能登半島の最先端でアート&カルチャー三昧!


259ビュー 2022.05.09投稿

好奇心を刺激する奥能登・珠洲へ!

※このブログは2022年3月時点の情報です
 
青い海と里山の風景に迎えられる珠洲市は、能登半島最先端の街。
ここは、3年に1度開催される「奥能登国際芸術祭」の舞台であり、石川県指定の伝統工芸品「珠洲焼」が生まれる場所でもあります。
絶景とともにあるアートとカルチャーを探しに、いざ、能登半島の先端へ!

珠洲の自然と響き合うアート作品を見つけよう!

珠洲は、いたるところにアート作品が屋外展示されています。これは、2017年と2021年に開催された「奥能登国際芸術祭」の展示作品。芸術祭が終わった後も、作品のいくつかが常設作品として残されているのです。
 
屋外の作品は、いつでも誰でも無料で楽しめると太っ腹。世界各国のアーティストが手がけた作品を道中で見つけるのも、珠洲を旅する醍醐味のひとつです。
廃線となった「のと鉄道能登線」の旧上戸駅をまるごと使った『うつしみ(ラックス・メディア・コレクティブ作)』。駅舎のシルエットをかたどった骨組みだけの構造物が、駅舎の上に乗っています。
 
青空と周囲の緑と無機質な構造物の組み合わせは、インパクト大!

 

こちらも同じく、旧駅舎にある作品。地元の焼酎蒸留所の不要になった大型タンクを植木鉢に見立てて植樹した『植木鉢(大岩オスカール)』は、旧正院駅にあります。
 
春は桜、秋は紅葉を借景にして、また違った風情に。
屋根付きのバス停は、珠洲の名物風景。これをアルミニウムのパイプで包みこんだのが、『珠洲海道五十三次(アレクサンドル・コンスタンチーノフ作)』。周囲の風景にしっくりと溶け込んでいます。
漂着した陶器の山のように見える『漂移する風景(リュウ・ジャンファ)』。中国の有名な陶器である景徳鎮と、中世の日本を代表する焼き物だった珠洲焼(後ほど詳しく説明します)を混在させ、大陸との交流や文化のあり方を問う作品です。
 
芸術祭開催中は、まさに漂着物のごとく、海岸に並べられていましたが、現在は珠洲焼資料館で展示されています。
 
珠洲の長い歴史を一目で印象づけているのがすごい!

幻の古陶が珠洲に復活?!

珠洲でしたいこと。それは、マイ珠洲焼を見つけること。珠洲焼というのは、鉄分を多く含む珠州の土で作る焼き物のことをいいます。
 
釉薬を使わずに高温で焼き締めた器は、灰黒色の渋い色合いが特徴。クールななかに繊細さがあって、なんともいえない魅力があります。
 
そして、この珠洲焼には、長~く熱い歴史秘話が……。
【写真 珠洲市立珠洲焼資料館所蔵】
 
珠洲焼は、12世紀から15世紀にかけて、現在の珠洲市付近で作られていました。最盛期の14世紀には各地に運ばれ、日本列島の4分の1で使われていたのだそう。

ところが、そんなベストセラー商品であったにもかかわらず、15世紀後半に急速に衰え廃絶。
 
一時はその存在さえも忘れられていた珠洲焼ですが、昭和に入り、「幻の古陶を復活させたい!」と願う地元の人たちが奮起。1979年、実に約500年の時を経て蘇ったのです。

知れば知るほど深い! 「珠洲焼」を深堀り

能登の最果ての地で生まれ、一度は途絶えながらも復活した美しい陶器。その歴史や特徴は、「珠洲市立珠洲焼資料館」で知ることができます。
 
歴史と聞くとちょっと難しそうですが、お話を聞けば、興味は何倍にもなるはず。ここでは、学芸員さんに説明してもらうことをオススメします! 
「一見すると地味に見えるけれど、表面をよく見ると、いろんな模様があるのが分かりますよね? 当時(中世)にしてはとても画期的なデザインで、時代の最先端をいっていたのではないでしょうか」と、学芸員の大安尚寿さん。
 
たしかに、表面にはいろいろな模様が。当時のアーティスト(?)のセンスが伺えて興味津々です。
 
展示されている陶器の多くは、珠洲のご家庭で日常使いしていたものや、畑に落ちていた(!)ものなのだそう。

大安さんによると、「味噌を入れる甕や発酵調味料づくりの容器として使われていたものもありますよ。海底には昔の珠洲焼がたくさん沈んでいる……というのは、漁師さんの間では有名な話です」とのこと。
 
そんな裏話(?)を聞くと、珠洲焼がなんだか身近に感じられて、興味が湧いてきます。
珠洲焼について知った後は、資料館向かいにある「珠洲焼館」へ。ここには、花器や酒器、湯呑、ビアカップ、コーヒーカップなどが販売されています。
 
人気アイテムのひとつが、ビアカップ。表面の凸凹がビールの泡立ちをきめ細かにし、最後までおいしく飲むことができます。女性には花瓶も人気。水の浄化機能の珠洲焼なら、花を長く楽しめます。

珠洲市立珠洲焼資料館

住所:石川県珠洲市蛸島町1-2-563
電話番号:0768-82-6200
開館時間:9:00~17:00 
休館日:月曜、祝日の翌日、年末年始
入館料:一般330円、小中高生160円
駐車場:あり

珠洲焼館

住所:石川県珠洲市蛸島町1-2-480
電話番号:0768-82-5073
営業時間:9:00~17:00 
定休日:年末年始
駐車場:あり

襖絵と枯山水の庭に時を忘れる、山あいの古刹

珠洲焼が大流行していた鎌倉時代末期、珠洲には立派なお寺が開かれました。それは今も続く、「吉祥寺」。開創は1300年と言われ、450年ほど前に現在の地に移ったと言われています。なんと、現ご住職で36代目! 珠洲をずっと見守ってきた古刹です。
 
位置するのは、静寂に包まれる山の中。60段ほどの石段を登り、山門をくぐって境内に足を踏み入れると、凛とした空気に包まれました。
本堂の前に広がるのは、みごとな枯山水の庭園。中国浙江省・雪寶山周辺の山水風景を模して造られた枯山水庭園の端正な佇まいに、しばしウットリ……。
 
このお寺は枯山水が有名な京都の名刹・龍安寺になぞらえ、「能登の龍安寺」と呼ばれることもあるそうですが、同じ枯山水でも庭の印象は龍安寺と全く違った趣。山あいのお寺に、こんな素敵な空間があることが感動的です。
1979年に作られた中庭も見応えがあります。神仙思想(神仙を信仰し、不老不死などを願う古代中国の思想)に基づいて作られた庭を見ていると、時が経つのを忘れてしまいそう。

屋内にも必見のものがあります。そのひとつが、圧倒的な存在感を放つ松の襖絵。
「立って眺めて、座って眺めて、そして斜めからと、角度を変えて眺めると、違った印象に見えますよ」と、ご住職。
ほかの襖と壁に描かれた雀も可愛らしく、心がほっこり。
そしてもうひとつが、山岡鉄舟の千双屏風。奥能登の山あいで、素晴らしい芸術に出会うことができました。
 
副住職による分かりやすくユニークな禅のお話にも引き込まれます。副住職は禅のウエブマガジン「ZENzine」を手掛けるメンバーのひとり。ぜひ、事前に連絡をして参拝することをおすすめします!
吉祥寺は珠洲焼作家・山田睦美さんのご実家でもあり、庫裏には山田さんの作品も展示されています。
 
珠洲焼らしい力強さのなかに光る繊細さは、山田さんの作風。凛とした禅寺の世界観を思わせる器は、使うほどに愛着が湧いてきます。

吉祥寺

住所:石川県珠洲市若山町吉ケ池18部-7の甲
電話番号:0768-82-5808
拝観時間:4月~11月(事前に要電話連絡)
駐車場:あり

日本海一望のカフェで、揚げ浜塩を使ったパンケーキに舌鼓

さて、珠洲に来たのなら、ランチは海の恵みを味わいましょう!
 
海の恵み=海産物だけではありません。珠洲には、キレイな海水を使って昔ながらの揚げ浜式製塩法でつくるお塩があります。塩田で濃度を高くした海水を煮詰めて作る「揚げ浜塩」は、まさに海のミネラルがたっぷりと詰まった、自然の恵み。
この希少な塩を、洗練された空間で楽しめるのが「しお・CAFE」。
 
古民家の木の質感を生かしつつ、シンプルモダンに改装された店内は、天窓から光が差し込み、とても明るい雰囲気。窓際のカウンター席は、海をのぞむ特等席です。
この日のお目当ては、揚げ浜塩を使った「奥能登地サイダー しおサイダー」を生地に加えるパンケーキ。パンケーキにふわふわのメレンゲと半熟卵をトッピングし、黒胡椒とバジルソースをかけた「エッグインクラウド(1320円)」をいただきました。
 
豪華な見た目はボリュームがありますが、しおサイダーを加えて焼いた生地は軽くてお腹にもたれません。これも、揚げ浜塩のなせる技でしょうか……。
もちろん、スイーツ系のパンケーキも充実。定番メニューのほか、季節の食材を使った期間限定メニューも楽しめます。こちらは、林檎ジャム&キャラメルソースのパンケーキ。
吹き抜けの階段を昇ると、そこはギャラリー&カフェスペース。気持ちよく陽光が差し込むなかで、奥能登の海と写真を鑑賞することができます。
揚げ浜塩を使ったお土産も揃います。この日は、「奥能登地サイダー しおサイダー」と、揚げ浜塩だけで味付けした、無添加で昔ながらの釜揚げ製法の「奥能登しおポテトチップス」を購入。
 
ポテトチップスは食べ始めたら止まりません! ハイボール用にしおサイダーを買い求める人も多いのだそう。
「季節ごとに、海の表情もいろいろ。またぜひいらしてくださいね」と糸矢佳史店長。ここはカフェでもあり、珠洲をはじめ能登の文化を発信するスポットでもあり。能登らしい料理と珠洲の豊かな風土を味わうことができました。

しお・CAFE

住所:石川県珠洲市片岩町ノ部12番
電話番号:0768-87-2111
営業時間:10:30~19:00(L.O.18:30)*冬期変更あり
定休日:水曜(祝日に当たる日は営業あり)*冬期変更あり
駐車場:あり

揚げ浜式の塩づくりに圧巻! 道の駅で極上の塩に出会う

パンケーキでお腹を満たした後は、昔ながらの「揚げ浜式」の塩づくりを今も続けている「道の駅すず塩田村」へ。「しお・CAFE」から車で3、4分のところにあります。
その製法は、とても独特。
 
平らにならした砂地の塩田に、海から運んだ海水をまき、天日でしっかりと乾かす。
完全に乾いたら、その塩分を含んだ砂を集めて箱の中に入れる。
その上から海水を流し込み、約15%の濃い海水を取り出す。
これを平釜で荒焚きと本焚きの合計22時間の釜焚きの行程を経て塩が完成します。
 
その手間と労力と時間たるや!
塩づくりを手がけるのは、浜士(塩職人)。まさに、能登のきれいな海水と太陽と匠の技で、旨味のある塩がつくられているんですね。なお、5月〜9は、予約すれば塩田の見学も可能です。

 

「道の駅すず塩田村」のショップに並ぶのは、この塩や、塩を使った調味料。「揚げ浜の塩」はとてもまろやかな味わい。「浜士さんが大変な思いをして作ってくれたんだな~」と思いながら大切に使えば、いっそうおいしくなりそうです!

道の駅すず塩田村

住所:石川県珠洲市清水町1-58-1
電話番号:0768-87-2040
営業時間:9:00~17:00 (12月~2月は9:00~16:00)
定休日:年中無休
駐車場:あり

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