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私の旅コラム

【著者プロフィル】
元新聞記者。夫と娘の3人家族で、趣味はおいしいものを食べることと、バレエ、それにネイルサロンに通うこと。生まれは石川ではないのですが、よそから来た人の方が興味津々ってことありますよね。そんな私がイチオシする石川の情報をどうぞお楽しみに。

冬のコラムは全7回。今回は、第5回「加賀能登のおいしい文化」です。

冬のコラム 第5回「加賀能登のおいしい文化」


甘エビ




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伝統料理で味わう冬の味覚


 石川の冬空を代表するのは、やはり厚い雪雲。大陸から日本海を渡ってくる季節風の影響で、筋状の雲が次々にやってきてあられや雪を降らせます。黒い雲が空一面を覆い、「ドドドドーン」とくぐもった感じの雷鳴が響き渡ると、石川の人たちは「雪がくる」、そして「ブリが来る」と感じるのです。

 12月になると冬の味覚を代表するブリが能登沖や富山湾に回遊してきます。能登の宇出津港やお隣富山県の氷見港で水揚げされるブリは、この近海で豊富なエサを食べて十分に脂がのっている寒ブリ」で、他のブリに比べておいしさが際立ちます。

 ブリの料理はいろいろありますが、最初はお刺身をいただきたいと思うのは、私だけではないでしょう。脂がのった淡いピンク色のお刺身を食べる時の幸福感は抜群。とにかく新鮮だからとろけるような口ざわりです。

ブリの刺身


 ブリの照り焼きもおいしい。しょう油の香ばしいにおい、ブリの柔らかな身の味わい。ポピュラーですが、ブリのおいしさが生きる料理だと思います。

ブリの照り焼き


 ブリは今も昔も高級魚です。冷蔵技術がなかった江戸時代、ブリは塩漬けにされ、これとカブラを合わせて漬け込んだのが、石川の郷土料理の代表格である「かぶらずし」です。かぶらずしの名品を作っている郷土料理研究家の青木悦子先生によると、年末になると魚屋さんなど商店が武家などのお得意様にお届けする贈答品だったそうです。それが次第に庶民にも広まり、金沢ではかぶらずし作りが広まったといわれます。ブリの塩漬けから始めると一カ月以上もかかるかぶらずしは、手間暇かけたお袋の味だったわけです。

 青木先生によると、石川の食文化には日本海を往来した北前船がもたらした保存食品を使う料理があります。お節料理の一品として作られる棒ダラの旨煮は、北海道産のタラが乾燥されて棒のように固くなったものを、何日もかけて戻して料理したもので、ちょっともぞもぞする口ざわりと深い味わいがたまりません。

棒ダラの旨煮


 ニシンを乾燥した身欠ニシンも保存の効く食材で、よく使われるのは「だいこんずし」です。麹の発酵を利用してうまみを増すところはかぶらずしと同じで、だいこんずしはかぶらずしの庶民版みたいなものです。今日でも各家庭でよく作られ、我が家の味になっています。

だいこんずし(上) かぶらずし(下)


 石川では甘エビやカニなど新鮮な食材とともに、こうした手の込んだ料理もぜひ味わってみてください。

 最後にもう一つ、「からし菜」を紹介しましょう。長い北国の冬が終わる頃、「もうすぐ春だよ」と告げるようにからし菜が出回ります。実が和辛子になるからし菜は茎や葉にもからみ成分があり、80度ほどのお湯でゆでてから揉むと辛味が出てきます。寒さの下ではぐくまれた独特の風味を味わえるのは雪国ならではのぜいたくです。

からし菜漬け

「料理:青木クッキングスクール」

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