道の駅・狼煙|能登最先端の人気スポットが営業再開!
能登半島の最先端に位置する珠洲市狼煙町で「道の駅 狼煙」が2025年5月に営業を再開しました。
地震や豪雨などの困難を乗り越え、再び訪れる人々を迎える拠点として生まれ変わった道の駅です。本記事では、再開までの歩みと現在の取り組み、そして周辺観光の魅力をご紹介します。
この記事でご紹介したスポットを地図上にまとめました。「地図を見る」を開いてご覧ください。
- 道の駅 狼煙 ※週末営業中
- 禄剛崎・禄剛埼灯台(通称:狼煙の灯台)
- いかなてて
- 山伏山社叢
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道の駅 狼煙(のろし)とは?|能登半島最先端の立ち寄りスポット
道の駅 狼煙は、能登半島の最先端・珠洲市狼煙町に位置する、“さいはて”の道の駅です。
能登半島をぐるりと巡る「奥能登絶景海道」沿いにあり、禄剛崎灯台などの観光拠点として、また地域活性化の中核施設として2009年4月に開業しました。
珠洲の特産品を数多く取り揃え、ドライブやツーリング、サイクリングなど、奥能登を旅する人々が多く訪れる人気スポットです。
震災・豪雨災害による休業と、営業再開の歩み
道の駅 狼煙はこれまで、狼煙町の住民が出資した「株式会社のろし」が、地域住民を雇用して運営してきました。
しかし、2023年5月の令和5年奥能登地震、2024年1月1日の能登半島地震、さらに2024年9月の能登半島豪雨と、立て続けに発生した大災害のダメージはあまりにも大きく、自力での再建を断念。
その後、珠洲市真浦町で一般社団法人「現代集落」を運営する林俊伍さんに経営を託しました。
2025年5月には、バイクイベント「SSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)」の開催に合わせてプレオープンを実施。
被害箇所の修復や従業員募集などの準備期間を経て、同年7月にグランドオープンし、新体制による本格営業を再開しました。浄化槽が破損して仮設だったトイレも復旧し、安心して利用できる環境が整っています。
商品の品揃えはまだ多くはありませんが、少しずつ新しいアイテムを増やしている最中です。7月からは新たに販売を開始した「おからビール」など、オリジナル商品の開発にも力を入れています。また、近隣にスーパーマーケットなどの商店が少ないことから、地域住民の生活を支えるために生活必需品の取り扱いも始めています。
道の駅 狼煙で購入できるイチオシ商品
まぼろしの大浜大豆は、5月下旬に種をまき、8月上旬に白い花を咲かせ、11月中旬から下旬にかけて収穫される晩生の在来種です。甘みとコクが強く、豆腐や味噌、納豆などの加工品に使うと、ひときわ美味しさが引き立ちます。
昭和30年代までは広く栽培されていましたが、収穫時期が雨や雪など不安定な天候と重なることから、収穫の遅れや乾燥作業の手間が課題となり、次第に早生のエンレイ種などに置き換わっていきました。しかし、ここ狼煙町では平成16年から在来種の生産を再開。かつて栽培されていた砂浜が「大浜」と呼ばれていたことから、“大浜大豆”の名が付けられました。
大浜大豆を使った加工品の中でも、ダントツの人気を誇るのが「大浜大豆のおぼろ豆腐」です。
道の駅の敷地内にある工場で、地域の方々の手によって丁寧に作られています。大豆本来の甘みとコクがしっかり感じられ、何もつけずに“そのまま”味わうのが一番のおすすめ。やわらかくてお箸ではすくいにくいため、スプーンでいただくのがちょうど良いです。味も食感も、まるで「豆腐味のプリン」のよう。さらに、お好みで塩をひとつまみ加えると、旨味がぐっと引き立ちます。
なお、狼煙までなかなか足を運べない方は、野々市市の「のっぽくん」や金沢市の「むつぼしマーケット」でも販売されています。ぜひ見かけた際は手に取ってみてください。
奥能登在来 丹生(にふ)そば は、大浜大豆と同じく、奥能登に伝わる在来種のそばです。9月初め頃から白い花が咲き始め、次第に淡いピンク色へと変わっていきます。以前は「しなの1号」という品種を栽培していましたが、平成18年から在来種の生産を再開。平成26年には、集落にある丹生神社から名前をお借りし、「丹生そば」と名付けられました。市内のそば店からも「実は小ぶりながら甘みとコクがある」と評判で、多くの方に親しまれています。
大浜大豆の豆乳ソフトは、濃厚な大豆の甘みとコクがしっかり感じられる、豆乳ベースのソフトクリームです。原材料にはもちろん大浜大豆を使用。濃厚ながらも甘すぎず、あと味はさっぱりとヘルシー。甘党の方には、黒蜜をかけたアレンジもおすすめです。
※販売期間:4月〜11月末まで(期間限定)
自社開発のおからビール「豆腐セゾン」
大浜大豆のおからを使ったクラフトビールで、フルーティーな飲み口に大豆の旨味がほんのり感じられます。
2025年7月に数量限定で販売を開始した800本は、わずか1ヶ月で完売。
次回の入荷は11月後半を予定しています。(※2025年10月時点の情報)
おばあちゃんの梅干し
地元の元気なおばあちゃんたちが手づくりする、昔ながらの塩分20%の梅干しです。
なつかしい素朴な味わいが評判で、長年愛され続ける不動の人気商品となっています。
そのほかの限定商品たち
このほかにも、ここでしか手に入らない限定商品や、季節・数量限定の品など、“その時”にしか出会えない逸品を多数取り揃えています。
訪れるたびに新しい発見と驚きを楽しめるのも、道の駅 狼煙の魅力のひとつです。
基本情報
道の駅 狼煙
【住所】〒927-1441 石川県珠洲市狼煙町テ部11
【電話番号】0768-86-2525
【FAX番号】0768-86-2555
【営業日】金・土・日のみの週末営業、12月~2月末の冬期間は土・日のみの営業予定です。(詳しい営業日は道の駅 狼煙のインスタグラムをチェックしてください)
【営業時間】金:12時00分~16時00分、土・日:10時00分~17時00分
【駐車場】大型:7台、普通車:71台(身障者用4台)バイク専用8台
道の駅を拠点に、狼煙の名所と地元グルメを巡ろう
道の駅 狼煙の周辺には、能登半島の最先端ならではの絶景スポットや、地元の人々が営む温かなカフェがあります。
ここでは、訪れたらぜひ立ち寄りたいおすすめの場所をご紹介します。
禄剛崎灯台(狼煙の灯台)
日本の灯台50選に選ばれている、美しく荘厳な灯台です。初点灯は明治16年(1883年)7月10日。以来、約140年にわたり、沖合を航行する船の道しるべとして活躍し続けています。
また、日本で唯一、菊の御紋章が刻まれた灯台としても知られています。令和6年の能登半島地震では、レンズが割れるなどの被害を受けました。
取材時には修復作業のため足場が組まれた状態でしたが、再び美しい姿を見せてくれる日を多くの人が待ち望んでいます。灯台が建つ禄剛崎は、外浦と内浦の境界にあたる能登半島最北東端の地。海から昇る朝日と、海に沈む夕日を同じ場所で見られることでも有名で、「日本の夕陽100選」にも選ばれています。
灯台へは、道の駅 狼煙の向かい側にある登り口から徒歩約8分。やや急な坂道をのぼっていきますが、途中の開けた場所からは狼煙漁港や珠洲岬を一望できます。疲れたら景色を眺めながら、ゆっくり歩くのがおすすめです。
岬の台地は整備された広場になっており、「パノラマハウス」や「海風の灯(うみかぜのともしび)」、「日本列島ここが中心」などの建物やモニュメントが点在しています。
「ひぐらしが鳴く 奥能登の ゆきどまり」この句は、昭和36年(1961年)に俳人・山口誓子(やまぐちせいし)が禄剛崎灯台を訪れた際、最果ての岬に立った感傷を詠んだものです。
崖下をのぞくと、白い岩礁が広がっています。これは「千畳敷」と呼ばれ、地殻変動によって隆起した岩肌が露出したものです。以前はわずかに海水をかぶっていましたが、このたびの地震で約1.5メートル隆起し、現在は完全に水面上に姿を現しています。
基本情報
いかなてて
道の駅の通り沿いには、古民家風のオシャレなカフェ「いかなてて」さんがあります。店名の“いかなてて”は、珠洲の方言で「どういたしまして」という意味。
2017年にご主人の糸矢章人さんが東京からUターンした際、おばあちゃんがかつて営んでいたレストランを改装し、レコード店とカフェを併設したお店としてオープンしました。
一番人気は、スパイスの香りが立つチキンカレー。ご主人が好きなパキスタン式カレーの味を参考に、何度も試作を重ねて完成させたオリジナルレシピです。
スパイスと珠洲の塩だけで味付けされたホロホロの鶏もも肉は、もはや「スパイシーな鶏肉料理」と呼びたくなるほどの存在感。ナンプラーの代わりに能登の魚醤“いしる”を使ったグリーンカレーも絶品です。玉ねぎや野菜は主におばあちゃんの畑で採れたものを使用し、お米は地元・狼煙産のブランド米「ひゃくまん穀」。素材のひとつひとつに「地元愛」が詰まった、心温まるカレーです。
先の震災では、ご主人ご自身の自宅も全壊しました。しかし、DJとして活動するご主人のもとには音楽仲間たちが全国から駆けつけ、支え合いながらなんとか営業を再開することができたそうです。
現在は仮設住宅での生活を続けています。お話を伺った奥さまは、もともと旅行で奥能登を訪れた際、その環境に惹かれて移住を考えていたところ、偶然ご主人と出会われたのだとか。
「地震で風景は変わってしまったけれど、相変わらず自然と人の営みがうまくつながっている、とても良い場所。そんな奥能登の良さを、ぜひ見に来てほしい。“被災地に行く”と気負わず、気軽に観光で楽しんでもらえたら嬉しいです」と、穏やかに語ってくださいました。
奥能登・さいはての地、狼煙でしか味わえない絶品のスパイスカレー。この地を訪れたら、ぜひ一度味わってみてください。
基本情報
いかなてて
【住所】〒927-1441 石川県珠洲市狼煙町70−1
【営業時間】水曜~金曜:11:30~15:00、土日祝日:11:30~16:00
【定休日】月曜日、火曜日 ※詳細はインスタグラムをご確認ください。
【電話番号】0768-86-2708
【駐車場】あり
みんなの家
2025年7月13日、道の駅 狼煙の隣に、日本財団やNPO法人HOME-FOR-ALLなどの協力のもと、地域住民の交流と復興の拠点となる施設「みんなの家」が完成しました。
この施設は、仮設住宅を含む約50世帯・およそ100名の住民が利用しており、集会所や食堂(みんなの食堂)、イベントや伝統行事の会場など、地域の憩いの場として活用されています。
「みんなの家」でお話を伺った、狼煙町第一区の区長・糸矢敏夫さんのおすすめは、道の駅の裏手に一段高くそびえる山伏山(やまぶしやま)です。 山頂には珠洲神社の奥宮が祀られています。
この一帯の海域は岩礁が多く、古くから「海の難所」として知られてきました。海上からもよく見える山伏山は、付近を航行する船舶にとって重要な航路の目印(航路標識)とされてきたそうです。
中腹には“灯明台(とうみょうだい)”が設けられ、夜は松明を、昼は狼煙を上げて合図を送っていたことが、「狼煙町」という地名の由来になったと伝えられています。また、狼煙から珠洲神社のある寺家のあたりまでは、かつて北前船の風待ち港としても栄えました。
狼煙町の名の由来にもなったこの重要な山。奥宮までの道のりはやや急な山道で、登頂にはおよそ20分ほどかかりますが、区長さん曰く「機会があればぜひ訪ねてみてほしい」とのこと。なお、山伏山の社叢は石川県の天然記念物に指定されており、椎の巨木をはじめ多様な植生を見ることができます。
アクセス情報
【お車をご利用の方】
金沢市内=のと里山海道=珠洲道路=道の駅 狼煙(金沢市内から約3時間半)
【公共交通をご利用の方】
パターン① 特急バスを利用
金沢駅(特急バス)=のと里山空港(乗り換え)=道の駅 すずなり(路線バス)=道の駅 狼煙(金沢から約5時間)
パターン② 電車を利用
JR金沢駅(JR七尾線)=JR七尾駅(のと鉄道)=のと鉄道穴水駅(特急バス)=のと里山空港(乗り換え)=道の駅 すずなり(路線バス)=道の駅 狼煙(金沢から約5時間)
※能登へのアクセスは「ぶらり能登ねっと」が便利です。
※道路情報・交通規制は「石川みち情報ネット」をご確認ください。
※道の駅 すずなり=道の駅 狼煙の路線バス運行は平日のみ(「珠洲市市営路線バス」をご確認ください)
また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設やイベント情報を随時更新中です。
皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。