢を代表する醤油メーカー「ヤマト醤油味噌」が運営する「ヤマト麹パーク」では、ガイドツアーの案内で醤油味噌について知ることができます。

牛首紬のふるさと白山白峰

歴史を遡れば平家の落ち武者伝説にまで行き着く、白山市白峰地区で800年以上前から織られている牛首紬。大島、結城と並んで日本三大紬に数えられる高級織物です。一つの繭に二頭の蚕が入った「玉繭」から糸を引いて織る、独特の節のある風合いが愛好者に人気です。「織りの資料館 白山工房」では、牛首紬の歴史に関する展示とともに、糸引きから機織りまで、牛首紬の作業工程の見学プログラムが整備されています。また、織機を使ってコースターを作る、機織り体験もできます。

石の文化を偲ぶ小松市滝ヶ原の石切場

霊峰白山をいただく小松市は、古墳時代から良質な宝石や鉱物の産地でした。藩政時代には金平金山が発見され、加賀藩の財政を支えてきました。尾小屋鉱山、遊泉寺銅山は明治大正に本格的に生産を伸ばし、近代石川発展の土台を築きました。こうした小松市の石文化は2016年、文化庁の「日本資産」に認定されました。また、豊富な地下資源を活用してきた地域の歴史を、「珠玉と石の文化」として発信するプロジェクトが、2017年にスタートしました。小松の石文化は、今も採掘が行われている「滝ヶ原の石切場」をはじめ、石切場やアーチ型石橋群を見学する「石の里ガイドコース」で気軽に一望することができます。

北前船で栄えた輪島市黒島を歩く

廻船問屋が集まる船主集落として栄えた輪島市門前町黒島地区は、江戸時代には幕府の直轄地になり手厚い保護を受けながら、莫大な富を築き上げました。このエリアは重厚な黒瓦、堅牢な下見板張りの壁に格子戸という伝統的な造りの家々が続き、当時の栄華を伝える美しい町並みを残しています。2009年には重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。「角海家」は、この地区最大規模を誇った廻船問屋の住宅跡。豪華な調度品や輪島塗の器など、展示品からも豪勢な暮らしぶりがうかがえます。