日本遺産に認定された石川県小松市の「石の文化」を巡る旅

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ほっと石川旅ねっと体験ライターの谷口です。

今回は文化庁の「日本遺産(Japan Heritage)」にも認定されている、小松市が誇る「石の文化」を様々な角度から体験してきました!

日本遺産に認定された石川県小松市の「石の文化」を巡る旅

岩山、緑に包まれ自然と一つになった『那谷寺』

まずはじめに訪れたのは、1300年以上も前に開かれたという『那谷寺(なたでら)』です。
那谷寺は北陸屈指の紅葉のベストスポットでもあります。

私達が取材に訪れた日は、まさに紅葉が盛の時期で、紅葉狩りを心待ちにしたお客さんが拝観時間の前から長蛇の列を成していました。
参道へ入ってすぐ左手、館の朱色が美しい金堂華王殿(こんどうけおうでん)へ向かいます。
堂内には高さ約8mにも及ぶ十一面千手観世音菩薩(じゅういちめんせんじゅかんぜおんぼさつ)が鎮座しており、奥に特別拝観エリアが広がっています。
お守りや御朱印もこちらで購入できます。
特別拝観エリアは、「書院」「庫裏(くり)庭園」「琉美園(りゅうびえん)」の主に3エリアから構成されます。

「書院」は国指定重要文化財となっており、なんだか時間が止まったような静謐な空間となっています。
書院から見える「庫裏庭園」は名勝指定園となっており、なんと石川県で最も古い庭園なのだそう。
書院の縁側に座って、苔むした緑が美しい、古式ゆかしいお庭をじっくりと眺める、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
書院奥に広がる「琉美園」の中程には、池の上にそそり立つ岩面が3つに分かれており「三尊石」と呼ばれています。
阿弥陀三尊のご来迎から名付けられたというありがたい由来を持ち、神々しい姿で私達来園者を出迎えてくれます。
特別拝観エリアから緑豊かな参道を抜けると、目の前に巨大な岩山が現れます。
この岩山は「奇岩遊仙境(きがんゆうぜんきょう)」と呼ばれ、かの松尾芭蕉も「おくのほそ道」で、この奇岩の光景を「殊勝の土地也」と表現、俳句も残しています。
入り組んだ岩肌は、風や波にさらされ、永い時間をかけて現在の奇岩が形成されたそうです。
いたるところに洞があいており、中に石仏が並んでいる光景は、自然と人の力が一体化した、まさに那谷寺の自然智を象徴する光景です。

私にはこの岩山がお顔のように見えるのですが、いかがでしょうか?

那谷寺名物「胎内くぐり」で新しい自分に

奇岩遊仙境から紅葉が眩しい参道を抜けて、階段を登ると那谷寺の本殿が見えてきます。
大悲閣拝殿・唐門・本殿と3つの重要指定文化財を総称して「本殿」と呼んでおり、ここから見渡す景色も素晴らしいもの。
奥には「いわや胎内くぐり」があり、真っ暗な石道を抜けると魂が清く生まれ変わるとされています。
三重の塔、楓月橋(ふうげつきょう)を渡って展望台へ。
ここからは奇岩遊仙境が一望でき、燃えるような紅葉と奇岩が織りなすダイナミックな景観美を堪能できます。
自然と一体化した那谷寺だからこそ見れる、唯一無二の光景です。
紅葉に覆われた階段を降りると、奇岩遊仙境の前の庭園に戻ってきます。
ここにはハート型の植え込みがあり、紅葉の季節には真っ赤なハートになります!
私もSNSでこの植え込みの写真を見かけ、どこにあるんだろう?と境内を探し回っていたのですが、最後の最後に見つけることができました。
さりげない場所にあり、ほとんどの方がスルーされていたので、ぜひ探してみてください!

今回は秋の紅葉真っ盛りの那谷寺をご紹介させていただきましたが、春は桜、夏は青紅葉、冬は雪景色と、四季を通じて美しい場所です。

私も久しぶりに訪れましたが、今度はまた改めて、ゆっくりと訪れたい場所だと思いました。

 

基本情報

那谷寺

【住所】石川県小松市那谷町ユ122


【電話番号】0761-65-2111


【開館時間】9:15~16:00


【定休日】なし


【駐車場】約350台


【拝観料】
 大人(中学生以上)600円、(30名以上)550円、(100名以上)500円
 小学生 300円、(30名以上)250円、(100名以上)200円
 幼児 無料
 障害者手帳提示 300円


※特別拝観時は通常の拝観料+200円(幼児・小学生無料)

「石」と共に歩む、滝ヶ原でスローツーリズムを体験

那谷寺を後にし、山の方へ車を走らせると、滝ヶ原という地区にたどり着きます。
遠くに鞍掛山を望む、風光明媚な里山です。
道路から、山の中腹に大きくぽっかりと穴が開いた不思議な光景が見えます。
小松市の滝ヶ原地区は、古くは江戸時代から石の切り出しが始まり、丸岡城の石瓦や近年は牽牛子塚(けんごしづか)古墳など、様々な建造物に石材を提供してきた土地です。
地区内に点在する石切場やアーチ型の石橋は日本遺産の構成文化財にもなっています。

今回は「里山自然学校こまつ滝ヶ原」の学校長である、山下豊さんにガイドをお願いし、滝ヶ原の石文化を学ぶツアーに参加してきました。

まずは滝ヶ原観光の拠点である、廃校となった小学校をリノベーションした交流施設、「里山自然学校こまつ滝ヶ原」からスタートです。

滝ヶ原の石文化の歴史や、点在する見どころのお話を伺い、山下さんのガイドのもと、2カ所の石切場とアーチ型の石橋を巡ります。

里山自然学校こまつ滝ヶ原から徒歩で、まずは先程道路から見えた西山石切場に向かいます。
この西山石切場は昭和の中頃まで稼働しており、滝ヶ原では3番目に歴史が古い石切場となっており、現在は稼働していません。

石切場は近くで見ると、穴がとっても大きく、なぜ山が崩れないのか不思議に思いました。
山下さん曰く、やはり過去には何度か崩れたことがあるそうで、穴の上部が真っ直ぐ一本線ではなく湾曲しているのは崩れたときの名残りだとのお話でした。

未だ現役で掘り続けられる、圧巻の石切場

一旦駐車場に戻り、ガイドさんの車を追って別の石切場に向かいます。
到着した本山石切場は、江戸時代から職人さんが代々引き継ぎ、なんと今も現役!
こちらで採掘される緑色凝石灰岩は色が青白く、水に強い特徴を持つため長年重宝され、小松の石文化・産業の礎のひとつとなっています。

実際に中に入らせていただくと、その大きさに圧倒されました。
50年〜60年ほど前までは手掘りでこつこつと採掘されてきたそうですが、人力でこの大きさを掘り進めるなんて気の遠くなるような作業です。
電気をつけてもらうと、採掘坑がずーーーっと奥まで続いていました。
現在300mほど真っ直ぐに伸びており、まだまだこれからも掘り続けられるのだそう。

ひんやりとした空間はまるで地下都市の入り口のようで、遺跡探検のようなワクワク感があります。
壁には地層や木の化石も見られ、長い長い時間をかけて堆積した山や、採掘の歴史のロマンを感じます。
 

本山石切場の、白みがかったシックでエレガントな石は、最近ではなんと東京・品川の『ブルーボトルコーヒー』の店舗にも採用されているのだとか!


この美しい石を使って、表札を作る体験プログラムもあるそうです。

石は冷たい印象を与えがちに思われますが、この「滝ヶ原石」はどこかあたたかみを感じさせてくれます。

 

最後に丸竹橋を案内してもらいました。

「丸竹」とはこの橋を寄贈いただいた、坂本竹次郎さん(丸竹さん)のお名前に由来します。

滝ヶ原にはこのようなアーチ型の石橋が5つ現存し、これだけ石橋が残っている地区は日本全国でも珍しいのだとか。

この土地にとって、「石」が生活に根ざしたものであることが伺えます。


現在滝ヶ原では、様々なバックグラウンドの人が集まり、スローツーリズムを掲げ、自然との共存をテーマとした体験ができる取り組みを推進しているそうです。

月に2回ほど、「里山食堂」という自然の恵みを生かしたごはんが食べられるイベントも実施されています。

海外から足を運ぶ方も多いそうで、私も県内にこんなところがあるのかと、改めて石川県の歴史、文化の奥深さを特別感じた場所となりました。

基本情報

滝ヶ原石切場(里山自然学校こまつ滝ヶ原)

【住所】石川県小松市滝ヶ原町ウ20

【電話番号】0761-65-2436

【定休日】なし

【駐車場】約50台

【ガイド料】

 ▼石切場・石橋見学コース(西山橋、本山石切場、丸竹橋など) 500円/人

 ▼石橋見学コース(西山橋、西山石切場) 300円/人

 【営業時間】9:00~23:00

複合型九谷焼創作工房「セラボクタニ」でオリジナル九谷を手に入れよう

那谷寺、滝ヶ原エリアからだいぶ小松の市街地に戻ってきました。

最後に向かうのは2019年に新しくオープンした『九谷セラミック・ラボラトリー(通称:CERABO KUTANI(セラボクタニ))』です。

九谷焼の体験工房とギャラリー、また製土工場を併設した、九谷焼をまるっと体験できる複合施設です。

到着してまず目をひくのは、この特徴的な施設の外観。
この建築は、日本を代表する建築家・隈研吾さんの設計となっており、建造物としても話題を集めている施設なのです。
セラボクタニでは、九谷焼を使った様々な体験ができます。
30人規模の広々とした体験スペースで、絵付け体験・ろくろ体験・手びねり体験が用意されています。
私たちは今回、絵付け体験と、ろくろ体験に行ってきました!

絵付け体験をする姪っ子が選んだのは、猫の形の置物。
※置物以外にも、お皿の絵付けなどもできます。
粉状の和絵の具に水を混ぜて、筆で色をのせていきます。
九谷焼といえば、「九谷五彩」と呼ばれる赤・黃・紺青・青(緑)・紫の5色から成る色鮮やかな色彩が特徴ですよね。
色付の難しいところは、絵具の色と、焼き上がりの色が全く異なるところ!
灰色の絵具が、焼き上がると九谷特有の奥深い緑色となることに驚きました。

焼き上がりの色味の例を見ながら、自分のイメージに近くなるよう試行錯誤します。
姪っ子が絵付けに専念している間、私はろくろ体験に挑戦しました。
工房の先生がまずは一通り、手順を見せてくれます。
ちょっとした手の調節で、土の塊がみるみるうちに形を変えていくのを見るだけでもとっても面白かったです。

私も最初はおそるおそるでしたが、土の手触りが心地よく、自分の手の中でくるくると形をあっという間に変える土に翻弄されながらも、見よう見まねで土に向き合いました。
器の形が自分の想定とあらぬ方向にいってしまっても、修正できることが分かると、途中から面白くなってきて大胆に手を動かせるようになりました。

先生の手助けもあり、数分で自分でもびっくりするぐらいスムーズに器が出来上がりました!
ろくろはもっと難しいものと思っていましたが、思っていた以上に簡単で出来てしまい驚きです。
これならもっと複雑な形のものもできるかも?と欲が出てしまいます。
陶芸にはまる人の気持ちがわかったような気がしました。
姪っ子が絵付けした猫と、私が作った器が完成しました!
ここからは先生にバトンタッチし、数週間かけて乾燥させた後、焼成(しょうせい)に入ります。
絵付けは完成までに約30日、ろくろは約60日かかるとのことだったので、私の作った器は年明けに受け取れる予定です。
ご自宅まで発送も可能なので、遠方からお越しの方も安心して体験ができます。
完成した器のイメージはこちらです。
真っ白な陶器が美しく、絵のついていない九谷焼もまた素敵です。
ろくろで作った器(写真右)がシュッとしている一方、手びねり(写真左)も土ならではの温かみが感じられる、なんだか味わい深い造形になります。
お好みでどちらがよいか選んでいただければと思います。

九谷焼の製造工程見学

施設の左半分は体験工房、右半分は九谷焼の製造工程について学べる展示と、実際に九谷焼に使われる花坂陶石を土に精製する工場が見学できます。
(※ギャラリーの展示内容は時期により異なる)

体験の後は、さっきまで触れていた土がどのようにして作られているのかという目線で見ると、新たな発見があることでしょう。

その他施設内には、作家さんが作成した九谷焼の展示販売もあります。

カラフルで華やか、見ているだけでも楽しい九谷焼は、ついいくつも集めたくなってしまいます。

自分で作った器ももちろん素敵ですが、体験の時間がとれない方や、また自分の作品が届くまで待ちきれない方も、ぜひお気に入りの逸品を探してみてください。

基本情報

九谷セラミック・ラボラトリー(CERABO KUTANI)

【住所】石川県小松市若杉町ア91

【電話番号】0761-48-4235

【定休日】水曜(12〜3月は火曜・水曜)、年末年始

 ※祝日の場合は開館し、翌平日に休館

【駐車場】約55台

【体験料金】

・絵付け体験/3,190円+素地代(小サイズ330円~)+送料(発送の場合)

・ろくろ体験/3,850円~+送料(発送の場合)

【体験可能時間】10:30~15:30

【体験可能年齢】6歳以上


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