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私の旅コラム


【著者プロフィル】
元新聞記者。夫と娘の3人家族で、趣味はおいしいものを食べることと、バレエ、それにネイルサロンに通うこと。生まれは石川ではないのですが、よそから来た人の方が興味津々ってことありますよね。そんな私がイチオシする石川の情報をどうぞお楽しみに。

冬のコラムは全7回。今回は、第7回「職人の技が支える「工芸王国」」です。

冬のコラム 第7回「職人の技が支える「工芸王国」」






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加賀藩御細工所以来の伝統誇る


 漆器の一大産地である輪島では、冬場になると仕事場の土蔵でやかんを乗せたストーブが欠かせなかったといいます。ストーブは職人たちが暖をとるためというよりも、漆を乾かすために必要なのです。漆は主成分のウルシオールが漆液に含まれるラッカーゼという酵素と反応して乾き、気温0度以下になるとほとんど乾かなくなります。しかも湿度が高いほど早く乾くという性質があるので水蒸気を供給しないといけないわけです。

 自然の変化の中で、職人が長年培った勘を最大限に生かして制作する、そういう繊細さをきわめた手作り品が輪島塗であり、石川の伝統工芸品です。

輪島塗


 「工芸王国」の名にふさわしく、石川には多くの種類の伝統工芸が受け継がれてきました。よく知られているのは能登では輪島塗、加賀では山中塗や九谷焼。おみやげに差し上げるととっても喜ばれます。友禅五彩を基調とした華やかな加賀友禅も代表格の一つです。

加賀友禅染付け


 経済産業大臣が指定する伝統的工芸品は、石川県に36品目もあります。輪島塗、山中塗、九谷焼、加賀友禅はもちろんですが、ほかに牛首紬、加賀縫、能登上布、金沢和傘、手捺染型彫刻(てなっせんかたちょうこく)、金沢漆器、珠洲焼、大樋焼、茶の湯釜、国内産の100パーセント近いシェアを誇る金沢箔、和紙、桐工芸、檜工芸、加賀象嵌、金沢表具、竹細工、鶴来打刃物、金沢仏壇、七尾仏壇、美川仏壇、七尾和ろうそく、加賀毛針、加賀竿、郷土玩具、琴、三絃、太鼓、銅鑼、加賀獅子頭、加賀提灯、能登花火とずらりと並びます。

ミス加賀友禅


 平成19(2007)年度版の「石川100の指標」によると、日本伝統工芸展の石川県の入選者数は人口100万人あたり215.5人で全国トップ。全国平均が17.2人ですから、そのレベルの高さがわかりますよね。

 重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝も多く輩出しており、蒔絵の大場松魚氏、木工芸の川北良造氏、彩釉磁器の三代徳田八十吉氏、沈金の前史雄氏、釉裏金彩の吉田美統氏、彫金の中川衛氏、きゅう漆の小森邦衛氏らが現在活躍中です。

九谷焼(九谷庄三氏作品)


 このように伝統工芸が今も息づいている要因のひとつには、藩政時代の「御細工所」の存在が大きいとされています。もともとは武器や武具を修理する工房だったのですが、茶の湯の発展などを背景に、歴代の加賀藩主が優れた職人を招き、美術工芸品の制作と後継の指導にあたらせました。

 そんな石川の伝統工芸品の粋に触れられる施設がいくつもあります。金沢市には先の36品目を一堂に集めた石川県伝統産業工芸館をはじめ、加賀友禅を実際に着てみることができる加賀友禅伝統産業会館、金箔を使った美術工芸品をそろえる安江金箔工芸館、加賀藩以来の伝統を継ぐ大樋焼は大樋美術館と多彩です。九谷の絵付けや金箔貼りなどができる体験型施設も多く、楽しい思い出作りができます。

金箔移しの様子


 古い街並みを歩いていると、職人さんの仕事場にでくわすことがしばしばあるほど、石川の伝統工芸は広い裾野をもっています。地道にものづくりを行っている現場は厳かで、そして静かな熱気に包まれていますから、ふらりと訪ねてみるのもいいでしょう。

金箔体験


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