お茶どころ加賀を味わう

五感で楽しむ茶の湯の文化

石川県は茶道をたしなむ人口が全国でもトップクラスと言われています。歴史的にも、千利休より直々に佗茶を学んだ前田利家公の時代から茶の湯とのつながりは深く、五代藩主綱紀公の代には、千家三代の四男仙叟宗室(せんそうそうしつ)を金沢へ迎え指南を乞いましたました。その時にお茶に使う道具を作る工芸師もともに金沢に下り、以来加賀の伝統工芸として独自の発展を遂げてきました。こうして歴史に根ざした茶の湯の文化は、今も石川の地にしっかり根付いています。

お庭を眺めながら呈茶・茶の湯体験

金沢にはいたるところでお抹茶を一服いただける場があります。観光地の中でも、兼六園の時雨亭、玉泉堰堤の玉泉庵、寺島蔵人邸、武家屋敷跡の野村家、ひがし茶屋街の「志摩」の寒村庵など、庭園や建物の意匠を眺めながら、気軽にお茶とお菓子を楽しめます。もう少し茶の湯を深く知りたい人には、東山の町家「町家塾」がおすすめです。お茶を楽しみながら、表千家の作法やお茶室での振る舞いの基本を学べます。

大樋美術館

飴色の釉薬が独特の味わいを生み出す大樋焼は、仙叟宗室が前田家に招かれ京から加賀に赴くとき、楽焼の技術を見込んで帯同した初代大樋長左衞門が始祖。宗室が後に京に戻り裏千家を起こした後も、長左衞門は加賀に残り、以後350年以上にわたり加賀の茶の湯とともに歩んできました。大樋美術館では、大樋焼の歴史と各時代の作品、関わりの深い文化人の作品や資料などを展示してあり、茶道具から石川の茶の湯の歴史を学べます。樹齢500年の赤松を臨む茶室で、大樋焼の茶碗でお茶をいただくこともできます。

香ばしい加賀棒茶を一服

石川県で普段飲まれているお茶といえばほうじ茶。その中で上級品は、大きさ・形の揃った一番茶の茎だけを、旨味を逃さないようにじっくり時間をかけて浅く煎じたもの。熱湯を注ぐと香りが立ち上り、淡い色のお茶を口に含むと雑味のないすっきりした飲み口が広がります。昭和天皇が全国植樹祭でご来澤の折、献上したことですっかり有名になりました。今では石川土産の定番にまでなりましたが、もし機会があれば、一度は専門の茶店で煎れてもらった加賀棒茶を試してみることをおすすめします。煎れ方次第でこんなにおいしくなるの?という驚きと感動を経験してみてください。

石川県観光物産館で、お茶菓子作りを体験しよう!

京都・松江と並んで日本三大菓子処と言われる金沢。お茶どころだけに、どの菓子店も高いレベルで切磋琢磨して味を競い合っている土地柄です。そんな金沢ならではの体験プログラム、上生菓子作りはいかがでしょう。石川県観光物産館では、1月から11月までの土日祝日、1日6回和菓子作り体験を開催しています(要予約)。金沢の老舗和菓子店の職人が、季節のお菓子を丁寧に教えてくれます。自分で作った上生菓子3個に職人が作ったお土産1個。持ち帰るのもいいですが、喫茶コーナーでお抹茶を注文して出来たてをいただくのもおすすめです。

加賀の紅茶と能登の紅茶

お茶というとお抹茶を思い浮かべますが、実は石川県は日本産の紅茶=和紅茶の産地でもあります。加賀市の打越で栽培される「輝(かがやき)」、七尾市の能登島で栽培される「煌(きらめき)」という二つのブランド。前田家十八代当主前田利祐氏によって命名されました。昔から加賀藩領内で生産したお茶には、藩主が愛称をつける風習にちなんだものです。味は癖が少なく甘い香りと清々しい後味が特徴。どちらもまだ発売して10年に満たない新しいお茶ですが、少しずつ生産量を伸ばし、知名度と愛好者を広げているところです。