泉鏡花ってどんな人?~記念館・ゆかりの地を巡る旅~

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金沢三文豪の1人である泉鏡花。『高野聖』など多数の名著を残した彼は、一体どんな人だったのでしょうか。

金沢には、鏡花の生家跡に建つ記念館をはじめ、作品の舞台となった町や橋、鏡花が通ったとされている書店があります。

本記事では、泉鏡花記念館やそのゆかりの地について、詳しくご紹介いたします。

泉鏡花ってどんな人?~記念館・ゆかりの地を巡る旅~

泉鏡花ってどんな人?

泉鏡花(いずみきょうか、1873‐1939)は、石川県金沢市生まれの作家です。

これまで300編あまりの作品を発表し、徳田秋聲(とくだしゅうせい)、室生犀星(むろうさいせい)とあわせて『金沢三文豪』の1人として知られています。


現実と非現実が入り混じる幻想的な作風が人気で、たびたび映像化や舞台化もされてきました。

華やかで美しい文体が特徴で、今なお多くの人に愛され続けています。

泉鏡花の代表作

泉鏡花の代表作といえば、『高野聖(こうやひじり)』。鏡花が作家としての基盤を築いた短編小説です。


物語は、ある男が高野山の旅僧に出会うところから始まります。行き先が一緒だった2人は同行することとなり、その旅中で僧が体験した奇妙なお話が語られます。


怖くもあり、不思議でもあり、切なくもある『高野聖』。ぜひ作品を読んでお楽しみくださいね。

『高野聖』あらすじ

ある夏、山越えをしていた僧は、茶屋で出会った薬売りが危険な山道を進んだことを知る。危険を知らせようと後を追った僧だが、薬売りの姿は見当たらない。少し行った先で一軒家を見つけ、疲れていた僧はそこで一晩泊めてもらうことに。


その一軒家にはとても美しい女がいた。あっという間に女に心奪われた僧だったが、実は、この女は人を獣に変える力を持っていて…?

泉鏡花記念館へ行ってみた

数々の名作を世に生み出した泉鏡花。

その生家跡地に建つのが、『泉鏡花記念館』です。彼の生涯や独特の美意識に触れることのできる、すてきな展示がたくさんありました。

見どころ① ミニシアター

鏡花の生涯を綴った映像『鏡花』や、俳優・作家・評論家へのインタビュー映像『鏡花の魅力』、アニメーション絵本『化鳥』を楽しむことができます。


すべての映像を通しで見ると1時間ほどかかりますが、ほかでは見られない泉鏡花の魅力を目と耳で体感することができます。

泉鏡花の一生はどのようなものだったのか、どのようにして金沢三文豪と呼ばれるまでの実力を身につけたのか、気になる方はぜひ観てみてください。

見どころ② 常設展示室

「生涯と作品」「終の棲家ー番町の家」「美と幻想の水脈」「鏡花本の世界」をテーマに、鏡花の自筆本や愛用品、代表作のジオラマなどが展示されています。


鏡花の愛用品には、ウサギをモチーフとしたものが多くあります。鏡花の向かい干支が卯であることから、「ウサギのものを集めるとお守りになる」と母から教わったことがきっかけで集めるようになったそうです。

私のおすすめは、『春昼』というジオラマシアター。ジオラマをのぞき込むと、音声で物語が始まります。少し不気味な雰囲気のあるジオラマですが、聞いているうちにどんどん物語の中に引き込まれていきます。


ただのジオラマではなく、見ていて楽しい仕掛けもありました。

ぜひ、チェックしてみてください。

見どころ③ 「鏡花本の世界」コーナー

常設展示室にある「鏡花本の世界」は人気のコーナーです。


鏡花は本の装丁にも非常にこだわっていました。

鏡花本の装丁を最も多く手掛けたのが、日本画家の小村雪岱(こむらせったい)。このコーナーには、とても貴重な初版本がいくつも展示されています。レトロモダンな装丁は、現代人が見ても心惹かれるデザインです。

見どころ④ 企画展示室

泉鏡花にまつわる企画展が行われるのが、企画展示室。今回私が訪れたときに開催されていたのは、『鏡花、福井の旅』という企画展でした。


福井県は、泉鏡花の代表作『高野聖』の舞台となっています。鏡花が福井の峠を越えたときの苦労は、本作品にも反映されているそう。

作品ができる背景が垣間見えて、非常に興味深い企画展でした。


文学・演劇・映画・現代アートなど、様々なテーマで泉鏡花の魅力を深堀する企画展は、年に3-4回テーマを変えて開催されます。要チェックですね。

ミュージアムショップ

さて、展示室を堪能したら、ミュージアムショップに行きましょう。

記念館公式ロゴグッズのほか、鏡花がコレクションしていたウサギをモチーフとしたアイテムや、小村雪岱がデザインした装丁の柄のクリアファイル、絵はがきなどが販売されています。


鏡花の世界を感じられるアイテム、旅の思い出にいかがでしょうか?

鏡花も歩いた「新町・鏡花通り」

泉鏡花記念館に面する通りは、「新町・鏡花通り」と名づけられています。住宅街と商店街が入り混じった街並みは、昔の雰囲気を感じられますね。

この通りの一番の特徴が、それぞれの建物に『掛行燈(かけあんどん)』が付けられていることです。白地に木枠が施され、正面にはウサギの絵が描かれています。

鏡花の愛用品にも多くあったウサギのモチーフは、こんなところにも残っているんですね。

基本情報

泉鏡花記念館

住所:〒920-0910 石川県金沢市下新町2-3 

電話番号:076-222-1025 

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

休業日:毎週火曜日(祝日の場合、翌平日)、年末年始、展示替期間 

料金:一般310円、団体(20人以上)260円、65才以上・障がい者手帳をお持ちの方およびその介護人210円、高校生以下無料 

アクセス:金沢駅から約10分 

駐車場:あり(3台、金沢蓄音器館と共同)

所要時間:約30分


泉鏡花記念館

作品の舞台へ!ゆかりの地めぐり

以下で紹介する3つも、すべて泉鏡花記念館から徒歩圏内の場所!鏡花の作品の舞台になったゆかりの地を巡りましょう。

主計町茶屋街
【泉鏡花記念館から徒歩3分】
泉鏡花が生まれ育ったという主計町(かずえまち)茶屋街。浅野川沿い、主計町寄りの通りは、「鏡花のみち」と呼ばれています。

金沢の町家が並ぶ風情ある通りを進むと、鏡花の代表作『化鳥』の一説を記した石碑があります。
主計町茶屋街
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梅ノ橋
【泉鏡花記念館から徒歩6分】
泉鏡花の代表作『義血侠血(ぎけつきょうけつ)』の舞台になっています。

趣のある木造風の橋からは、浅野川を一望することができます。
梅ノ橋
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中の橋
【泉鏡花記念館から徒歩4分】
泉鏡花の代表作『化鳥』『照葉狂言』の舞台となった橋。

橋を渡るごとに一文支払ったことから、別名「一文橋」とも呼ばれていたそうです。
中の橋
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知ってる?金沢三文豪

歴史と伝統の街金沢は、「文学のまち」とも呼ばれています。これまでたくさんの作家や文学者に愛され、数多くの作品の舞台となってきました。


そんな金沢で生まれ育った作家は、実は泉鏡花だけではないんです。

徳田秋聲・室生犀星です。泉鏡花と3人合わせて、『金沢三文豪』と呼ばれています。


明治から昭和の激動の時代を生き抜いた彼らには、それぞれ記念館が建てられています。3か所とも金沢市内にあるので、1日で巡ることができます。

金沢三文豪の世界を堪能しましょう。

徳田秋聲

徳田秋聲は、金沢出身の小説家です。泉鏡花と同じく尾崎紅葉に師事し、紅葉没後、自然主義作家として名を馳せました。


代表作は『あらくれ』『新世帯(あらじょたい)』『縮図』などで、弱者への視点を忘れずに、庶民の生活に密着した作風が特徴です。後輩にあたる小説家・川端康成に「小説の名人」と言われるほど、高い技巧をもった作家です。

基本情報

徳田秋聲記念館

住所:〒920-0831 石川県金沢市東山1-19-1 

電話番号:076-251-4300

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで) 

休業日:毎週火曜日(祝日の場合、翌平日)、年末年始、展示替期間 

料金:一般310円、団体(20人以上)260円、65才以上・障がい者手帳をお持ちの方およびその介護人210円、高校生以下無料 

アクセス:城下まち金沢周遊バス・北陸鉄道路線バス・西日本JRバス「橋場町」バス停から徒歩約3分、金沢ふらっとバス材木ルート「梅ノ橋」バス停から徒歩約1分 

駐車場:あり(2台)


徳田秋聲記念館

室生犀星

室生犀星は、金沢出身の詩人・小説家です。

自身の感情や情緒を主観的に表現した詩や、自伝的な小説が有名です。生まれ育った金沢への思いが強く、生涯を通して金沢を作品に描きました。


これは、犀星の代表作『抒情小曲集』に収められた一節です。


「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」


ふるさと金沢への愛着が強く表現され、現代でも広く親しまれている一節です。

基本情報

室生犀星記念館

住所:〒921-8023 石川県金沢市千日町3-22 

電話番号:076-245-1108 

営業時間:9:30~17:00(入館は16:30まで) 

休業日:毎週火曜日(祝日の場合、翌平日)、年末年始、展示替期間 

料金:一般310円、団体(20人以上)260円、65才以上・障がい者手帳をお持ちの方およびその介護人210円、高校生以下無料 

アクセス:金沢駅から約10分、金沢西ICから約15分、金沢東IC・金沢森本ICから約20分 

駐車場:あり(4台、中型・マイクロバスは可)

所要時間:約30分

室生犀星記念館

鏡花達も通った⁈文豪カフェへ《金澤文豪カフェ あんず》

かつて金沢三文豪が通った宇都宮書店(現:書店うつのみや)が運営するカフェ『金澤文豪カフェ あんず』をご紹介いたします。


当時、泉鏡花が書店で本を探したり、室生犀星が自作の詩が掲載された雑誌を買い求めに訪れたそうです。金沢三文豪のゆかりの地として、必ず一度は訪れたい場所ですね。

店内には、金沢三文豪が直筆で書いた詩句の複製品が飾られています。

店名である『あんず』という名前は、犀星の詩が由来となっているそう。犀星の優しい人柄が感じられる字体ですね。

店内ショーケースの中には、与謝野晶子や坂正臣など、著名作家の直筆サインが展示されています。

こちらは複製品ではなく、本物!


書店うつのみやが30周年を迎えた当時、お祝いとして贈られた祝辞のサインだそうです。

ここでしか見ることができない貴重なサインなので、ぜひチェックしてくださいね。

泉鏡花をモチーフとした和菓子セット『鏡花セット』

ランチやドリンクのメニューも充実していますが、ぜひ食べていただきたいのが金沢三文豪をモチーフとした和菓子セットです。

今回は『鏡花セット』をご紹介。「紙ふうせん」という和菓子と、お好きなドリンクをセットでいただきます。

「紙ふうせん」という和菓子はまるい形が特徴的ですが、中身が見えないのでどんな味がするか想像がつかず、”あやしさ” を感じませんか?鏡花の小説も、どんな展開になるか想像に難く、”あやしさ” を感じるものが数多くありますよね。

『鏡花セット』を考案する際、その怪しさを表現した和菓子として「紙ふうせん」を採用したそうです。


「紙ふうせん」の中にはキラキラのゼリーが入っています。

レモン・ぶどう・白ワイン・黒糖の4種の味から2種を選べます。ほどよい甘さとモナカのパリパリ感が相性よく、とってもおいしい!

ドリンクは加賀棒茶をいただきました。石川県の伝統工芸品「九谷焼」の食器でお食事を楽しめるところもいいですよね。

店内には本棚があり、そこから好きな本を選んで席で読むことができます。


お食事を楽しみながら、三文豪の世界に浸るのもおすすめ。

まだ三文豪の作品を読んだことのない方も、お気に入りの1冊と出会えるかもしれません。

店内にはカウンター席とテーブル席があります。

照明の明るさが異なっており、カウンター席は調べものや勉強などに適した明るさ、テーブル席は読書などに適した明るさに設定されています。

カウンター席にはコンセントも設置されていますので、PCやスマホでの作業も可能です。

ちなみに、『金沢文豪カフェあんず』のロゴマークを手掛けたのは、ブックデザイナー(装丁家)の泉屋宏樹さん。

泉屋さんは、泉鏡花記念館のロゴマークも手掛けているんです。

あんずの「あ」の文字、あんずの形をイメージしたロゴマークも、ぜひチェックしてみてくださいね。

基本情報

金澤文豪カフェ あんず

所在地:石川県金沢市香林坊2-1-1 香林坊東急スクエア地下1階

営業時間:水曜~月曜 10:30~18:45 (L.O. 18:00)、火曜  10:30~17:30 (L.O. 17:00)
※このほか、臨時休業とする場合もございます。ご了承ください 

電話番号:076-231-6457

駐車場:お近くのコインパーキングをご利用ください。

※5,500円(税込)以上お買上で1時間無料サービス、2,750円(税込)以上お買上で200円分サービス

金澤文豪カフェ あんず

まとめ

今回ご紹介した泉鏡花記念館や金澤文豪カフェあんず、そのほかゆかりの地をマップにまとめました。

すべて金沢市内にまとまっているので、1日で散策することも可能!金沢三文豪の世界をたっぷり満喫できます。

  • 泉鏡花記念館
  • 主計町茶屋街
  • 梅ノ橋
  • 中の橋
  • 徳田秋聲記念館
  • 室生犀星記念館
  • 金澤文豪カフェあんず

Google Mapの読み込みが1日の上限回数を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください

皆さまもぜひ、金沢三文豪の世界を覗いてみてはいかがでしょうか?

知れば知るほど魅力的な泉鏡花やその作品に、心惹かれること間違いなしです。

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