志賀町で楽しむ!バギー体験・絶景・グルメ満喫のまち歩き旅
令和6年能登半島地震では、震度7を観測した石川県の志賀町(しかまち)。多くの家屋や店舗が倒壊・損傷し、町の風景は一変しましたが、現在では仮設商店街ができるなど、少しずつ復興の歩みを進めています。
今回の記事では、「志賀町で今楽しめること」をテーマに、日帰りで巡るモデルコースをご紹介します。
能登半島・志賀町へようこそ|自然と文化が息づく海辺の町
石川県羽咋郡に属する志賀町は、能登半島のほぼ中央部、日本海側に位置しています。金沢駅からは、のと里山海道を利用して車で約50分とアクセスも良好です。
ぶらりまち歩き|福専寺でホッと一息「匂い袋作り体験」
はじめに訪れたのは、かつて北前船の寄港地として栄えた港町・福浦(ふくら)です。
今回は、港からほど近い福専寺さんで、ちょっと珍しい体験ができると聞いてやってきました。まずは本堂を拝観させていただいた後、好きな香りと布を選んで、自分だけの「におい袋」づくりに挑戦します。
におい袋が完成したら、持ち帰り用に可愛くラッピングしていただきます。
その後は、お抹茶とお茶菓子をいただきながら、福浦の歴史についてお話を伺い、ゆったりとしたひとときを過ごしました。地元でツアーガイドもされているというご住職はお話がとてもお上手で、気づけばあっという間に時間が過ぎていました。
基本情報
福専寺
【住所】石川県羽咋郡志賀町福浦港ケ9
【電話】0767-48-1523
【料金】3,000円
【体験時間】1時間ほど
【予約方法】前日までに電話にて予約
日本最古の木造木造洋式灯台「旧福浦灯台」
福専寺から歩いて10分ほどの場所にある、レトロで可愛らしい旧福浦灯台。明治9年(1876年)に日野吉三郎によって建てられたもので、高さは約5メートル、内部は三層構造になっています。
灯台へと続く坂道には、当時の面影を残す石畳が今もところどころに残されており、訪れる人を静かに迎えてくれます。
かつては北前船がこの港から、雄大な日本海へと旅立っていったのでしょう――そんな光景に思いを馳せずにはいられません。
灯台をモチーフにしたご当地キャラ「西能登あかりちゃん」との記念写真も、お忘れなく。
海の上から志賀町を堪能|巌門クルーズ
次に向かったのは、巌門(がんもん)。
能登半島西海岸の景勝地・能登金剛(のとこんごう)を代表する景観のひとつとして知られ、松本清張の小説『ゼロの焦点』の舞台にもなった場所です。
遊覧船に乗るまでの道のりも絶景が続き、海の青さに思わず目を奪われます。
約20分の遊覧では、長い年月をかけて日本海の荒波に削られた巌門の迫力ある姿を、間近で見ることができます。
基本情報
巌門クルーズ 能登金剛遊覧船【能登 観光】
【住所】石川県羽咋郡志賀町富来牛下巌門
【電話番号】0767-48-1261
【運行時間】9:00〜16:00頃
【運行期間】3月中旬〜11月中旬
【料金】大人1,600円、小人800円(小学生)
道の駅とぎ海街道に復興のにぎわい!仮設商店街がオープン
令和6年能登半島地震により被災した6店舗が、仮設店舗として肩を並べる道の駅とぎ海街道。洋食店から呉服店まで、富来(とぎ)の町に欠かせないお店たちが戻ってきたことで、震災後の私たちの心に明かりを灯してくれました。
仮設商店街の入り口で出迎えてくれるのは、「トギストア」さん。日用品から惣菜、鮮魚まで揃う、地域密着型の便利なスーパーです。
毎朝、七尾の市場から新鮮な魚を仕入れています。目利きのお父さんが選ぶ魚は、どれも間違いのない美味しさです。
事前に予約すれば、お刺身の盛り合わせやオードブルを持ち帰ることもできますよ。
公費解体となった旧店舗の跡地には、2026年を目途に新たなトギストアが再建される予定です。 そこは、かつて富来の町のバスターミナルがあった場所でもあります。時代や風景が移り変わっても、町の中心に再び活気が戻る日を心から楽しみにしています。
世界一長いベンチで味わう!波涛園のお弁当ランチ
昼食には、筆者イチオシのお弁当をいただきます。道の駅の横にある階段を上り、世界一長いベンチで楽しむ「波涛園(はとうえん)」さんのお弁当は格別!味も彩りもバランスも、どれを取ってもピカイチです。
昭和3年創業の波涛園は、「披露宴や宴会といえばここ!」と長年親しまれてきた名店。震災の影響で公費解体を余儀なくされましたが、仮設店舗のオープン後は、宴会だけでなくお弁当の販売もスタートしました。
地域の皆さんはもちろん、復興作業に訪れた業者さんやボランティアの方々にも大好評!14時前には売り切れてしまうこともあるため、公式Instagramで販売日をチェックしてから行くのがおすすめです。
- 岩上さん
- 波涛園は料亭として、今年で創業97年を迎えます。長らく、地元のお客様に宴会や法事、結婚式などでご利用いただいてきました。
震災直後、幼い頃から当たり前のようにあった実家でもある波涛園が、なくなってしまうかもしれない。
そんな危機に直面し、私は故郷に戻る決意をしました。
まだまだ未熟ではありますが、波涛園だけでなく、仮設商店街、そして能登全体を盛り上げられる一員になれるよう、精一杯頑張りたいと思っています。まだまだこれから。がんばろう、能登! 
道の駅のすぐそば♪まつ本の“ふわとろ”たこ焼き
仮設店舗の中でも、道の駅に最も近い場所にある「まつ本」さんのたこ焼きは、ふわふわ&とろとろ食感がたまらない一品!
関西風のお出汁がしっかり効いていて、小腹を満たすおやつにぴったりです♪
営業日は変動することがあるため、訪れる前に公式Instagramをチェックするのがおすすめですよ。
日本の夕陽百選「増穂浦海岸」で絶叫!バギー体験
世界一長いベンチから見えていた増穂浦海岸へ向かいます。
まずは管理棟で予約名を伝え、自分に合ったサイズのヘルメットを選びます。注意事項をしっかり確認し、同意書にサインをしたら、いよいよ出発!
バギーはスタッフの方が運転してくれるので、小学生から乗車OKなのも嬉しいポイントです。
本日運転してくださるのは、堀端さん。
優雅に海を眺めながら、バギーに揺られてのんびり……と思いきや――!アクセルを踏み込んだ瞬間、砂浜を勢いよく滑るように進むバギー!
思わず「うわっ!」と声が出てしまうほどのスピード感と、想像以上の迫力にびっくりです。
- 友人
- わああああああああああ!!!!!!そこ、通るんですか!?!?!?

- 矢島
- えっ、ここも行けちゃうんですか!? あ、ちょっと待ってくださ――あばばばばばばばば!
※バギーが砂地をグングン進んでいく中、声にならない驚きと笑いが止まりません 
- 矢島
- はぁ……はぁ……今、何分くらい経ちましたかね?
もうけっこう乗ってる気がするんですが……オーバーしてませんか……!? 
- 堀端さん
- いえ、まだ3分くらいですね(笑)

- 矢島
- えっ、3分!? 30分じゃなくて……本当に3分なんですか!?
じゃあ、そろそろ海のあたりで写真を――
(……と言いかけた瞬間、バギーが急加速!)

- 矢島
- うわあああああああああああ!!!ちょっ、ちょっと待ってください!

- 矢島
- ちょ、すごい……ダメだ、撮影できない!カメラ持っていられない!!
……って、カメラどっかいっちゃう〜〜〜〜!!!!!! 
- 友人
- ひゃあああああああああああああああああ!!!!!
(※想像以上のスピードと振動に、叫びっぱなし) 
- 堀端さん
- はいどうぞ!よかったら、海をバックに写真撮ってくださいね!

- 矢島
- ……あ、ありがとうございます……!
いや、ちょっと、叫びすぎて喉カラカラです。でも、めちゃくちゃ楽しいです……!! 
ついにバギーが停止!
白砂の広がる海岸と、青く輝く海をバックに、記念の一枚をパシャリ。疾走感の余韻が残る中、笑顔でシャッターを切る瞬間も、旅の思い出になります。
横から見ても、とにかくかっこいいバギー姿。風を切って走るそのフォルムに、思わず見惚れてしまいます。
そして再び、激しい道を**バッコンバッコン!と進みながら管理棟へ。
これにて体験終了!一言で表すなら、“終わりのないジェットコースター”でした。自由自在に砂浜を駆け巡る、想像の500倍は激しいアクティビティ。体の奥からアドレナリンがどばどば出てくるのを感じます。とはいえ、絶叫系が苦手な方には、スピードやルートを調整したやさしい運転も可能とのこと。様子を見ながら、スタッフさんがしっかり配慮してくれます。
……ただ、一度あのスリルを味わってしまったら、「ゆっくりでお願いします」なんて、とても言えません!
基本情報
能登リゾートエリア増穂浦 バギー体験
【住所】石川県羽咋郡志賀町相神イ-3-1
【体験時間】10~15分程度
【料金】ひとり1,000円
【人数】5人乗り
【対象年齢】小学生以上
【当日受付】可 ※事情によりお断りする場合もあります
海辺のお散歩はいかが?オフロード・セグウェイで非日常の冒険へ
バギー体験のあとは、オフロード・セグウェイにもチャレンジ!大型タイヤのおかげで、砂利道・草地・林道・砂浜などの不整地もスムーズに走行できる優れものです。数分の練習でバランスの取り方をつかみやすいのも魅力のひとつ。運転免許が不要(※公道での走行は除く)なので、高校生から気軽に体験できるのも嬉しいポイントです。
まずは、10〜15分程度の簡単な講習からスタート。
ポイントは、地面に対してまっすぐ垂直に立つことを意識することです。
ひとりで操作できるようになったら、いよいよ出発!
セグウェイは体重移動で動く構造なので、前に傾けると前進、後ろに傾けると停止や後退。左右に体重をかければ、スムーズに方向転換ができます。
オフロードタイプだから、キャンプ場のような凸凹道でもへっちゃら。一方で、コンクリートの上ではとてもなめらかに進み、まるで滑るような気持ちよさを味わえます。
海をバックに記念撮影!
(あいにくの曇天でしたが、涼しくてむしろ最高のコンディションでした)
アップダウンのある地形を自在に進む爽快感は、まるで自然と一体になったような感覚。バギーにセグウェイ――初めて尽くしの体験に、終始ワクワクが止まらない1時間でした。それぞれの体験が約30分と気軽に楽しめるのも魅力のひとつ。「ちょっと立ち寄って遊びたい」そんな気分にもぴったりな、増穂浦海岸のアクティビティスポットでした。
基本情報
能登リゾートエリア増穂浦 オフロード・セグウェイ体験
【住所】石川県羽咋郡志賀町相神イ-3-1
【体験時間】30分程度(講習、片付けを含む)
【料金】ひとり1,000円
【人数】5台まで貸し出し可能
【対象年齢】高校生以上
【当日受付】可 ※※事情によりお断りする場合もあります
志賀町で味わう地元の味|能登グルメと特産品
お土産を買うなら、道の駅や地元スーパーをのぞいてみましょう。志賀町の人なら誰もが知っている「カネヨ醤油」は、料理好きの方への手土産にもぴったり。
一升瓶で購入するのが地元流で、甘めのお醤油は脂の乗ったブリなどの魚と相性抜群。煮物を作るときも、砂糖を使わなくても味が決まるという優れものです。
甘じょっぱい味わいがクセになる「こぼりのチーズ饅頭」は、お茶請けにもおすすめ。 そして冬には、志賀町の特産品である「ころ柿」もぜひ。
どれもご自宅で、志賀町・能登の味を楽しめる逸品です。
富来の名物といえば、「いがらまんじゅう」と「チーズまんじゅう」。この2つの人気菓子を手がける「お菓子のこぼり」さんは、仮設商店街の一角に店舗を構えています。震災で被害を受けながらも、地域の方々に変わらぬ味を届け続けている地元の名店です。
ころ柿は、12月に旬を迎える志賀町の特産品。干し柿よりも分厚く、もっちりとした食感が特徴です。
そのままおやつとして食べるのも美味しいですが、私はクリームチーズやバター、クルミなどを挟んで冷蔵庫で冷やしてから食べるのがお気に入り。
この日は、能登ワインのロゼと一緒にいただきました。噛むほどに自然な甘みが広がるころ柿は、冬の贈り物や大人のおつまみとしてもぴったり。
志賀町ならではの味わいを、ぜひ一度お試しください。
基本情報
Aコープ とぎ店
【住所】石川県羽咋郡志賀町富来領家町甲26-1
【電話番号】0767-42-2288
【営業時間】9:30~19:30
Column
小堀菓子舗
【電話番号】0767-42-0025
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】不定休
※2025年10月現在は仮設店舗にて製造を行っています。
商品のご購入はAコープとぎ店、道の駅とぎ海街道をご利用ください。
ここが穴場!夕陽を見るなら奇跡の町「赤崎」へ
「日本の夕陽百選」にも選ばれている増穂浦海岸。……ですが、そこから少しだけ車を走らせてみませんか?
今回は、地元民しか知らない“とっておきの夕陽スポット”をこっそりご紹介します。それが、増穂浦海岸から車で約10分の場所にある赤崎漁港。
ここでは、1年を通して雄大な日本海に沈む夕陽を眺めることができる、知る人ぞ知る絶景ポイントです。夕陽に照らされた赤崎の街並みは、息をのむような美しさ。
海と空と街がゆっくりとオレンジに染まっていく光景は、言葉を失うほど幻想的です。
この赤崎地区は、令和6年能登半島地震で震度7を観測した地域のひとつ。
しかし地盤が強かったことから、倒壊や火災の被害が極めて少なく、地元では「奇跡の街」とも呼ばれるようになりました。
基本情報
赤崎漁港
【住所】〒925-0574 石川県羽咋郡志賀町赤崎イ
海辺に泊まる贅沢時間|築90年の古民家宿「TOGISO」
時間に余裕があれば、築90年の古民家宿「TOGISO(とぎそう)」への宿泊もおすすめです。海沿いにひっそりと佇む、囲炉裏のある味わい深い古民家。
一棟貸切での利用も可能なので、家族やグループでの滞在にもぴったりです。波の音に耳を傾けながら、ゆったりと流れる“とぎ時間”を過ごしてみてはいかがでしょうか。
宿から徒歩わずか30秒で飛び込める海では、シュノーケリングやカヤック、銛突き、釣りなどのアクティビティが体験できます。
穏やかな波の音をBGMに、自然と遊ぶ贅沢な時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
築90年の古民家でありながら、水回りがリフォームされているのも嬉しいポイント。清潔感のある共用キッチンでは、カウンターを囲んで友人と“バーごっこ”を楽しんだり、滞在中はコワーキングスペースのように活用することもできました。“泊まる”だけではない、自由で心地よい過ごし方ができる宿です。
夜は、自分で釣った魚や市場で買った地魚、さらには能登牛まで、囲炉裏でじっくり焼いて乾杯。炭火の香ばしい匂いに包まれながら味わうひとときは、まさに至福です。
まるでおばあちゃんの家に遊びに来たような、どこか懐かしくて心あたたまる古民家空間。非日常の中で、大人の“夏休み”をじっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
TOGISOのすぐ向かいには、築120年の蔵をリノベーションした無人古物店「TOGIZO(とぎぞう)」があります。蔵の中から発見された品々のほか、公費解体の対象となった家屋から救い出された輪島塗や九谷焼が静かに並びます。
中には、天保や明治時代に作られた器や道具もあり、まるで時間をさかのぼるような体験ができるのが魅力です。無人営業のため、時間や店員の目を気にせず、一つひとつの器や古物とじっくり向き合えるのも嬉しいポイント。自分の感性で、心に響く一点ものとの出会いを楽しんでみてください。
基本情報
楽しみどころが満載の志賀町で休日を満喫!
週末にふらりと訪れたくなる、海と夕陽と人のあたたかさに包まれた志賀町。
お気に入りの風景や味、出会いを見つけに、あなただけの能登時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設やイベント情報を随時更新中です。
皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。
仮設商店街がオープンする2024年9月14日までの約9か月間、営業ができなかったのは本当に歯がゆい思いでした。
そんな中、ご近所の皆さんが「早くトギストアの美味しいお魚が食べたいわ」と声をかけてくださったことで、なんとか再建に向けて一歩を踏み出すことができました。
今は、みんなの「待っとるよ(店舗の再建を)」という言葉を励みに、毎日がんばっています。