おもてなし女性座談会

加賀・能登・金沢・白山のそれぞれの地域で、おもてなし活動を行っておられる4名の女性にお集まりいただき、座談会を行いました。それぞれの取り組みや、印象に残る想い出、そして北陸新幹線開業に向けての想いなどをお話しいただきました。

  • 【座談会出席者(左より)】
    • レディー・カガ/市川 勝美 様
    • 七尾一本杉通り商店街/関川 由美子 様
    • 金沢もてなし隊/西澤 恵美子 様
    • 白山市おもてなし推進の会/松浦 悦子 様

  • レディー・カガ
    市川 勝美 様

  • 七尾一本杉通り商店街
    関川 由美子 様

  • 金沢もてなし隊
    西澤 恵美子 様

  • 白山市おもてなし推進の会
    松浦 悦子 様

私の考える おもてなしの心

司会:本日はみなさん大変お忙しい中、遠方よりお越しいただき、本当にありがとうございます。早速ですが、みなさんが普段から実践しておられるおもてなしについて、お聞かせいただければと思います。

市川:私のおもてなしは、出来るだけお客様のお名前やお顔を覚えて接することです。覚えてもらっていることがわかれば、お客様もうれしい気持ちになっていただけると思います。

関川:優しさが相手に伝わるように心がけています。目に見えないちょっとした気配り・目配りですね。どうしたらお客様と気持ちいい会話ができるかな、ということをいつも考えます。

松浦:私は、生きた言葉かけをしています。「こんにちは」「いらっしゃいませ」などの挨拶の声のトーンですね。なるべく明るく、そして笑顔です。それから、「ようこそ」という心からのお辞儀です。単なる言葉だけでなく、そこに気持ちを込めることが大切だと思います。いつも活き活きと、言葉に抑揚をつけたイントネーションを特に心がけています。

西澤:私たちは金沢駅にイベント広場地下ドームができたときに、地下道を通られる方に金沢のおいしいお茶を召し上がっていただこうと考えました。県内のメーカーさんからお茶を寄付していただき、観光に来られた方に振舞ったところ、とても喜んでいただきました。
小さいお子様もよくいらっしゃいますので、この子たちを喜ばせてあげたいと思い、折り紙を一緒に折ったりしました。こういった取り組みは、観光客の方とお話できるきっかけになりますし、とても楽しいですね。外国の方にも好評です。言葉はあまり通じなくても、男の方でも折り紙に大変興味を持ってくださって、折り方を覚えて帰られる方もいるんですよ。

関川:折り紙っていいですよね。私は喫茶店をしているのですが、お客様にお出しするお箸の袋を、和紙を使って自分で作っています。どうやって作るんですか?と聞かれたり、大事そうに持って帰られる方もいらっしゃいます。

松浦:こういった紙一枚でもできるコミュニケーションは素敵ですね。手作りとか、気持ちがこもっているものは、ささいなものであっても喜ばれると思います。


心に残る お客様とのエピソード

司会:みなさんはこれまで長年にわたってお客様と接してこられたと思いますが、そんな中で、特に心に残るエピソードがありましたら、お聞かせください。

西澤:私は、国内だけでなく海外からのお客様も含めて金沢のまちをご案内してきました。あるとき、外国の若い男性が一人旅で来られたことがありました。言葉があまり通じなかったのですが、身振り手振りでなんとかご案内しました。すると、その方がお国に帰られてからワインを送って下さったんです。私たちは本当にうれしくて、メンバーみんなでいただきました。会話が充分にできなくても気持ちは通じるんだなと、こういうことがおもてなしなのかなと思いました。

市川:やはり真心は大事ですよね。たとえ言葉が通じなくても、笑顔だけでも通じるのですね。

松浦:素敵なお話ですね。お客様にも喜んでいただき自分たちも喜べる、というのがいいですね。やはり自分が喜ばないと、相手に良い笑顔を向けられませんものね。

関川:そうですね。やはり笑顔と、そして元気が大事ですね。自分たちが元気でないと、相手からも返ってきませんしね。

市川:私の心に残る出来事のひとつが、接客中に出会われたお客様同士がご結婚されたことです。道路が凍るような冬に、店の従業員が転んでケガをしたのですが、その時そばにいた男性が救急車の手配など、手際よく対応をしてくださったんです。それを偶然見ていた女性の方が感動して、お付き合いが始まり、結婚することになったそうです。

松浦:人のご縁って素晴らしいですね。

関川:私の心に残るエピソードは、商店街の「花嫁のれん展」に、京都の方がいらっしゃった時のことです。着物を着ておられたご夫婦で、のれん展の雰囲気にピッタリだったので、店内に飾った花嫁のれんの前で記念写真を撮ってさしあげました。それから数カ月した後、その方からお電話があったんです。お話を伺うと、そのご夫婦は結婚式を挙げてらっしゃらなかったようで、のれんの前で撮った写真を、私たちの結婚写真ですと言って、飾ってくださっているとの事でした。
私たちもとてもうれしくて、それからまた交流が深まりまして、何度も七尾に来ていただきました。その場限りのふれあいではなく、何度も足を運んでいただくような関係が築けるといいですね。


北陸新幹線の開業に向けて

司会:北陸新幹線の開業がもう間近に迫ってきました。首都圏を中心に、たくさんの観光客がいらっしゃると思うのですが、新幹線開業に際して、何か個人的に思っておられることや、目標があればお聞かせください。

市川:私は寿司店をやっております。温泉街が近いので、温泉旅行に来て当店を選んでくださる方が多いのですが、おもてなしの力を磨くことで当店に来ることを目的に温泉街に泊まる、といったお客様を増やしていければいいなと考えています。個々人が輝くことは、そのまま地域への貢献にもつながると思いますので、もっと色濃くしていきたいと考えています。

関川:はじめて七尾に来られる方も、これから増えると思います。金沢に泊まられた方が能登や七尾にも来ていただけるといいですね。私たちは、おせっかいなほど接客をします。やはり印象に残るのは、人の魅力だと思います。そのまちに来る、というよりは、そこにいる人に会いに来るというお客様が増えるといいなと思います。

松浦:お話を聞いていて、地域ごとにそれぞれおもてなしのかたちは違うのだろうなと思います。加賀、能登、金沢そして私たちの白山。それぞれの地域に合ったおもてなしが実践できればいいですね。

関川:同感です。違った方がいいですよね。その方が楽しいですし、地域性も出ますから。それが地域ごとの魅力となっていけばいいです。

司会:おもてなし体験談の投稿の中には、その地域の方言を使って接客してくれたことが何よりうれしかったという意見もありました。

関川:私たちは接客するときも七尾弁丸出しですよ。(笑)

西澤:私も金沢弁を使います。みまっしとか、よく使いますよ。やはりお国ことばには、温かみや親しみやすさが宿るんだと思います。

関川:方言で、元気よく接客ですね。(笑)


自分にできる小さなことから始めよう

司会:では、一般の人がおもてなしをしようとしたら、何から始めたらいいのでしょうか。これから何かを始めようとする人たちに、アドバイスをいただけませんか。

松浦:まず、相手に興味を持つことからだと思います。相手に興味を持って、何をすれば気持ちが伝わるかを考えることが最初の一歩ではないでしょうか。

関川:たとえば、私たちはお客様が帰られるときには必ず手を振ります。バスをお見送りをするときなど、笑顔で手を振ることを心がけています。
そうすると、振り返してくれるんですよ。うれしいですね。こういったボディランゲージは、一般の方でもすぐに出来ることだと思います。

市川:軽い会釈をした時に、相手の方がニコッと笑って返してくださるのもとてもうれしいです。そういったちょっとしたことで、心が動かされることってありますよね。

西澤:私も旅行が好きでよく行くのですが、さりげない心遣いに触れた時にはとても心が温まります。道が分からなかったときに、「どこを探しているんですか?」と聞いてくださった方がいて、その時はなんともうれしかったです。またその土地に行きたいと思いました。

松浦:そういった先回りの気遣いってうれしいですね。その土地の印象がずいぶん変わります。

関川:飾らずに、自然に相手に何かをして差し上げるということ。自然体のおもてなしですよね。

司会:おもてなしといっても、気負わず、自分にできる小さなことから始めればいいのですね。本日はどうもありがとうございました。

(2013年11月6日 石川県立能楽堂別館 対青軒にて収録)