【金沢から電車で行く能登旅】七尾・和倉温泉日帰りモデルコース|グルメと観光を満喫

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令和6年能登半島地震から少しずつ復興の歩みを進める七尾・和倉温泉。
伝統文化や祭り、そして新しく生まれたお店など、街には“今だからこそ見たい”前向きな魅力があふれています。
今回は、金沢から特急で約1時間。
地元の人々の温かさに触れながら、花嫁文化やグルメ、カフェ、温泉まで楽しめる【七尾・和倉温泉日帰りモデルコース】をご紹介します。

【金沢から電車で行く能登旅】七尾・和倉温泉日帰りモデルコース|グルメと観光を満喫

車なしでも行ける!電車とバスで楽しむ能登観光

七尾市は石川県の北部、能登半島のほぼ中央に位置しています。七尾湾と富山湾に面した自然と資源に恵まれた土地で、石川県を代表する観光地「和倉温泉」も有名です。

復興の進む七尾・和倉を応援する旅

今回訪れる七尾市は、令和6年能登半島地震で最大震度6強を観測し、甚大な被害を受けた地域のひとつです。
日本を代表する温泉旅館「加賀屋」も被災し、公費による解体を経て、2027年の営業再開を目指して再建が進められています

それでも街には、祭りを守り続ける人々や、新しいお店を立ち上げる若い力など、復興に向けた明るい動きが次々と生まれています。
今回は、そんな「今行ける七尾・和倉温泉」をめぐる日帰りモデルコースをご紹介します。

モデルコース概要|金沢駅から日帰りで七尾・和倉温泉へ

金沢を訪れたなら、少し足を伸ばして能登半島へ出かけてみませんか?
特急を利用すれば、わずか1時間で七尾市へ到着。金沢駅周辺の喧騒を離れ、能登のグルメと温泉を満喫できる日帰り旅へ出発しましょう♪

  • 花嫁のれん館【通常営業】
  • 松乃鮨 本店
  • 道の駅 能登食祭市場
  • 和倉温泉お祭り会館 【曜日限定開館】
  • 能登ミルク 本店
  • 湧浦の湯壺
  • 和倉ショッピングセンター
  • シロネコの団子
  • 和倉温泉総湯【通常営業】

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【10:00】金沢駅出発|JR特急能登かがり火で七尾へ

金沢駅から観光列車「能登かがり火」に乗って、いざ出発!
駅弁を食べたいところですが、このあとのランチのためにぐっと我慢です。

JR特急能登かがり火

金沢駅→七尾駅

【所要時間】約52分~57分

【料金】2,190円

金沢駅→七尾駅

【10:52】七尾駅到着|徒歩で観光スタート

七尾駅に到着! 駅前の穏やかな風景を眺めながら、歩いて次の目的地へ向かいましょう。

【11:05】花嫁のれん館|七尾の伝統文化に触れる

最初に向かったのは、七尾駅から徒歩10分の「花嫁のれん館」。
小丸山城址公園の麓にあり、かつて前田利家が築いた小丸山城の城下町として栄えた場所です。
館内では、実際に家庭で使われていた花嫁のれんを間近で見学できるほか、無料のガイドさんによる七尾市の伝統文化「花嫁のれん」の歴史解説も聞くことができます。

  • 今回ガイドをしてくださったのは笑顔が素敵な杉野満里子さん
矢島
館内には色鮮やかなのれんがずらりと並んでいますね!
どれも柄や色合いが違っていて、とても華やかです。
この「花嫁のれん」って、どういう風習なんですか?
矢島
杉野さん
花嫁のれんは、幕末から明治時代初期にかけて加賀藩の領地で栄えた風習です。
嫁ぎ先のご先祖様にご挨拶するために、生家で家紋入りのれんを誂え、花嫁が持参するんですよ。
一人一枚ずつ拵えるもので、一生に一度しか使わない婚礼道具でした。
杉野さん
矢島
私のルーツは東北や中部地方なので、初めて聞く文化です。
せっかく拵えても次の世代には受け継がないんですね! 娘さんが多いご家庭は大変そう……。
矢島
杉野さん
そうなんです。そういう点では、名古屋あたりの嫁入り文化と少し似ているかもしれませんね。
ただ、時代が変わった今では、親族同士で貸し借りをすることもあるそうですよ。
杉野さん
矢島
いまでも伝統の婚礼文化として受け継いでいるご家庭があるのですね。
こうして代々守り続けることで、家や地域の文化をつないでいくのはとても素敵だと思います。
矢島

花嫁衣裳をまとい、実際にのれんをくぐる体験(有料)もできます。
男性は紋付袴を着ることができ、「結婚式では洋装だったから」と和装に憧れて訪れる方も多いそうです。

基本情報

花嫁のれん館

【住所】石川県七尾市馬出町ツ部49

【電話番号】0767-53-8743

【開館時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)

【休館日】年末年始(12月29日-1月3日)

【入館料】高校生以上550円、小中学生250円

花嫁のれん館

【12:30】松乃鮨 本店でランチ

公園から一本杉通りを抜けて徒歩約10分。早めのランチに訪れたのは、老舗の寿司店「松乃鮨」さんです。明治元年創業のこのお店は、地元の人々から長く愛され続けてきました。七尾湾で水揚げされた新鮮な魚介を味わえば、能登の魚の美味しさにきっと驚くはず。

せっかくの旅なので、贅沢に「上ランチ(税込1,780円)」を注文。小鉢や吸い物まで付いてこの価格は驚きのコスパです。中でも左上にある玉子巻は、かつて徳川家斉に献上されたという「玉宝」。かんぴょう・でんぶ・玉子焼き・海苔を、酒の香りがほんのりと利いた薄焼き玉子で包んだ逸品です。

電車旅ならではの地酒も一緒にいただき大満足な昼ごはん。寿司ランチ(税込1,000円)もコスパ最強なので近所に住んでいる人がうらやましい限りです。

基本情報

松乃鮨 本店

【住所】石川県七尾市府中町220-6

【電話番号】0767-53-0053

【営業時間】11:30〜14:00/17:00〜22:00

【駐車場】8台完備

【備考】ランチメニューは平日限定です

松乃鮨 本店

【13:30】能登食祭市場でお土産を物色

松乃鮨から徒歩約2分、食後に向かったのは能登食祭市場。能登の玄関口と呼ばれる七尾港にあり、新鮮な魚介類や能登のお土産が並んでいます。
鮮魚は宅配便で送ることもできるということで、友人は「家に帰ってからの楽しみをつくる」と意気込んでカニやのどぐろを購入していました。

酒蔵が多いことで有名な能登半島。こちらの一角では、能登産のワインや日本酒が壁一面にずらり!どれも飲んでみたくて目移りしてしまいますが、まず飲んで欲しいのは日本酒の宗玄と竹葉。特に数馬酒蔵さんの「竹葉 能登純米」は旨味が濃いのにすっきりとした飲み口で、どんな料理にも合わせられる一杯です。筆者はお土産用や自分用で年間に20本は購入しています。

また、能登半島では塩や醤油作りも盛んです。おすすめは地元で作られた甘めのお醤油たち。ブリなどの脂がのった魚との相性が抜群です。

日本酒好きに持ち帰ってもらいたいのが「干くちこ」。
なまこの卵巣を素干ししたもので、奈良時代から受け継がれる能登の高級珍味です。からすみ・ウニと並ぶ、日本三大珍味の一つとして知られています 。

焼き物を購入してその場で食べたり、お土産用の干物を購入できる竹一鮮魚店。まだお昼ごはんでお腹がいっぱいなので、持ち帰り用にいかめしを10個購入しました。七尾市が舞台になった漫画「君は放課後インソムニア」にも登場しています。

この日の夜に、買って帰った日本酒と一緒に食べるいかめしは最高でした。むちむちのもち米と日本酒の相性が悪いわけがない。

基本情報

能登食祭市場

【住所】石川県七尾市府中町員外13-1

【電話番号】0767-52-7071

【営業時間】平日9:00〜17:00/土日祝日9:00〜17:00(グルメ館は店舗により異なります) 

【定休日】毎週火曜日(祝日の場合は営業)・元日(1月1日)

能登食祭市場

【14:29】七尾駅からバス移動|和倉温泉へ

能登食祭市場の前から七尾駅まで徒歩で約12分。ここからはバスに揺られて15分ほど移動。七尾線の線路沿いを真っ直ぐ和倉温泉へと向かいます。

【14:45】和倉温泉街に到着|海が見える公園でまったり

和倉小学校前のバス停で下車し、海の方へ歩くこと約5分。湯っ足りパークに到着しました。
ここは、能登島大橋やツインブリッジのと、そして七尾湾を一望できる絶景スポットです。
現在は能登半島地震で被害を受けた護岸の復旧工事が進められており、全体の完了は2027年9月を目指しています。

お気に入りのわくたまくんを見つけてパシャリ

基本情報

湯ったりパーク

【住所】石川県七尾市和倉町ひばり1-1

湯ったりパーク

【15:10】和倉温泉お祭り会館|能登の四大祭りを体感しよう

湯っ足りパークから徒歩約7分。次に訪れたのは「お祭り会館」です。
ここでは、実物の曳山(祭りで使用される山車の一種)や映像を通して、七尾市を代表する四大祭り「青柏祭」、「能登島向田の火祭」、「石崎奉燈祭」、「お熊甲祭」について学ぶことができます。

人の力で動かすとは思えないほど巨大な曳山が並ぶ光景は、まさに圧巻。きっとあなたも、能登の祭りの魅力に引き込まれることでしょう。
和倉温泉お祭り会館の魅力をもっと知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください!

基本情報

和倉温泉お祭り会館

【住所】石川県七尾市和倉町2部13番地1

【電話番号】0767-62-4332

【営業時間】9:00~17:00(入館は16:30まで)

【定休日】第2・第4水曜日、年末年始(12月31日~1月1日)

【料金】観光情報エントランス(無料)

   展示ホール(有料)一般800円、小・中学生400円、乳幼児無料

和倉温泉お祭り会館

【16:00】能登ミルク本店|ジェラートと可愛い雑貨に癒されるひととき

お祭り会館から歩いて約5分。次に訪れたのは、人気のカフェ「能登ミルク本店」です。
角を曲がると現れる可愛らしい外観に思わず足を止め、写真を撮りたくなるような魅力があります。

  • ジェラート(ダブル)550円

そして今日一番の楽しみだったジェラートをいただきます!

おしゃれな店内には、ユニークで可愛らしいグッズがずらり。
お土産にぴったりな「能登ミルククッキー」をはじめ、ステッカーやキーホルダー、キャップ、Tシャツなど、多彩なアイテムが並びます。気づけば、かごに商品を入れる手が止まらなくなってしまうかも。

能登ミルクのオーナー 堀川さんにインタビュー

  • オーナーの堀川昇吾さん
矢島
最近の店舗の様子を教えてください。
矢島
堀川さん
ボランティアの方をはじめ、土日になると地震前と変わらないくらいたくさんのお客様が来てくださいます。
「能登ミルクを目指して来ました」と言っていただけるのが本当に嬉しいですね。
堀川さん
矢島
「能登ミルク」としては、どんな思いでお店を続けていらっしゃいますか?
矢島
堀川さん
お店としては、変わらずやるべきことを丁寧に続けていくだけです。
“能登”の名を掲げている以上、使う食材もできるだけ能登産にこだわりたいと思っています。
能登の一次産業を守ることに少しでも貢献できればと考えていて、そのままでは市場に出せない傷ものの商品も「全部(うちで材料として使うから)持ってきて」と声をかけ、地域の方々と一緒に歩んでいきたいと思っています。
堀川さん
矢島
なんて格好いい言葉……!
最後に、和倉の復興についてどのように考えていますか?
矢島
堀川さん
2年半後の加賀屋オープンで、ようやく和倉が完全復活を迎えるのではないかと思っています。
七尾がハブとなって、そこから奥能登へと元気が広がっていく、そんな流れを期待しています。
堀川さん

基本情報

能登ミルク本店

【住所】石川県七尾市和倉町ワ部13-6

【電話番号】0767-62-2077

【営業時間】9:00~17:00

【定休日】水・木曜日


能登ミルク本店

【16:20】涌浦乃湯壺(わくうらのゆつぼ)|温泉卵づくり

ジェラートでさっぱりしたあとは温泉地ならではの楽しみ方を♪

能登ミルクを出て左に150m。和倉温泉の源泉で温泉卵を作れるスポットがあるんです。

親切なご主人と奥様が迎えてくれる「和倉ショッピングセンター」で卵を購入したら、源泉のかごに卵を入れて約15〜20分。立派な温泉卵が出来上がります。
先ほどジェラートを食べたばかりなので、この日はその場では食べず、夕食用にお持ち帰りしました。

基本情報

和倉ショッピングセンター

【住所】石川県七尾市和倉町ヨ21-1

【電話番号】0767-62-2856

【営業時間】8:00~20:00

和倉ショッピングセンター

基本情報

涌浦乃湯壺

【住所】石川県七尾市和倉町 湯元の広場

涌浦乃湯壺

【16:30】シロネコの団子|笑顔と幸せを招く新名所

2025年7月7日にオープンしたお団子スタンド。涌浦乃湯壺の目の前にあるので、温泉卵を作っている間に立ち寄ることも可能。

オリジナルのTシャツやトートバック、シロネコのグッズが当たるガチャガチャに目を奪われ、ついつい財布の紐が緩んでしまいます。

また、実はこちらのお店、能登ミルクの店舗プロデュースを手掛けたデザイナーのモリモトシンゴさんが作った店舗なんです。和倉の街でひと際目を惹く2店舗、はしごしない訳にはいきません……!

  • プレーン380円(税込)、みたらし430円(税込)

イチオシのメニューは能登の塩を練り込んだ「能登塩だんご」。ほのかな塩味と甘味、柔らかな生地の絶妙なバランスに一口食べて感動!その場で一本だけいただいて、残りは帰りの電車のお供にします。

  • 抹茶ラテ 能登塩だんご(プレーン)1本付き 880円(税込)
  • モンブラン 490円(税込)
  • 能登温泉サイダー 430円(税込)

地元・和倉にある田尻虎蔵商店の抹茶を使用した「抹茶ラテ」や、秋の新作団子「モンブラン」、輪島の温泉水を使った「能登温泉サイダー」など、一度では堪能しきれない魅力的なメニューの数々に、また来よう!という気持ちが強くなりました。

シロネコの団子のオーナー モリモトさんにインタビュー

  • オーナーのモリモトシンゴさん
矢島
「シロネコの団子」には、どんな思いを込めていますか?
矢島
モリモトさん
シロネコは「招き猫」を象徴していて、お客様や幸せを街に招き入れるような存在になれたら嬉しいです。
モリモトさん
矢島
和倉温泉のいま、そしてこれからについて、どのように考えていますか?
矢島
モリモトさん
和倉温泉は珠洲や輪島など奥能登観光への中継地点の役割を担っています。
まずは宿泊施設の復興、そして能登半島地震以前よりも魅力ある温泉街になることが将来的に能登半島全体の復興へと繋がると信じて尽力していきます。
自分にとって「シロネコの団子」はそのための第一歩です。
モリモトさん
矢島
震災後の和倉にこんなに素敵なお店がオープンして、町のみんなも喜んでいますね。
新しいお店ができる=もう和倉温泉に遊びに行ってもいいんだ!という安心感も得られました。
最後に、復興への思いをお聞かせください。
矢島
モリモトさん
能登は地震後、多くの方に支援していただき、たくさんの力に支えられて復興への歩みを進めてきました。
ですが、いつまでも頼っているわけにはいきませんし、やがて関心が風化してしまうこともあります。
だからこそ今は、自分たちの力で歩んでいけるように成長し、数年後には支援してくださった多くの方々をおもてなしできるようになること、それが私の考える和倉温泉の“本当の復興”です。
モリモトさん

シロネコの団子

【住所】石川県七尾市和倉町ヨ部57

【営業時間】9:00~17:00

【定休日】水・木曜日

【17:00】和倉温泉 総湯|復興を象徴する癒しの湯

シロネコの団子から能登ミルクの方へ戻り、突き当たりに見えるのが和倉温泉 総湯。一日食べて、たくさん歩いた体を休ませるには温泉が一番です。

令和6年能登半島地震後、一時営業を休止していましたが、2024年3月26日に再開されました。清潔感のある館内では内風呂、露天風呂、サウナを満喫。風呂上りは休憩処でまったりして、体がスッキリ軽くなりました。

基本情報

和倉温泉総湯

【住所】石川県七尾市和倉町ワ6-2

【電話番号】0767-62-2221

【営業時間】7:00~21:00

【定休日】第四木曜日

【料金】大人500円、小学生150円、未就学児50円

和倉温泉総湯

【18:44】和倉温泉駅出発|JR特急能登かがり火で帰路へ

和倉温泉のバス停から、バスで9分の和倉温泉駅へ(18:16発~18:25着)。「さっき見たやつだ~!」と駆け寄ったのは青柏祭に奉納される「でか山」の車輪。お祭り会館に行ったからこそわかる大きさの凄さと感動がありました。

和倉温泉に別れを告げ、「特急かがり火」に乗り込みます。

和倉温泉駅

【住所】石川県七尾市石崎町タ部55番地

【19:54】金沢駅到着

特急電車に揺られてうとうとしている間に金沢に到着。日帰りとは思えない満足度の高い一日で、家に帰ってからも七尾・和倉を思い出すことのできるお土産をたくさん抱えて帰ってくることができました。
復興に向けて新たなスタートを切り、走り出している能登半島で非日常を味わってみてはいかがでしょうか。

また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設イベント情報を随時更新中です。

皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。

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