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私の旅コラム


【著者プロフィル】
元新聞記者。夫と娘の3人家族で、趣味はおいしいものを食べることと、バレエ、それにネイルサロンに通うこと。生まれは石川ではないのですが、よそから来た人の方が興味津々ってことありますよね。そんな私がイチオシする石川の情報をどうぞお楽しみに。

冬のコラムは全7回。今回は、第6回「暮らしにとけ込む和菓子」です。

冬のコラム 第6回「暮らしにとけ込む和菓子」


氷室饅頭(ひむろまんじゅう)




関連リンク


石川のおみやげ(観光パンフレット紹介)

おいしさ、美しさ兼備の銘菓ぞろい


 茶の湯が盛んな石川では、それと歩調を合わせて菓子文化も発達しました。特に金沢では市民1人当たり和菓子の購入額が全国一。お菓子処として全国に知られています。だから、遠方の知人に毎年贈るのもやはりお菓子。いつも同じものでは……と思い、石川県観光連盟から出ているパンフレットを開いてみると、お菓子、お菓子、お菓子の行列で、どれにしようか迷ってしまいます。

和菓子と茶釜


 お菓子が暮らしに深くとけ込んでいるのもこの地の特色。師走の声を聞くと、金沢の和菓子屋では花の形をしたかわいいお菓子が店頭にお目見えします。「福梅」は加賀前田藩の剣梅鉢の紋をかたどった紅白のお菓子で、大納言小豆のつややかな餡が、グラニュー糖をまぶした最中皮に包まれています。年末年始のこの時期にしか作られない、正月ならではの祝い菓子です。現代人の舌にはかなり甘めに感じますが、これがまた、おせち料理の口直しにはちょうどいい。それぞれの店が伝統の枠をはみ出ることなく、やんわりと独自色を打ち出しているので、各家庭によりお気に入りがあるのも福梅ならでは。バラで購入して、店ごとの味を食べ比べてみるのも楽しいかもしれません。

 ほかにもこの時期には「辻占(つじうら)」という巾着型の皮の中におみくじが入ったフォーチューンクッキー和菓子版のような菓子や、最中の中に小さな人形などが入った遊び心たっぷりの「福徳(ふっとこ)」も、正月気分を盛り上げてくれます。

左より福梅(ふくうめ)、福徳(ふっとこ)、辻占(つじうら)


 雛祭りには金花糖が欠かせません。溶かした砂糖を型に流し込んで固めた飾り菓子で、タイ、ハマグリ、サザエなどの海の幸、モモ、カキ、ナス、キュウリなどの野の幸に似せたものを色鮮やかに彩色してあります。石川県の金花糖は加賀百万石の貫禄を感じさせる大ぶりで華麗なのが特色です。

金花糖


 季節の和菓子といえば、夏の「氷室饅頭」も冬の雪とかかわりが。江戸時代、氷室の雪を切り出して藩主や遠く将軍まで献上する「氷室の節句」がありました。冷凍・冷蔵技術がなかった藩政期に貴重な雪の代わりに庶民が食べやすいものとして考案されたのが「氷室饅頭」で、この日に食べると夏バテしないとされています。金沢市の湯涌温泉では毎年1月の最終日曜日に氷室の雪詰め作業を行い、6月30日に氷室開きをします。

氷室開き


 婚礼時の「五色生菓子」も金沢らしい風習です。花嫁の持参した輪島塗の重箱を加賀染のふくさに包み、上段には太陽・月・山・海・里とそれぞれに意味を持つ五色の生菓子、下段に赤飯を入れて近所の挨拶回りをするのです。

 金沢以外にも七尾の「大豆飴(まめあめ)」や珠洲の「芋菓子」などの伝統菓子、小松の「栗蒸し羊羹」のように、全国に熱烈なファンがいる銘菓もあります。もちろん、季節ごとに各店が創意を凝らした美しい生菓子が並ぶのもいうまでもありません。今の嗜好に合うように、洋のテイストをアレンジするなど、新しい工夫を凝らした菓子も人気がある一方、藩政時代から続く落雁店では、今も当時の木型が残り、歴史の重みを伝えています。

 金沢市尾張町2丁目にある石川県菓子文化会館に足を運ぶと、四季折々のお菓子をはじめ工芸菓子や道具などを見ることができ、お菓子文化の奥行きに触れられます。

石川県菓子文化会館


冬のコラム 第7回「職人の技が支える「工芸王国」」へ


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