能登に泊まって応援|今だからこそ訪れたい民宿5選
「能登」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
豊かな自然が織りなす美しい「里山里海」の風景、お祭りなどの伝統行事、発酵食をはじめとした独特の食文化、そして、素朴で温かい人々の暮らし。
観光地化されすぎていない、ありのままの日本の原風景が、ここ能登にはあります。
そんな能登は、令和6年能登半島地震により甚大な被害を受けました。
それでも、人々の暮らしは少しずつ前に進んでいます。この地域を訪れることは、単なる観光ではありません。そこには、美味しい食べ物や美しい景色だけでなく、人との温かなふれあい、そして、ありのままの能登の暮らしを感じる旅があります。
この記事では、震災を乗り越え、旅人をあたたかく迎えてくれる能登の民宿をご紹介します。「泊まることが、能登を応援することにつながる」そんな、心温まる旅のきっかけになれば幸いです。
震災からの復旧と現状
今回、5軒の民宿を取材し、震災後のお話をいろいろと伺いました。
被害状況はそれぞれ異なりますが、皆さん共通していたのは、震災後すぐに復旧に関わる方々を受け入れ、宿を“能登復興の拠点”として再開していたことです。
中には、震災から1週間も経たないうちに営業を再開された方もいらっしゃいました。そして、今年に入り少しずつ観光のお客様の受け入れも始まり、宿泊者の数も徐々に増えているとのこと。それでも、まだまだ観光客の数は十分とは言えないのが現状です。
「能登って今、どういう状況なの?」
「宿って観光客向けに営業しているの?」
「まだ観光で行かない方がいいのかな?」
そんな風に、今の能登がどうなっているのか分からず、旅行を迷っている方も多いのではないでしょうか。
ですが、現地の宿の方々をはじめ、地域の皆さんは口をそろえて、「ぜひ、能登に遊びに来てください!」とおっしゃっています。
どうか、迷わず自信を持って、能登に足を運んでみてください。そして訪れた際には、ぜひ民宿に泊まり、ご主人や女将さんとの会話を楽しみながら、能登の暮らしにふれてみてください。きっと、心が温まる、能登ならではの民宿体験になるはずです。
今回ご紹介する民宿の位置情報はこちら
- お宿 たなか
- 民宿 おかざき荘
- 能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと
- 春蘭の里
- 灯りの宿 まつだ荘
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お宿 たなか(輪島市)
漆のお宿 たなかさんは、能登半島の先端・輪島の街なかにひっそりと佇む、大人の隠れ宿です。
土蔵をイメージした趣のある外観が目を引き、一歩足を踏み入れると、心がほっと落ち着くような上質な空間が広がっています。「のと輪島」をコンセプトに、里山里海の豊かさを感じられる空間づくりがなされており、館内には輪島塗や地元の素材を活かしたデザインが随所に散りばめられています。
訪れた瞬間から、能登の空気に包まれるような心地よさが広がる、そんなお宿です。
夕食・朝食ともに、輪島を中心とした能登の海と山の幸をふんだんに使用。その季節にしか味わえない旬の食材を厳選し、郷土料理に創作のエッセンスを加えた、やさしい味わいの料理が並びます。
夕食では、運が良ければその日に水揚げされたクジラなど、貴重な食材に出会えることも。地元で採れた野菜は味が濃く、魚介も驚くほど新鮮で、素材本来の美味しさを存分に楽しめます。
さらに、料理を引き立てるのが、美しく艶やかな輪島塗の器。目にも嬉しい盛り付けに、思わず写真を撮りたくなるようなひと皿が揃います。
また、質の良い温泉が引かれており、貸切風呂でゆっくりと旅の疲れを癒すことができます。全館禁煙の落ち着いた空間で、ゆったりとした時間を過ごしたい方にぴったりの、心地よいお宿です。
基本情報
お宿 たなか
住所:〒928-0001 石川県輪島市河井町22-38
電話番号: 0768-22-5155
予約受付時間: 8:00〜22:00
アクセス(車):金沢市から能越自動車道・のと里山海道を経由し、約2時間
アクセス(公共): JR金沢駅から北陸鉄道特急バス⇨輪島駅⇨徒歩またはタクシー
備考:全館禁煙、温泉あり(貸切風呂)、輪島塗のギャラリースペースあり
民宿 おかざき荘(志賀町)
民宿 おかざき荘は、能登半島国定公園に指定されている三明(さんみょう)海岸に面した、三代続くアットホームな雰囲気が魅力の民宿です。
宿の自慢は、日本海の新鮮な魚介をふんだんに使った磯料理。釣りのお客様をはじめ、特に夏場は海水浴のお客様で賑わいます。
また、茶道・書道・百人一首といった日本文化体験も企画しており、インバウンド(訪日外国人旅行者)にも喜ばれるような体験型コンテンツの開発にも力を入れています。
開業から55周年を迎え、現在は100年企業を目指して、地域のPRや交流にも積極的に取り組んでいます。
趣のある建物で、どこか懐かしい雰囲気が漂っています。客室は清潔感があり、落ち着いた雰囲気が魅力です。海が見える部屋もあり、心からリラックスできる空間が広がっています。
夕食では、近隣の漁港や豊かな漁場から仕入れた新鮮な魚介を使った料理が提供されます。宴会場でいただく料理は、器や盛り付けにもこだわりが光り、目でも楽しめる美しさ。地元ならではの旬の食材を活かした、ここでしか味わえない一皿を堪能できます。
- 2代目 女将
- 「気をつけて能登に来てください」
震災以来、観光客の方々が来てくれた時の喜びは格別でした。観光の方々とのコミュニケーションは、私たちに元気を与えてくれるんです。「また来るよ。元気出たよ、ありがとう。」そんな言葉をいただくたびに、この仕事をしていてよかったと心から思います。 
基本情報
民宿おかざき荘
所在地:〒925-0161 石川県羽咋郡志賀町赤住8-7
電話番号:0767-32-0834
FAX番号:0767-32-3690
アクセス(車):のと里山海道西山ICより15分
駐車場:12台
備考:部屋数15室
能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと(能登町)
能登生まれ・能登育ちの女将さんと、オーストラリア出身のご主人が営む、1日4組限定の小さな宿です。スタイルは「民宿」ですが、何よりもオーナーの顔が見える距離感と、お客様とのふれあいを大切にしていることが魅力です。お二人は、能登の“コンシェルジュ”として、宿での会話やふれあいを通じて、この地の魅力を丁寧に伝えています。
建物全体からは、歴史の趣と温かみが感じられ、客室も清潔感があり、ゆったりとくつろげる空間となっています。海辺に位置しており、部屋によっては窓から美しい海の景色を望むこともできます。
祖父母の代から続く歴史ある宿で、単なる流行ではなく、代々受け継がれてきた郷土料理や発酵食の文化を大切にしています。能登の伝統的な発酵食や地元の新鮮な魚介、自家菜園で育てた野菜を組み合わせ、“能登×イタリアン”という独自のスタイルの料理を提供しています。
また、能登半島地震で被災後、宿泊業再開までの休業期間中に「一般社団法人能登地震地域復興サポート(のとサポ)」を立ち上げ、物資配布、炊き出し支援、輪島塗の保存、能登の保存食や発酵食の継承活動、復興マルシェ、能登瓦のマッチングなどを通して、 能登の食や伝統を未来へつなぐ活動も行っています。
- 女将さん
- 「私たちが立ち上がる姿を見にきて!」
人と人が触れ合う時に新しいエネルギーが発生すると思っていて、それがなんか復興に繋がっていくのかなと思うんですよ。だから、ぜひ今能登で頑張っている人達に会いに来てください。 
基本情報
能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと
所在地:〒927-0443 石川県鳳珠郡能登町矢波27-26-3
電話番号:0768-62-1900
営業時間/期間:チェックイン15:00~ チェックアウト10:00
営業日:木〜日曜日(2025年9月現在)
アクセス(車):のと里山空港ICより40分
備考:1日4組限定
春蘭の里(能登町)
「春蘭の里」は、奥能登に点在する農家民宿の総称です。地域の食材を使った素朴な郷土料理と、宿のオーナーとの語らいを楽しむ心温まる交流のひとときが魅力です。
ただ泊まるだけでなく、地域の暮らしや人々とのふれあいを体験したい方、さらには移住のきっかけを探している方にもおすすめの滞在スタイルです。
農家民宿の集まりであるため、外観や内装は宿によってさまざまですが、いずれも古き良き日本の農家らしい趣が感じられます。伝統的な造りを活かしながらも、清潔感があり、温かなおもてなしに包まれる空間が広がっています。
各宿では、それぞれが工夫を凝らした地域の味を感じられる郷土料理が提供されています。決まったメニューはありませんが、旬の食材や地元の名物をふんだんに使った料理を楽しむことができます。
夕食は、宿のオーナーと囲炉裏を囲みながら語らいを交わすスタイルが多く、食事を通して生まれる温かな交流も、この宿ならではの魅力です。
- 代表 多田さん
- 「生の声を聞きに来てください」
地震は「人々の心」に大きな傷を負わせました。ただ、あなたの訪問が前を向く活力となり、能登の人々の希望となり、復興を加速させる力になります。ぜひ、能登に足を運び、この地でしか得られない「人との繋がり」を体験をしてください。 
基本情報
春蘭の里
所在地:〒927-0322 石川県鳳珠郡能登町宮地16-9
電話番号: 0768-76-0021
アクセス(車):のと里山海道「のと里山空港IC」から車で約20分。北陸自動車道「金沢森本IC」から約90分。
駐車場:各民宿に1〜5台分の駐車スペースがあります。
「寄り道パーキング 春蘭の里」には、普通車8台分の駐車場があり、大型観光バスにも対応しています。
備考:各民宿「1日1組限定」
灯りの宿 まつだ荘(珠洲市)
まつだ荘は、ご夫婦で営む、海沿いに佇むアットホームなお宿です。能登半島の先端に位置し、奥能登観光の拠点としても便利な立地。また、ペットと一緒に宿泊できるお部屋も用意されており、愛犬との旅を楽しみたい方にもおすすめです。
「手作り」をコンセプトにしたアットホームなお宿で、椅子や玄関、家具など、細部に至るまで松田さんの手仕事が随所に光ります。訪れた人は、温かみのある空間と手作りのぬくもりに包まれながら、きっと居心地の良さを感じられるはずです。
建物全体に手作りの温かみが感じられ、どこか懐かしい雰囲気を醸し出しています。客室は、畳と木のぬくもりを活かした落ち着きのある和室で、清潔感もしっかりと保たれています。全10室のうち、1室のみ海を望める客室があり、特別感のある滞在が楽しめます。
- 松田さん
- 「震災前よりもっと良い町にしたい」
今はまだ見どころが少ないかもしれないが、ぜひ能登に来て、この地の現状と復興への取り組みを見てほしいと思っています。 
基本情報
灯りの宿 まつだ荘
所在地:〒927-1214 石川県珠洲市飯田町26-42-1
電話番号:0768-82-1117
アクセス(車):金沢・森本ICからのと里山海道白尾ICを経由し、のと里山海道〜すず道路で約2時間。
駐車場:15台(無料、先着順)
備考:ペットと一緒に泊まれる部屋も用意されています。
素泊まりのみ(2025年9月現在)
最後に
震災から約1年9ヶ月。約1年ぶりに能登を訪れましたが、町並みは少しずつ整い、着実に綺麗になっている印象を受けました。
現地の方々は、皆さん口をそろえてこうおっしゃいます。
「今の能登を見に来てください!」
復興が進み、時間の経過とともに、震災の爪痕は少しずつ姿を消していきます。でも、それは同時に、今しか見られない景色が失われていくということでもあります。
ぜひ今のうちに能登を訪れ、テレビやネットでは伝わらない「今の能登」を肌で感じていただきたいと心から思います。
また、「今行ける能登」という特設ページでは、能登地域で現在訪問可能な施設やイベント情報を随時更新中です。
皆様に能登の観光地にお越しいただくことが、被災地の早期復興につながります。ぜひチェックしてみてください。
震災や水害の爪痕は時間と共に消えてしまいますが、それは能登が困難を乗り越えた証でもあります。この特別な時期に訪れることが、能登の復興を支援する「泊まって応援」につながり、災害への備えを考えるきっかけにもなります。