石川県・金沢工芸体験|伝統の技が生み出す金工芸の輝きと奥深さにふれる


405ビュー 2022.11.21投稿
石川県を中心に活動する、金沢生まれ金沢育ちのフリーライター、酒井恭子です。

今回は金沢エリアで加賀象嵌や金箔、茶道具など金沢の伝統的な金工芸の魅力をじっくり知ることができるスポットを巡ってきました!

『金属彫刻所 morinoko』で加賀象嵌&刻印体験!

金工芸の魅力を知る旅は、『金属彫刻所 morinoko(もりのこ)』からスタート!

こちらでは、石川県の伝統工芸の1つである加賀象嵌(かがぞうがん)やオリジナル刻印で作るネームチャーム作りが体験できます。

約80年の歴史を持つこの金属彫刻所。昔は手彫りや機械彫刻で金型に模様を彫刻し、記念メダルやシールなどを作成していました。体験スペースは代々伝わる作業机や道具に囲まれ、歴史を感じる空間です。
教えてくれるのは、彫金作家の中村和恵さん。

金沢21世紀美術館、まるびぃArt-Complexの企画にてワークショップを行った際、多くの方が喜んで参加してくれたそう。それをきっかけに、よりたくさんの人に加賀象嵌を知ってほしいと、工場で体験型のワークショップをスタートさせました。
「加賀象嵌」とは、金沢の希少伝統工芸の1つ。金属を彫り、そこに色彩や質感の異なる別の金属を嵌(は)め込んで組み合わせて表現する技法です。

展示棚には、加賀象嵌のアクセサリーなども並べられていて、その上品な輝きとデザインに目を奪われました。
さっそく「加賀象嵌とオリジナル刻印で作るネームチャームづくり」(3,500円)に挑戦!

まずは、ベースとなる真鍮の板を選びます。色々な形があるので、用途や好みに合わせてセレクト。わたしはキーホルダーにしたくて三角形のものを選びました。
最初は象嵌の作業から。真鍮板に彫ってある溝に純銀の細い線を打ち込んでいきます。

たがねという専用の道具を使い埋め込んでいくのですが、なかなかコツをつかまないと難しい作業。

垂直に持って、手首のスナップを効かせて、などポイントを教えてもらいながら、少しずつ叩いてはめ込んでいきます。
次にアルファベットや模様などの刻印を入れていきますが、やり直しがきかない作業なので、実際の板に刻印する前に試し打ちをさせてもらいます。

力の入れ方や金槌の持ち方などを教えてもらいましたが、文字が薄かったり、ズレて二重になってしまったり、うーん、難しい・・・。練習あるのみ!
何度か失敗を繰り返しながら、要領がわかったところでいざ本番!

トントントンと心地よい音が響き、確認してみるとクッキリと文字が刻まれています。1つひとつ自分の手で刻印していく達成感があって、これは楽しい!
最後に仕上げの作業。ヤスリがけをして表面やフチを平らにし、ツヤを出していきます。

徐々に細かい目のヤスリに変えて何度も何度も磨いていくと、組み合わせた銀の線も平らになり一体感が出て、輝きが増してきました!
キーホルダー用の金具をつけてできあがり!わたしは自分の名前と、コーヒーが大好きなのでコーヒーカップの刻印を入れました。まわりには星や音符の刻印も。

Oの文字がちょっとズレたけど、これはこれで味があっていいですね。叩いて磨いてと手間ひまかけて作ったので、とても愛着が湧いて大満足の仕上がりになりました!
キーホルダーの他にも、金具や板の形状が色々あり、ストラップやネームチャームなど、色々な作品づくりができます。

ちょっと不器用なわたしですが、丁寧に指導してくれ、少し時間のかかる作業はお手伝いもしてくれるので、楽しく体験できましたよ。
それにしても、シンプルな細工でこれだけ手間がかかるのだから、複雑な模様がほどこされた加賀象嵌の作品には、いったいどれだけの技術と時間が必要なのでしょう。

伝統の技が詰まっていることが実感でき、ますます加賀象嵌の作品が魅力的に感じられました。タイミングによってはこうした作品の制作風景を見学することもできます。
今回のメニューは、所要時間が1時間30分ほどで、10歳以上が体験可能ですが、もう少し短時間で小さいお子さんでも体験できる「刻印で作るネームチャーム作り」(1,700円)もありますよ。
友達同士やカップルで記念につくったり、旅のお土産にも。

金沢の伝統工芸の魅力も感じながら、世界に1つのオリジナルチャームづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか?

金属彫刻所 morinoko(もりのこ)

【住所】石川県金沢市神宮寺1-6-19
【電話番号】076-252-5117
【定休日】不定休
【駐車場】2台
【体験料金】刻印で作るネームチャーム作り 1,700円(4歳~)、加賀象嵌とオリジナル刻印で作るネームチャームづくり 3,500円(10歳~)
【体験時間】10:30~、13:30~、16:00~、18:30~
【実施期間】通年 
 ››じゃらん遊び・体験予約はこちら››金属彫刻所 morinoko公式サイト

茶道具に文化と歴史を感じる『中村記念美術館』は、穴場な癒やしスポット

体験を通して、もっと金沢の伝統工芸のことを知りたくなり立ち寄ったのは『金沢市立中村記念美術館』。

ここは、実業家で茶人の中村栄俊氏(1908~1978)が、収集した自らのコレクションを寄贈したことできっかけで開館した、茶道と伝統工芸に親しむ美術館です。
中村氏収集の茶道具などの名品をはじめ、近世絵画・古九谷・加賀蒔絵など、約1200点以上を所蔵。

重要文化財や県指定文化財など、貴重なものも含まれ、年4~6回の企画展で公開されています。
訪問時に開催されていた企画展は「小堀遠州と金沢」。

江戸初期の大名茶人で茶道の本流を受け継ぎ、徳川将軍家の茶道指南役にもなった小堀遠州と、加賀藩との交流がうかがえる茶道具などが展示されていました。
中でも見応えがあったのは、平成14年に重要無形文化財「銅鑼」の保持者に認定された三代魚住為楽の作品「砂張鉦」(昭和61年作)。

茶席の準備ができたことを知らせるために鳴らされ、銅と錫の合金の砂張(さはり)という独特の素材で作られており、叩くと余韻を残すえもいわれぬ音色が響くのだそう。

重厚感と深みのある輝きで、どんな音なのかなと想像しながらゆっくり鑑賞しました。
この他にも、金工芸の所蔵品には茶道具や熨斗押など、ここでしか見られない作品が多くあります。

※上記2点の写真は中村記念美術館より提供。(上:十二代 宮﨑寒雉「牡丹唐草文象嵌唐銅皆具」昭和24年作、下:初代 山川孝次「小槌熨斗押」明治時代作)。

伝統的な作品から現代作家のものまで幅広い所蔵品で、企画展ごとにさまざまな作品が登場するので、季節ごとに訪れる楽しみがある美術館です。
名品を鑑賞した後はちょっと一息。『中村記念美術館』には喫茶室があり、気軽にお抹茶と和菓子を味わうことができるんです。

お抹茶は『野田屋茶店』、和菓子は『諸江屋』のものと金沢の老舗店のものがセレクトされ、月に数回『吉はし』の上生菓子が登場する日もあります。
大きな窓の外に広がる本多の森の緑あふれる景色を楽しみながら、ゆっくりとした時間を過ごすことができました。

大通りから一歩入っただけなのに、すごく静かで落ち着く雰囲気。喫茶室だけの利用も可能なので、ここはちょっと穴場な和カフェスポットかもしれません!

金沢市立中村記念美術館

【住所】石川県金沢市本多町3-2-29
【電話番号】076-221-0751
【定休日】月曜(祝日の場合は翌平日) ※館内工事のため臨時休館 12月19日(月)~3月17日(金)※予定
【駐車場】20台
【観覧料金】一般 310円、65歳以上 210円、団体(20名以上)260円、小中学生・高校生 無料/茶菓券 350円
 »金沢市立中村記念美術館 公式サイト

『箔座』で金の輝きに魅せられて。黄金の茶室は一見の価値あり!

金沢の金工芸と言えば、忘れてはならないのが金箔を使用した工芸品!

2020年にユネスコ無形文化遺産に登録された「縁付金箔(えんつけきんぱく)」をつくり続け、その技を伝承している『箔座』の本店では、金箔の製造工程や職人の作業風景を見学することができます。
大きな見どころの1つが、約4万枚の縁付金箔を使い仕上げられた「黄金の茶室」。

壁や天井はもちろん、茶道具や細かな部分まですべて金箔が張られ、その輝きに圧倒されます。

つくられたのは約30年前ですが、これまで一度も金箔の張り替えはされていないと聞き、さらにびっくり!伝統の技によってつくられた金箔の美しさが見事に保たれているんですね。これは一見の価値ありです!
「箔移し」の作業を見せてもらうこともできます。

吐く息でふわっと飛んでしまうので、慎重に行わなくてはいけない繊細な作業。こんなに間近で見たのは初めてで、本当に薄く薄~くのばされているのがよくわかりました。
上品な輝きのアクセサリーも魅力的です。金箔といえば伝統的なイメージながら、オシャレなデザインのものが多くて、ついつい身につけてみたくなってしまうものばかり。
ふわふわとふりかけるだけで食卓が華やかになる食用の金箔は、人気No.1!

プレゼントにも喜ばれるアイテムが揃っているので、お土産を購入するスポットとしてもおすすめです。

箔座本店

【住所】石川県金沢市森山1-30-4
【電話番号】076-251-8941
【営業時間】10:00~17:00(※変更の場合あり。HPまたは店舗でご確認ください。)
【定休日】火曜(※変更の場合あり。HPまたは店舗でご確認ください。)
【駐車場】6台
 »箔座 公式サイト