和菓子制作や製茶場見学など、お茶時間を楽しむ旅|石川県加賀市

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ほっと石川旅ねっと体験ライターの又木です。 

普段は能登地方で仕事をしながら、趣味の写真を通して能登の風景などを発信しています。 

 

今回は老舗和菓子店でのオリジナル最中作り体験や、九谷焼の窯元、加賀棒茶工場を回りました。石川県の南部に位置する加賀市で和の文化に触れる旅をお楽しみください!


和菓子制作や製茶場見学など、お茶時間を楽しむ旅|石川県加賀市

山中温泉にある和菓子の老舗でオリジナル最中を作ろう

加賀市にある山中温泉。開湯1300年もの歴史があり多くの人が温泉を求め訪れます。そんな山中温泉の地で、1905年に創業した老舗・『御菓子調進所 山海堂(さんかいどう)』。干菓子(ひがし)や上生菓子を中心に、見て楽しく味わって美味しい、五感で楽しめる和菓子を作られています。
山海堂では最中の和菓子作りを体験できます。作るのは、看板商品でもある「そっとひらくと」シリーズ。春夏秋冬で異なるデザインの最中種の中に、様々な干菓子が入った和菓子です。初めて写真で見た時、「え、可愛い。何これ!」と目を奪われました。お土産グランプリをはじめとした様々な賞も受賞されています。 

早速作りましょう。
最中種の中には色鮮やかで可愛らしい様々な種類の干菓子と占いの札を入れます。ケースの中にはたくさんの干菓子が並んでおり、「この中から干菓子を6つ、金平糖を3つ、札を1枚選んで最中種の中に入れてくださいね」とのこと。
でも正直全部詰めたい!

季節感や色のバランスを見ながら、自分だけのオリジナル最中を作ります。
どれも可愛らしくて、あーでもないこうでもないと楽しく試行錯誤しながら、次々と最中種に詰めていきます。食べるのが勿体無いですね。 

完成したのがこちら!
写真右の最中は、冬の時期限定の雪だるまの絵が描かれた「ゆきふわり」。その中に、冬の季節感を感じるモチーフの干菓子と、趣味のカメラや今年の干支のウサギを詰め込みました。
左は、通年で選べる最中種で、山中温泉の名所「こおろぎ橋」が描かれています。中には明るく可愛らしいイメージで、花や鈴、風車などを詰め込みました。
お店の方にも「素敵です」と言っていただけて、悩みに悩んだ甲斐がありました! 

店頭には、お饅頭や羊羹、最中など数多くの和菓子が並びます。店員さんにおすすめいただいた和菓子も購入。お茶と一緒に美味しくいただこうと思います。
季節ごとの「そっとひらくと」もディスプレイされており、体験する際の参考になりますよ。また、季節ごとで違った最中を作るのも楽しいですね。山中温泉には観光スポットもたくさんあるので、訪れた季節に合わせて最中づくりを楽しんでみてはいかがでしょうか。 
今回、ご案内くださった山海堂5代目の黒田麻実さん。Uターンして家業を継いだのが28歳の時。力仕事が中心の和菓子作りの仕事内容から、女性でも活躍しやすい手先を使う仕事内容へと、4代目のお父様が考案されたのが、干菓子を中心とした「そっとひらくと」シリーズなのです。
父から子への思い、親子の絆を感じさせる和菓子に心があたたまります。山中温泉に来たらぜひ訪ねてみてください。 

基本情報

御菓子調進所 山海堂

【住所】石川県加賀市山中温泉湯の本町ク-8

【電話番号】0761-78-1188

【定休日】火曜

【営業時間】9:00〜17:00(月・水・金・土)、9:00〜13:00(木・日)

【駐車場】2台


《オリジナル最中作り体験》

【体験料金】2,200円 (約1時間)

【体験人数】最小人数2名〜最大4名


››じゃらん遊び・体験予約はこちら

››『山海堂』の公式サイトはこちら

100年以上続く窯元で九谷焼の文化に触れよう

山海堂から車で10分ほど、温泉街として有名な山代温泉にあるのが、100年以上続く九谷焼の窯元『九谷美陶園(くたにびとうえん)』です。九谷焼とは、石川県南部で焼き継がれている陶器のことを指します。伝統的な模様の飾り皿などが頭に浮かびますが、店内に入ってまず目を引いたのが、どことなく海外風な可愛らしいデザインの陶磁器の数々。普段は能登にいるのであまり馴染みがないこともあるのですが「九谷焼にはこうしたデザインもあるんだ」と、とても新鮮に感じます。 
奥にはカフェスペースもあり、テーブルには色鮮やかな九谷焼がディスプレイされています。ここでは九谷美陶園で作られた陶器で提供されるコーヒー(1杯200円)がいただけます。 
こちらのマグカップはペルシャ唐草の文様が描かれています。唐草文様は生命力が強く途切れることなく蔓を伸ばしていくため、「繁栄や長寿」の意味があり、縁起の良い文様とされています。こうしたモダンなデザインを描かれているのは現在のオーナーのお母様。海外旅行が好きで、デザインに生かされているとのこと。和洋中どんな料理にも合わせやすい器と評判のようです。 
取材日はあいにくの雨模様でしたが、色とりどりの九谷焼を眺めつつのんびりとした時間を過ごしながら飲むコーヒーは美味しく、なんだか風情があるなぁと感じました。お店の周りは緑で囲まれていて心地よい雰囲気です。 
60年ほど前から古九谷の写しとして描かれている牡丹文様の飾皿。牡丹は陶磁器の歴史と共に中国から日本に入ってきて、九谷でもたくさん描かれたのだとか。 

※古九谷とは、九谷村で最初に開窯された1655年から突然閉じられる1700年初頭までの間に焼かれたもの。作られた期間が短いため、現存数が少なく希少価値も高い。他の色絵磁器に比べると釉の色が濃く、力強い絵付けの九谷ですが、古九谷は特に力強く独特の魅力を放っています。
葉を咥えた鳥の文様が可愛い豆皿。他にも様々なデザインがあります。
他にも人間国宝の陶芸家でもある吉田美統氏の壺や、オノヨーコ氏がこちらに訪れた際に「和」と描いた大鉢など、様々な九谷焼作品が展示されています。天皇陛下が雅子様との婚約発表前にお買い求めになられたという夫婦湯呑や、宮内庁への贈答品として美陶園の工芸品が使用されたという逸話など、文化的な価値を感じますね。

元々は明治から味噌・醤油の商家として栄え、九谷の絵付けの仕事を始めたことが窯元の起こりなのだとか。今では九谷焼の伝統の中に、現代にアレンジした様々なデザインを取り入れ、食卓を彩るアイテムを多くの人に届けています。 

基本情報

九谷美陶園

【住所】石川県加賀市山代温泉 16-71

【電話番号】0761-76-0227

【定休日】なし

【営業時間】9:00~17:00

【駐車場】4台 バス駐車可


››『九谷美陶園』の公式サイトはこちら

製茶場見学で加賀棒茶の魅力に触れよう

最後に訪れたのは、1863年創業の『丸八製茶場(まるはちせいちゃじょう)』。九谷美陶園から車で10分程の場所にあります。ここでは、日本茶の製造と販売をしており、駐車場について驚いたのは、外にまでふんわりと広がる棒茶の香りでした。
製造工場に併設された直営店「実生(みしょう)」には、喫茶スペースやギャラリー、物販コーナーなどがあり、飲んで見て買って、加賀棒茶を楽しめます。 

加賀・金沢でお茶といえば茎を焙(ほう)じた「棒茶」が一般的と言われています。
丸八製茶場の「献上加賀棒茶」は、新茶の茎の旨みをそのままに焙じ、香りは芳ばしく、スッキリとした味わいが特徴です。通常は茶葉を焙じるほうじ茶と違い、茎を焙じる点が異なりますね。 
工場では機械が稼働しており、お茶を焙じている様子を見学できます。駐車場まで芳ばしいお茶の香りが届いていたのはまさにこの香りだったようです。写真は焙じられた棒茶が機械で運ばれていく様子。なお工場見学は月曜、火曜、木曜日のみのため注意が必要です。 
丸八製茶場での焙煎の方法は茶葉を直接火にかける「直火式」と砂と混ぜて熱する「砂炒り(すないり)」の2種類あったのだとか。ただ、砂炒りは砂が入る可能性があるため、安全面へ考慮する中で、遠赤外線のセラミックバーナーを使うようになったそうです。焙煎した後は、社員の皆さんで試飲して検品。その後商品となり、加賀棒茶として多くの人に親しまれています。 
工場に併設された直営店「実生」には、シンプルで雰囲気が素敵な喫茶スペース(2023年3月現在はカウンター席のみ)が設けられており、丸八製茶場のお茶をいただくことができます。せっかくなので優雅なティータイムを楽しみましょう! 
席に着くとまず、献上加賀棒茶の爽やかな水出しが出されます。季節の和菓子もすごく気になりますが、今回は加賀棒茶のロールケーキと献上加賀棒茶のセットにしました。

お茶もお菓子もとても美味しく、スッキリとした飲み心地と特徴的な芳ばしさに「ほっと」すること間違いなし。
調べてみたところ、ほうじ茶の香りの成分は、「ピラジン」と呼ばれる芳ばしさを表現する香りで、リラックス効果があるそう。高温で焙じることで生まれる成分で、コーヒーなどにも含まれているようですよ。クセのない香りなのでお菓子はもちろん、肉や魚料理にも合いそうです!
棒茶のロールケーキは香りもよく、クリームとの相性が抜群。今回いただいた加賀棒茶は、1983年に加賀市を訪れた昭和天皇へ献上したことから、その後「献上加賀棒茶」と命名されて商品化されました。 

喫茶スペース手前のギャラリースペースでは、期間毎に異なる企画展示が行われています。
この時は九谷焼や花、書が展示されていました。
その隣には、物販スペースがあり、多くの買い物客で賑わっていました。個人的におすすめなのは季節ごとに登場するシリーズ「焙茶noma(ほうじちゃノマ)」。香料などは一切添加せず、その時季に飲んでほしい味わいを、茶葉と焙煎のみで表現しているそうです。
喫茶でもいただいたのですが、撮影時の2023年1月のものは、複数の品種をブレンドした深みのある味わいが好みでした。季節・数量限定のため、ぜひその味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

基本情報

丸八製茶場・実生

【住所】石川県加賀市動橋町タ1-8

【電話番号】0120-42-4251(フリーダイヤル)

【定休日】水曜 (水曜祝日の場合は翌日)

【営業時間】10:00〜17:00、喫茶は10:00〜12:00(L.O.11:30)、13:00〜16:30(L.O.16:00) (お茶の焙煎の様子の見学は月曜・火曜・木曜日の午前中のみ)

【駐車場】10台

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