「ふるさと紀行『のと里山海道』フォトエッセイコンテスト」(2013年10月30日締め切り)の入賞者が決定いたしましたので、発表させていただきます。
厳正なる審査の結果、下記の作品を最優秀作品及び優秀作品と選定いたしました。
期間中はたくさんのご応募をいただき、まことにありがとうございました。

 「あぜの万燈」 石川県 谷内 奈々絵

あぜの万燈

 千枚田のあぜの万燈が見たいと思い立ち、のと里山海道へ。無料化になり、交通量が増えたと聞いたけれど、通勤でもなければ、大事な約束が控えているわけでもなく、焦る気持ちはゼロです。むしろ、気まぐれに寄り道をしたり、遠回りをしたり、自由でわがままなドライブにもってこいの道。
 ここからもう、ゆるりとした能登時間が始まります。
 この日は十四夜。秋澄む空に、真っ白の月が鮮明に浮かび、千枚田の稜線に並ぶオレンジ色の光をより美しく演出してくれます。
 田んぼ道は意外に急な坂道で、歩くたびに呼吸が乱れるわたしは、日頃の運動不足を認めざるを得ません。
 土や刈り終えた稲の匂いを吸い、一定のリズムで打つ日本海の波音に耳を傾け、心はすっかり能登に持っていかれたようです。
 色なき風が頬をかすめ、爽秋の寒さを肌に感じながらも、優しく粧う燈りに包まれ、心地よい時間が過ごせました。

 「久しぶりの家族旅行」 大阪府 廣田 和夫

久しぶりの家族旅行

 私の退職を記念して、二泊三日の家族旅行でした。
 神奈川で働く長男と大阪で働く長女と私たち夫婦。
 子供たちが小さかった頃以来の家族旅行です。大人になって、はじめの内はお互いなんとなく照れくささがありましたが、「のと里山海道」をドライブする頃には打ち解けてきて、楽しいドライブになりました。
 そんなときに、別所岳PAの展望台から見た夕焼けは、全員が声を上げいつまでも見入っていました。
 素敵な思い出をさらに印象付けてくれた風景でした。

 「10歳と11歳」 石川県 河野 寛

10歳と11歳

 大家族での能登への一泊旅行。宿泊地は柳田村のアストロコテージ。里山海道を使うことで、あっという間の到着。楽しみにしていた星空は、空気を読まずにやって来た台風のせいでオジャンになりましたが、うちの長男ことお兄さんの誕生日の前日ということもあり、ささやかな誕生日パーティーを開催。11歳ですよ、お兄さん。おめでとう!
 翌日、台風一過の青空の下、なぜか穴水にあるという大仏を探しに行くことに。さんざん迷った挙句にたどりついた大仏さんは、あぁ、やけに輝いているなぁ。そりゃそうで、なんでも建立が平成15年ですって。光ってるわけだ。
 お兄さんが平成14年生まれの11歳。大仏さんは10歳です。10歳と11歳のこの二人、10歳の見つめる先と、11歳の見つめる先。そこに何があるのか、年寄りの私たちにはわかりません。が、なんだか確固たる信念があるように思われる──あってほしいな、と思う──一瞬でした。

 「ある秋祭り」 石川県 市村 裕輝

ある秋祭り

 8月、2ヶ月ほど珠洲へ行くことになった。金沢に移り住み7年半が過ぎたが、奥能登まで足を伸ばしたのは今回が初めてだった。のと里山海道から国道249号線の道のりは、初めての長距離運転には大変なものがあった。しかし、辿りついた珠洲では、仕事絡みの旅だったが、穏やかな時間を過ごせた気がする。2ヶ月過ごしたこの街の印象は、と聞かれると秋祭りの光景を第一に思い出す。
 ある9月の夜。鈴虫の声とあわせて聞こえた笛や太鼓の音に導かれ散歩していると、橋の向こうから光に照らされた看板が見える。「この時期には町内ごとにキリコが出るんですよ」、師長さんの言葉を思い出した。派手な装飾はないが、重量はあるのであろう、担ぎ手の男衆の掛け声は力強かった。太鼓・笛とともにゆっくり過ぎていくキリコに思わずカメラを連写してしまった。
 街や人は自然環境に影響されるのであろうか、祭りや街の人々からは内浦の穏やかな波が想起された。

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